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前人未到の600試合出場を振り返る楢崎「シンプルに仕事をやり続けただけ」

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[10.3 J1第2ステージ第13節 柏3-1名古屋 柏]

 前人未到の大記録だ。プロ21年目、39歳の鉄人、名古屋グランパスのGK楢崎正剛が、柏レイソル戦でJ1通算出場試合を「600」の大台に乗せた。

 奈良育英高から横浜フリューゲルスに入団した楢崎は、1年目の1995年8月16日の平塚(現湘南)戦でプロデビュー。99年に名古屋へと移籍すると、J1優勝を遂げた10年にはMVPにも輝いている。日本代表には98年2月15日のオーストラリア戦でデビューを果たし、国際Aマッチ77試合に出場、決勝トーナメントに進出した02年日韓W杯では正GKを務めた。

「悔しい」。メモリアルマッチでの敗戦に、歴戦を戦い抜いてきた守護神は、まずそう答えた。「チーム力で相手が上回っていた。後半までもつれ込めばよかったけど、失点してしまって残念でしょうがない」。敵地で3失点での完敗。先制を許しながらも4分後に追いついた名古屋だが、前半の終盤に突き放されてしまい、後半は柏にゲームをコントロールされてしまった。

 名古屋から柏まで駆けつけてゴール裏を赤く染めた名古屋サポーターに、「ゴール裏がすごく近いし、みんながすごく応援してくれている感じは、いままでの試合の倍以上ありました」と背番号1は改めて感謝の気持ちを並べた。それだけに勝って喜びを分かち合いたかったという気持ちも誰よりも強い。「今日の試合を楽しみに名古屋からたくさん来てくれたので、勝利をプレゼントしたかった」。

 記者から600試合出場できた要因を問われると、「わからないです」と答えた楢崎は、「シンプルに仕事をやり続けただけ」と、その長いプロ生活を振り返った。「……この先はわかりません。500(試合出場)のときも想像つかなかった。自分は初めて出たときから、試合の準備と、試合をこなすのとでやってきていて、それ以外変わったことはしていない。それが『600』続いたのは誇りだけど、満足という感覚はない」。

 39歳のベテランは、「いつまでも自分がやっていて、良いのかという思いもある」と自嘲気味に語ったが、すぐさま「下から出てきても負けない」と一言。J1最多となる大記録の更新は、まだまだ終わりそうにない。

(取材・文 奥山典幸)

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