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バルサはなぜ34歳右SBスルナの獲得を熱望するのか?

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バルサが獲得を熱望するDFダリヨ・スルナ

 2017年1月の移籍市場を前に、バルセロナシャフタールに所属するクロアチア人選手、DFダリヨ・スルナの獲得に動いていると報じられた。

 バルセロナと言えば下部組織(カンテラ)出身の選手を出場させたり、若手選手の重用を見せるケースが多く、34歳の大ベテランを獲得するというのは、これまでクラブが見せてきた補強計画を踏まえても明らかに異質なものだ。なぜ今、スルナの獲得を熱望しているのか考察してみよう。

 まずは、16年夏にユベントスへと去っていったDFダニエウ・アウベスの存在が大きかったことは言うまでもないだろう。2008年の加入以来、このブラジル人は右サイドを圧倒的な走力と持久力で上下動し、“世界最高のサイドバック”と称されるほどの活躍を見せていた。

 そのD・アウべスが去り、シーズン2年目を迎えるMFアレイクス・ビダルの出場数が増えるかと思えた。しかし、ルイス・エンリケ監督はビダルに信頼を寄せていないようだ。

 現在、右サイドバックのスタメンを務めているのはMFセルジ・ロベルトだが、A・ビダルの退団を容認しており、右サイドバックの選手層に不安を抱えている。そこで白羽の矢が立ったのがスルナというわけだ。

 かつてバルセロナは百戦錬磨のベテランを獲得したことにより、チーム全体の統率に成功した例がある。2004年に加入したスウェーデン人FWヘンリク・ラーションは、当時32歳という年齢でバルセロナに加わった。ラーションはスター選手が多数在籍していた当時のバルセロナの中でも常にチームのために働き、サミュエル・エトーの控え扱いでも不平を口にせず、ピッチに立った時にはしっかりと結果を残した。プロの模範とも言うべき姿勢を貫き、チームの潤滑油として機能した。その時のように、スルナにはベテランならではの働きを期待しているのだ。

 現地メディアの報道によると、バルセロナのスポーツディレクターを務めるロベルト・フェルナンデスは、スルナを1月に獲得し、来夏に改めて将来を見据えた長期的な補強をするプランを描いているという。

 スルナのシャフタールでの契約は2017年6月までとなっている。ウクライナリーグは現在、ウィンターブレークに入り、17年3月のリーグ再開後は4試合消化すれば契約満了となる。スルナ自身もキャリアの晩年でバルセロナのユニフォームを着られるチャンスを待望しているとされ、シャフタール側も03年の入団以来、13年にわたってチームに貢献してきたスルナが希望すれば契約を半年残しての退団も容認する見通しだ。

 右サイドバックと言えば、スルナ以外にも有力選手はたくさんいるが、バルセロナで即戦力になれる実力者が冬の移籍市場で獲得できるかどうかは期待薄と言わざるを得ない。バレンシアのジョアン・カンセロとサウサンプトンのセドリック・ソアレスは有力候補とされるが、シーズン終了までそれぞれのクラブが手放す可能性は限りなく低い。バルセロナの下部組織出身であるアーセナルのDFエクトル・ベジェリンは先日、契約延長したばかりだ。

 このような経緯があり、信頼ができる低コストの右サイドバックとして、スルナはバルセロナの獲得候補リストの最上位に名を連ねることになったのである。

 ウクライナのシャフタールで13年間を過ごしたスルナは、34歳でバルセロナに挑戦できるチャンスが眼前にある。世界トップレベルのクラブでビッグタイトルに挑戦する機会を得られる上に、バルセロナで契約満了を迎えて現役引退するとなると、その先もサッカー界で明るい未来が待っているのは間違いない。

 また、バルセロナは年明けにチャンピオンズリーグの試合も控えているが、シャフタールは予選段階で敗退しているため、スルナがもし移籍しても(異なるチームで同一シーズンに大会出場できない規定)同大会に出場できる見通しになっている点も大きなメリットとなる。

 果たして、シャフタールは契約を残り半年となったスルナを手放すのだろうか。それはスルナ本人が「バルサに行かせてほしい」と直訴すれば、自然と道は開けることになりそうだが……。その動向に今後も注目することにしよう。


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