[選手権予選]ニンスタ初開催のファイナル、3年生大半引退の夏の王者・松山北が前評判覆す愛媛制覇!!
[11.8 全国高校選手権愛媛県予選決勝 松山北高 1-0 済美高 ニンスタ]
第93回全国高校サッカー選手権愛媛県予選決勝が8日、松山市のニンジニアスタジアムで開催され、松山北高と済美高が対戦。松山北が1-0で勝ち、5年ぶり4回目の全国大会出場を決めた。
愛媛FCのホーム、ニンジニアスタジアムで初開催されたファイナル。今後、この会場を愛媛県の高校サッカー部員にとって「聖地」にしていくという取り組みが始まった記念イヤーのチャンピオンに、松山北が輝いた。進学校の松山北は、夏の全国高校総体出場後に3年生の大半が引退して残ったのは4人だけ。8月には県リーグで大敗するような試合も続いた。MF藤岡将平(3年)は「インターハイに出場したことで3年生がいつもよりも長くできたのもあるんですけど、その分1、2年生は3年生に頼ってばかりのところが多くて。自分たち3年生4人も抜けた3年生の影響が大きくて今まで通りのプレーをしていいか、プレーにその迷いが出てしまっていた」と振り返るが、それでも選手たちは全員でその状況を乗り越える。そしてゲーム主将のCB上東嵩史(3年)が「一番感じていたことは3年生は引退していたんですけど、気持ちの繋がりは変わりなくて、残った4人もそれは強く感じた。力強い、心強い、あの応援があるから自分たちは苦しい時に挫けることなく前向いてやれる」という仲間たちの熱い応援にも支えられながら、一戦一戦成長した松山北が頂点に立った。
試合は前半、済美が幾度となく決定機をつくる展開となった。3分にMF橋本晃大(3年)のスルーパスからFW真鍋将太(3年)が決定的な右足シュートを放つと、17分には縦パスで抜け出した真鍋がクロスバー直撃のループシュート。18分にはFW福本拓海(2年)がドリブルでDFを切り裂いて右足シュートを放つなど攻め立てる。特に左サイドでは高いドリブルテクニックを見せる福本拓やMF高本翔(3年)らがテクニックとアイディアを活かした崩しを連発。37分にも高本のスルーパスから橋本が決定的な右足シュートを放つなど決定機を量産した。
ただGK原田優太(3年)が「身体的にきつかったと思うんですけど、気持ちで最後ギリギリのところで足出してくれた」と感謝し、渡部晃久監督が「あの子たちの良さは集中力だと思うので、ここ大事、というところで守り切ってくれたと思います。大事なところで(危険な位置に)人を集められたし、あの集中力は凄い」と評した松山北は、崩されても上東やCB夏井雄太主将(2年)ら2人目、3人目のDFが足を伸ばして済美の攻撃を最後のところで狂わせた。そして中盤でポイントとなった藤岡とMF木藤佑也(2年)のダブルボランチが少ないタッチでボールをサイドへ動かして反撃。26分には右SB立花太我(2年)からのパスを受けたFW田中宏武(1年)が右足シュートを放つなどサイド攻撃からチャンスを掴もうとした。
迎えた後半3分、我慢強い戦いを見せていた松山北に歓喜の瞬間が訪れる。左サイドで田中がMF村上正憲(3年)へスルーパス。済美DFがスライディングで処理しようとしたが、これを上手く足にかけた村上正が入れ替わって独走する。そのままPAまで持ち込んで右足で先制ゴールを流し込んだ。村上正は右手を突き上げたままスタンドの応援団の下へ。試合前の決起集会が動画配信サイトなどで注目されている松山北の応援団が、「応援の力があってこその北高のサッカーだと思っている。ゴールを決めた時はいつも応援団のところに行っています」という3年生MFとともに、ニンスタで舞った。
ただ試合は簡単には終わらない。より圧力をかけてきた済美の攻撃を松山北は受ける展開となった。個々で上回る済美はドリブルで打開し、福本拓やMF末光奨(3年)がシュートを打ちこんでくる。それでも松山北は夏井や上東が何とかボールを足に当て、無失点のまま試合を進めて行く。特に後半半ばからは藤岡やMF柳田悠希(2年)が一発のスライディングタックルで相手の突破を仕留めたり、田中や村上が相手のキックをチャージするなどビッグプレーが次々と出るなど、松山北の勢いがどんどん増していくように感じた。済美は終盤もシュートまで持ち込んでいたが、後半アディショナルタイムにFW曽根晃太(2年)が放った左足シュートもGK正面を突くなど得点できず。そして「(夏の王者としてではなく)史上最強のチャレンジャーとして愛媛をもう一度獲る、というのを大きなスローガンとしてあげていた」(村上正)という松山北が歓喜の雄叫びを上げた。
「相当苦しみましたね。3年生の残像が凄く大きかったですし」と振り返る渡部監督も「この1か月で凄く成長したので、一人ひとりは大したことないんですけど本当にこの1か月でいいライバルに恵まれて、選手たちが凄く成長したのが分かった」と認めた成長。メンバーが大きく入れ替わり、夏の王者に対する大会前の前評判は厳しいものだった。その中で日替わりのヒーローが飛び出すなど一戦一戦成長し、引退した3年生たちとともに評価を覆した松山北の戴冠だった。
[写真]後半4分、松山北は村上正(14番)の先制ゴールを喜ぶ
(取材・文 吉田太郎)
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【特設】高校選手権2014
DAYS×ゲキサカ連動企画「全国のつくしを探せ!」特設ページ
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ2014
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愛媛FCのホーム、ニンジニアスタジアムで初開催されたファイナル。今後、この会場を愛媛県の高校サッカー部員にとって「聖地」にしていくという取り組みが始まった記念イヤーのチャンピオンに、松山北が輝いた。進学校の松山北は、夏の全国高校総体出場後に3年生の大半が引退して残ったのは4人だけ。8月には県リーグで大敗するような試合も続いた。MF藤岡将平(3年)は「インターハイに出場したことで3年生がいつもよりも長くできたのもあるんですけど、その分1、2年生は3年生に頼ってばかりのところが多くて。自分たち3年生4人も抜けた3年生の影響が大きくて今まで通りのプレーをしていいか、プレーにその迷いが出てしまっていた」と振り返るが、それでも選手たちは全員でその状況を乗り越える。そしてゲーム主将のCB上東嵩史(3年)が「一番感じていたことは3年生は引退していたんですけど、気持ちの繋がりは変わりなくて、残った4人もそれは強く感じた。力強い、心強い、あの応援があるから自分たちは苦しい時に挫けることなく前向いてやれる」という仲間たちの熱い応援にも支えられながら、一戦一戦成長した松山北が頂点に立った。
試合は前半、済美が幾度となく決定機をつくる展開となった。3分にMF橋本晃大(3年)のスルーパスからFW真鍋将太(3年)が決定的な右足シュートを放つと、17分には縦パスで抜け出した真鍋がクロスバー直撃のループシュート。18分にはFW福本拓海(2年)がドリブルでDFを切り裂いて右足シュートを放つなど攻め立てる。特に左サイドでは高いドリブルテクニックを見せる福本拓やMF高本翔(3年)らがテクニックとアイディアを活かした崩しを連発。37分にも高本のスルーパスから橋本が決定的な右足シュートを放つなど決定機を量産した。
ただGK原田優太(3年)が「身体的にきつかったと思うんですけど、気持ちで最後ギリギリのところで足出してくれた」と感謝し、渡部晃久監督が「あの子たちの良さは集中力だと思うので、ここ大事、というところで守り切ってくれたと思います。大事なところで(危険な位置に)人を集められたし、あの集中力は凄い」と評した松山北は、崩されても上東やCB夏井雄太主将(2年)ら2人目、3人目のDFが足を伸ばして済美の攻撃を最後のところで狂わせた。そして中盤でポイントとなった藤岡とMF木藤佑也(2年)のダブルボランチが少ないタッチでボールをサイドへ動かして反撃。26分には右SB立花太我(2年)からのパスを受けたFW田中宏武(1年)が右足シュートを放つなどサイド攻撃からチャンスを掴もうとした。
迎えた後半3分、我慢強い戦いを見せていた松山北に歓喜の瞬間が訪れる。左サイドで田中がMF村上正憲(3年)へスルーパス。済美DFがスライディングで処理しようとしたが、これを上手く足にかけた村上正が入れ替わって独走する。そのままPAまで持ち込んで右足で先制ゴールを流し込んだ。村上正は右手を突き上げたままスタンドの応援団の下へ。試合前の決起集会が動画配信サイトなどで注目されている松山北の応援団が、「応援の力があってこその北高のサッカーだと思っている。ゴールを決めた時はいつも応援団のところに行っています」という3年生MFとともに、ニンスタで舞った。
ただ試合は簡単には終わらない。より圧力をかけてきた済美の攻撃を松山北は受ける展開となった。個々で上回る済美はドリブルで打開し、福本拓やMF末光奨(3年)がシュートを打ちこんでくる。それでも松山北は夏井や上東が何とかボールを足に当て、無失点のまま試合を進めて行く。特に後半半ばからは藤岡やMF柳田悠希(2年)が一発のスライディングタックルで相手の突破を仕留めたり、田中や村上が相手のキックをチャージするなどビッグプレーが次々と出るなど、松山北の勢いがどんどん増していくように感じた。済美は終盤もシュートまで持ち込んでいたが、後半アディショナルタイムにFW曽根晃太(2年)が放った左足シュートもGK正面を突くなど得点できず。そして「(夏の王者としてではなく)史上最強のチャレンジャーとして愛媛をもう一度獲る、というのを大きなスローガンとしてあげていた」(村上正)という松山北が歓喜の雄叫びを上げた。
「相当苦しみましたね。3年生の残像が凄く大きかったですし」と振り返る渡部監督も「この1か月で凄く成長したので、一人ひとりは大したことないんですけど本当にこの1か月でいいライバルに恵まれて、選手たちが凄く成長したのが分かった」と認めた成長。メンバーが大きく入れ替わり、夏の王者に対する大会前の前評判は厳しいものだった。その中で日替わりのヒーローが飛び出すなど一戦一戦成長し、引退した3年生たちとともに評価を覆した松山北の戴冠だった。
[写真]後半4分、松山北は村上正(14番)の先制ゴールを喜ぶ
(取材・文 吉田太郎)
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