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[選手権予選]2人退場の実践学園が執念の延長同点弾も、東海大高輪台がPK戦で「当たり前」の西が丘王手!

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[9.20 全国高校選手権東京都Bブロック予選2回戦 実践学園高 2-2(PK1-4)東海大高輪台高 駒沢補助]

第94回全国高校サッカー選手権東京都Bブロック予選は20日に2回戦2日目の4試合を行い、12年度の代表校・実践学園高東海大高輪台高との一戦は2-2で突入したPK戦の末、4-1で東海大高輪台が勝利した。東海大高輪台は10月18日の準々決勝で成立学園高と戦う。

「積み重ねてきたことがちゃんと積み重なっている、表現できている。ただ、甘いんですよ。2-1で終わらないところとかやっぱり甘いです」。東海大高輪台の川島純一監督が指摘したように、退場者2人を出して9人で戦う実践学園に追いつかれたことは反省点。それでも最後まで諦めない心を持って向かってきた実践学園をわずかな差で振り切った。前半に先制点を許したが、10番のMF野村浩輔は「練習の中でも自分たちの雰囲気が今、川島先生も『7年間で一番いい』っておっしゃってくれて、それの自信もあった。実践のビデオとか見ても、力的に劣っていないというのがあったので、そこを意識して自分たちもできるんだという気持ちが強かったので、どんどん前向きにやれたと思います」。リードされても、慌てることなく攻め続けて逆転。勝利目前で追いつかれても「インターハイの時はPKで負けてしまったんですけど、そこからの4、5か月このチームで強くなったと思うし、メンタル面とかはしっかりやれたと思うので、それらの成長がこの試合に出たと思う」(MF武市健太主将)という精神面の成長とT2(東京都2部)リーグで8試合連続不敗という自信で最後相手をわずかに上回った。

 立ち上がり、試合の入りが良かった東海大高輪台は攻撃的SBの畠中一樹が縦への仕掛けから右足を振りぬき、13分にはパス交換から野村が放った右足ミドルがゴールを捉える。対する実践学園はMF谷本薫が左サイドから思い切った突破やシュートを見せたほか、セットプレーからプレッシャーをかけると30分、右サイドから左SB深城壮太が蹴りこんだ左足CKをニアへ飛び込んだ勝田が頭でゴールへ流し込む。後半も立ち上がりはリードした実践学園のペース。MF大山友幸のヘディングシュートやFW中島陸の右足シュートで追加点を狙った。東海大高輪台は12分、左サイドでインターセプトしたMF武川剣進が縦へ持ち込んでから出したスルーパスにFW本藤悟が反応し、左足を振りぬく。だが、クロスバーを叩いて真下に落下したボールはゴールラインを越えていないという判定でノーゴール。抗議も実らず、東海大高輪台は同点のチャンスを逸してしまう。

 それでも22分、東海大高輪台は右CKのクリアボールを拾った畠中が右サイドからアーリークロス。ゴール前の混戦から、この日身体を張った守りを見せていたCB小池英翔が右足で同点ゴールをねじ込んだ。「悪い時は(攻撃が)もうちょっと狭くなって、急いじゃうんだけど、点取られるリハーサルもしてきていたから落ち着いてやっていましたよ。(先制されても)慌てなかった。やり続けた結果の後半だと思うので」と川島監督。焦れずに、落ち着いて、自分たちの形で攻め続けたことが同点ゴールに繋がった。追いついた東海大高輪台はスピード感ある動きで存在感放つ2年生MF水野団や武川、そして野村がドリブル、ショートパスを交えたコンビネーションでチャンスメーク。右サイドを再三駆け上がる畠中のクロスからあわやのシーンを作り出す。実践学園もCB和氣貴也、CB長谷川颯斗中心によく凌いでいたが39分、前線から精力的なチェイシングを見せていたFW根岸哲平が2枚目のイエローカードを受けて退場。数的優位を得た東海大高輪台は後半終了間際にチャンスをつくり出すと1-1で突入した延長戦の前半に勝ち越し点を奪う。

 7月に負った怪我からの復帰戦となった武市主将を5分に投入した東海大高輪台は8分、右サイドへボールを運ぶと、野村がカットインで中央へ切れ込む。そして右サイドを駆け上がった武市のおとりの動きでDFのマークを外した野村は、そのまま左足シュート。これが鮮やかに実践学園ゴールを破って2-1となった。

 反撃に出る実践学園だが、延長後半開始直後に中盤のキーマン・大山が2枚目の警告を受けて退場してしまう。これで9人対11人。後方から声をかけるCB田中千寛をはじめ、東海大高輪台イレブンは慌てず、試合を締めくくろうとする。それでも実践学園は6分、長身CB長谷川へ入れたボールが裏へ抜けると、一人ギアの違う動きで反応したMF黒石川瑛がスライディングタックルをかわし、ゴール至近距離から思い切り右足を振りぬいて2-2とした。ピッチを去った選手の思いを背負い、声を張り上げ続けた仲間たちの後押しの中で交代出場MFが決めたまさに執念の同点弾。試合はそのままPK戦へともつれ込んだ。

 だが、PK戦で実践学園は先制ゴールを決めていた1人目・FW勝田の右足シュートが右ポストを叩き、好守でチームを支えた2人目・和氣のシュートも「持ち込まれてもPKで勝つ自信はあった。公式戦でこういう会場でやると高ぶってしまう。練習でやってきた雰囲気を試合でどれだけ出せるかということを言われていた」と自分のリズムでPK戦に臨んでいた東海大高輪台GK関根康大にストップされてしまう。3-1で3人目を終えた先攻・東海大高輪台の4人目のキッカーは武市。その右足シュートはゴール左へ外れたが、蹴り直しとなった2本目のシュートをゴール右へ決めて熱戦に決着をつけた。

 100分間の戦いでハイボールの強さを発揮し、PKも止めた殊勲の関根は「2点目取られた時はヤバいという雰囲気があったけれど、勝てて良かったです」とホッとした表情。武市は「元々西が丘を目指して去年からやってきたんですけど、(川島)先生の『西が丘行くのは当たり前』という言葉をこの夏、合言葉にみんなやって、抽選の結果厳しいところに入ったんですけど、負ける相手ではないと思っていたし、自分たちの力を出せば勝てると思っていた」。初優勝を狙う東海大高輪台が強豪揃いのブロックで2勝目。“東京都高校サッカーの聖地”味の素フィールド西が丘で開催される準決勝進出へ王手をかけた。

(取材・文 吉田太郎)
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