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[プリンスリーグ関東]マンC短期留学の横浜FM・和田先制弾も、山梨学院2度追いつきドロー

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[8.31 高円宮杯プリンスリーグ関東第11節 横浜FMユース 2-2 山梨学院高 日産フィールド小机]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2014 プリンスリーグ関東は30日と31日、第11節を行い、6位・山梨学院高(山梨)と8位の横浜F・マリノスユース(神奈川)との一戦は、2-2で引き分けた。

 連覇を狙った日本クラブユース選手権ではG大阪ユースや大宮ユース、山形ユースとのグループリーグ激戦区で沈む形となった横浜FMと、地元開催の全国高校総体で優勝校・東福岡高を追い詰めながらも3回戦で敗れた山梨学院。とも上位進出を狙う両雄の対決は勝ち点1を分け合う結果となった。

 横浜FMは怪我によってU-19日本代表GK田口潤人やMF田崎遼太郎、DF斉藤海(全て3年)らが不在で1、2年生8人が先発する陣容。主将のMF佐藤陸(3年)が「中心メンバーが外れても埋められる層の厚さが今の強みだと思っている。1年生も今年先発に絡んでいる。3年生中心として勝てる試合を勝ち切ることが大切」と語る横浜FMは佐藤やMF長倉颯(3年)が簡単に前線へボールをつけると、この夏マンチェスター・シティ(イングランド)に短期留学していた注目FW和田昌士とFW中杉雄貴(2年)らが次々と個人で仕掛けていく。

 対する山梨学院も守備の柱であるCB渡辺剛(3年)を累積警告で欠いていたが、CB大野佑哉(3年)中心に無失点で試合を進めると、MF大場祐樹(3年)の展開からいい形でサイドの高い位置までボールを運び、快足FW伊藤大祐やMF小川雄大(ともに3年)の突破力を活用。MF福森勇太(3年)が厳しいチャージを受けながらも前進してチャンスに絡むなどシュートシーンを増やしていった。

 4分、山梨学院は前線で起点となった188cmFW原拓人(3年)の落としから小川がシュート。6分には敵陣でのインターセプトから小川が右足を振りぬく。さらに11分にはカウンターから福森が左サイド前方のスペースへ落とすと、伊藤が快足を活かして反応する。ターゲットとして前線にそびえ立つ原や、オープンスペースを巧みに突いて攻める山梨学院の前にやや押し戻された感もあった横浜FMだが、回数の非常に多い仕掛けで流れを引き寄せた。14分には和田のスルーパスに中杉が反応し、16分にはスルーパスのこぼれ球を拾ったMF西浦英伸(2年)がGKをかわしてシュートを放つ。さらに21分にはCB坂本寛之(1年)の左足シュートがクロスバーを叩いた。巧みに相手の背後を取る横浜FMは個人、連係から鋭いアタックを連発。対する山梨学院も24分にカウンターから縦に仕掛けた伊藤の右足シュートが左ポストをかすめる。

 ゴール前のシーンの多い攻め合いは37分に横浜FMが先制点を奪った。横浜FMは自陣での空中戦でCB長田健(3年)が豪快なヘッド。迫力あるクリアが攻撃の起点となり、前線でボールをおさめた中杉が右前方へスルーパスを送る。鋭く抜け出した和田が右足でゴールを破り、スコアを動かした。だが山梨学院は39分、ポゼッションからタイミングよく縦パスが入り、右サイドで前を向いた伊藤が高速ドリブルで一気に縦へ切れ込む。そしてグラウンダーのラストパスのこぼれをMF多田倫浩(3年)が押し込んで同点に追いついた。

 1-1で折り返した試合は後半開始わずか20秒、横浜FMが再び勝ち越す。中杉のスルーパスでオフサイドラインを破ったMF遠藤渓太(2年)が独走。GKとの1対1を制して2-1とする。この後は横浜FMの前からの姿勢が好守につながり、山梨学院のパスを何度も足に当てる。そして前への勢いそのままに攻め込むと10分にはボランチから最前線へ飛び出した長倉が決定的なシュート。吉永一明監督が「切り替えのところでプレッシャーにこられて、前に入れるボールを向こうも上手く消してきていたけれど、ウチは(パスコースを限定されている中で)難しいところに入れて失うシーンが前半多かった。(そこで奪われて)そのパワーのまま前にこられた」と説明した山梨学院はGK古屋俊樹(3年)の好守によって何とか1点差のまま試合を進めたが、プレッシャーをかけられている中での判断と精度を欠いて攻撃が雑になり、チャンスをつくることができない。

 ただ横浜FMも阿井達也監督が「自分たちの時間をみすみす逃しているというか、渡し過ぎですね。自分たちの時間をつくれない。後半の立ち上がりは良かったけれど、終盤15分くらいは自分たちから突っかけて取られての繰り返しで相手の速い前の攻撃への対応が遅れてしまう。こっちも速く攻めようとバランス崩している分、守備でもバランスよく守れない」と振り返ったように、同じテンポの攻撃でボールを失い、相手に逆襲するチャンスを与えてしまう。特に終盤は“切り札”FW宇佐美佑樹(3年)らアタッカーを入れ替えて攻め込む山梨学院が好守から縦への速さを活かして仕掛ける回数を増加。そして試合終了間際の43分、山梨学院は左サイド後方でFKを得ると、直前のFKからキッカーに任命されていた右SB山中登士郎主将(3年)がゴール方向へ右足でボールを入れる。これが混戦の中を抜けてそのままゴール右隅へ吸い込まれた。

 佐藤が「決定力不足が課題だと思う。早い時間に獲れれば、自分のペースになるけれど、毎回毎回最後に追いつかれて勝ち点落としてしまう」と振り返った横浜FMに対し、畳みかける山梨学院はもう1チャンスをつくる。46分、小川が右サイドのMF田中翔真(3年)へ叩くと、そのクロスを宇佐美が決定的な形で合わせる。ただシュートはゴール左へ外れ、2-2で試合終了を迎えた。

 横浜FM・阿井監督は「最後の最後ポロポロっていっちゃうところがある。プロを目指している選手としては甘い。きょうもそのワンプレーの大事さを認識しないと次につなげられない」と語り、「(ゴール前で)自分なのか、人なのかという判断の悪さは目立ちます。どのレベルでもそこができればトップトップのところへ行けるんでしょうけれど、そこは継続して取り組んでいく。できる選手はいるので、そこの判断ができれば得点につながっていくと思う。(後半戦の目標は)可能性がある限りプレミア昇格。(1、2位との勝ち点差は開いたが)3位のところへどれだけ近づけるかというところと、もしそれがダメになったとしても一試合一試合を無駄にしないで向上心と結果にはこだわっていきたいです」。

 一方、追いついて勝ち点1をもぎ取った山梨学院・吉永監督だが「収穫としては結果として負けなかったことくらい。連敗を止めたこともボク的には大きいですけど。東福岡(に敗れて)以降、守備の良かった部分を継続して攻撃の部分を変えていこう、というトライをしている。もっとシュートまで行くシーンを増やしたかった。単純なミスだったり、ボールの失い方含めてイージーなミスが多すぎたと思います」とこちらも反省の弁。後半戦序盤はF東京U-18、横浜FMユース、大宮ユースとJユース勢との戦いが続く。指揮官は「Jクラブのところで勝ち点取れるようにしたいですし、(きょうは)連敗はしなかったですけど、勝ち点3取れなかったのでホーム(の大宮戦)で勝ち点3取れるように」と語っていた。

[写真]前半37分、横浜FMユースは和田が右足で先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)

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