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J2長崎で唯一の熊本出身者FW松本、地震で被災した家族のためにも…「サッカーをやるしか」

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[4.23 J2第9節 町田1-0長崎 町田]

 とにかく結果が欲しい試合だった。V・ファーレン長崎のFW松本大輝は後半開始からピッチに立つと、積極的にゴール前に顔を出す。「今日は上手く試合に入ることが出来た」。しかし結果は無得点。開幕戦を勝利している長崎だが、未勝利は7戦に伸びた。FWとして結果が残せなかったことで、松本は悔しそうに唇を噛んだ。

 熊本県を震源とする大地震が日本列島に衝撃を与えている。サッカー界にも大きな影響を及ぼし、地震があった週に九州地方で開催が予定されていた試合は全試合が延期。長崎は17日に本拠地で予定していた水戸戦を行うことが出来なかった。

 松本の出身地である熊本市は甚大な被害を受け、実家に住む両親と姉は避難所生活を余儀なくされた。実家の建物は大丈夫だったが、友人宅は大きな被害を受けているのだという。

「自分はサッカーをやるしかない」

 現在も余震は続いており、実家に戻りたい思いは強いが、今ある環境に感謝、そしてできることを続けるしかないと言い聞かせながらプレーを続けている。「僕にできることがあれば何でもやりたい」。

 高木琢也監督も、熊本に特別な思いを持つ一人だ。高木監督は2010年から3シーズン、ロアッソ熊本を指揮した。「震災があってから初めての試合になるが」との問いに、約7秒間沈黙。「3年間お世話になった。一刻も早い復興を願っている」と声を絞り出すと、「試合が終わったあとに結果はどうであれ、これだけやったんだという姿勢を見せようという話しを選手たちにはしていた」と神妙に続けた。 

(取材・文 児玉幸洋)
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