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[総体]都立の進学校・小松川が2点先取も、100分勝負想定した東海大菅生が逆転勝ち!:東京

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[5.24 全国高校総体東京都予選1次決勝 東海大菅生高 3-2 小松川高 駒沢2]

 24日、平成27年度全国高校総体「2015 君が創る 近畿総体」サッカー競技(兵庫)東京都予選1次予選決勝3試合が行われ、東海大菅生高対小松川高戦は東海大菅生が3-2で逆転勝ちした。東海大菅生は6月6日の2次予選1回戦で早稲田実高と対戦する。

 勝てば東京の10強入り。2次予選へ進出する10校の最後の1枠を懸けた戦いは都立の進学校である小松川が先手を取る。前半7分、FW斎藤速太(2年)の左CKをMF工藤翔太(3年)が上手く頭で合わせて先制点。さらに10分には右サイドからの折り返しを受けたFW澤頭良介主将(3年)の左足ミドルがファーサイドのポストを叩いてからゴールラインの内側へ転がった。

 総体予選では都大会まで7年連続で駒を進めている小松川は、田代明彦監督の「(特化しているのは)個人の技術と個人の戦術。グループでとか、チームというのはほとんどやっていないです。そういう単語も言っていないかもしれない。個人のスキルと個人の戦術を結び付けていく。止めて蹴るができて、初めて個人の戦術が生まれると思うので大切にしている」という方針の下、練習時間のうち40分間を対面パスの時間に割いたりするなど徹底して「止める」、「蹴る」、「見る」、そしてプレーする姿勢の部分を強化しているチーム。序盤はボールがよく動き、バイタルエリアで澤頭やMF加藤諒太ら個々がアイディアあるプレーを表現するなどインパクトある内容で試合を進めていた。

 また、中盤の底の位置でMF中嶋祐太(3年)がゲームコントロールしながら、グラウンダーのサッカーを展開する小松川は13分にも左サイドを突いた齋藤の折り返しにフリーでMF南匠汰が走り込む。だが1タッチのシュートは枠の上。15分に工藤が放ったパンチ力のある左足ミドルもGK正面を突いてリードを広げることができなかった。すると、25分、東海大菅生は右サイドのMF小峰拓海(3年)から逆サイドまでボールを動かし、最後はMF小岩井亮主将(3年)のパスでPAへ侵入したMF大関倖弥(3年)が右足シュートを右隅へ決めて1点差とする。

 東海大菅生はさらに前半30分から負傷明けのDF桑山大樹、MF小山歩夢(ともに3年)を立て続けに投入。推進力のあるFW氏家健太(3年)、大関、小峰の突破などから一気に同点を目指すが、やや力任せになってしまっていた攻撃は小松川DF陣に対応されて追いつくことができない。手塚弘利監督も「ウチはワイドでCKが何本取れるかがバロメーター。前半は点取られたら中、中へ行っちゃって流れが掴めなかった」と苦笑いする内容。それでもハーフタイムに指揮官からの「40分で1点取ればいい。2点取らなくていいじゃないか」という言葉によって体力勝負で分のあることを確認した選手たちは、延長戦まで想定した戦いの中で逆転することに集中する。

 すると、後半4分には氏家がゴール前でボールを一度失いながらも取り返して決定的な左足シュート。そして7分には小岩井からのパスを右サイドで受けたMF三平涼平(3年)が前方を塞いでいたDFを強引に突き破って同点ゴールをねじ込んだ。この後、サイド攻撃から勝ち越しゴールを狙う東海大菅生に対し、小松川はラインが下がってしまい、また足を攣らせてしまう選手が出るなど運動量が激減してしまう。それでも27分にFW加藤裕貴(2年)がインターセプトから右足ミドルを放ち、右サイドに投入された快足MF藤倉健太や突破力のある左SB菅谷光(ともに3年)が一発を狙った。

 小松川は例年、総体予選を最後に3年生は引退。運動量が落ちて本来の攻撃ができなくてもCB竹森広樹(3年)中心に我慢強く、必死に相手に食らいついていた。だが、東海大菅生は後半40分、小岩井からのパスを右サイドで受けた小峰が左足シュートを決めて決勝点。よく粘っていた小松川は力尽き、涙の敗退となった。「後半は焦りもなかったですけど、前半はちょっとどころじゃなかったですね」と小峰。それでも「サッカー楽しむということで良くボールも回っていたし、声も出ていた」と振り返ったように、東海大菅生は後半は焦れずに自分たちのサッカーをやり切ったことで同点に持ち込み、逆転勝利につなげた。延長戦まで100分間の戦いで仕留めるつもりで戦っていただけに、手塚監督は「(同点までは狙い通りだったが)延長戦にならなかったことが偶然です」と笑ったが、劣勢を立て直して勝ち切った東海大菅生の見事な逆転劇だった。

[写真]東海大菅生は前半25分に大関が右足で追撃ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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