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「爆発的な選手はいない」…“日替わりヒーロー”誕生の東海大仰星、富山一下して4年ぶり8強へ

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富山一守備網を突破しようとする東海大仰星高(大阪)の背番号10・MF松井修二

[1.3 全国高校選手権3回戦 東海大仰星2-0富山一 等々力]

 第95回全国高校サッカー選手権3回戦が各地で行われ、等々力陸上競技場の第2試合では4年ぶり5回目の出場となる東海大仰星高(大阪)と2年連続27回目の出場となる富山一高(富山)が対戦。前半9分に先制した東海大仰星が、後半26分に加点して2-0の完封勝利を収めて3回戦突破を決め、1月5日に行われる準々決勝で前回大会王者の東福岡高(福岡)と対戦する。

 先制に成功したのは東海大仰星だった。前半9分、相手のクリアボールがポストに当たって跳ね返ったところに、いち早く反応したMF新保隼人(3年)が右足で蹴り込んでスコアを1-0とした。チームを率いる中務雅之監督は「早く点を取れるに越したことはない。いい形でゴールを奪えたと思う」と振り返ると、日替わりヒーローの出現に頬を緩める。

 初戦の藤枝明誠戦ではMF松井修二(3年)が、2回戦の鹿島学園戦ではMF見野龍太郎(3年)が決勝点。そして、2試合ゴールのなかった背番号9・新保に今大会初ゴールが生まれた。「ウチには爆発的な力を持った選手がいるわけではない。全員がお互いを理解しながら準備できるか。そういう部分において、彼らは集中力を保ってくれている」。その後は両チームともに相手守備の粘り強い対応に遭い、なかなか決定機を創出できずに1-0と東海大仰星がリードしたまま前半を折り返すことになった。

 前半のシュートを1本に抑えられた富山一は、後半7分にMF中田幹也(3年)に代えてMF前田拓哉(2年)、MF大江紘丈(3年)に代えてMF高浪陸(2年)を同時投入して状況を打開しようと試みる。右サイドに配された高浪が積極的に仕掛け、DF村澤亮斗(3年)のロングスローなどでゴールに迫る場面こそ作り出すが、DF玄尚悟(3年)とDF吉田純平(3年)のCBコンビを中心とした東海大仰星守備陣を攻略し切れず。

 後半20分には左サイドから切れ込んだMF久保佳哉(3年)が左足の強烈なシュートを枠内に飛ばすが、好反応を見せたGK宮本一郎(2年)に弾き出されてしまう。すると、危機をしのいだ東海大仰星に追加点が生まれる。同25分、PA内で相手のファウルを誘ってPKを獲得すると、このPKを松井がきっちりと蹴り込んでリードを2点差に広げた。

 リードを2点差とされた富山一は2分後の後半28分に183センチのFW星野黒拓実(3年)を投入。縦への素早い攻撃から攻勢を強め、同35分には後方から送られたボールでPA内に飛び込んだFW坪井清志郎(2年)が決定機を迎えたが、距離を詰めた宮本に阻まれてしまい得点は生まれず。最後までゴールを守り抜いた東海大仰星が2-0の完封勝利を収めて、第91回大会以来、4年ぶりのベスト8へと駒を進めた。

「全国大会を熟知している相手に対し、生徒が真っ向勝負を挑み、その姿勢を崩さなかったのが勝因。球際、セカンドボール、競った部分を含めて相手はしっかりやってくるが、ウチの生徒もひるむことなくやれた」

 選手たちに賛辞を贈った指揮官は、次戦に向けて視線を鋭くさせる。1月5日に行われる準々決勝で対戦するのは、前回大会王者の東福岡。「高校サッカー界のトップを走り、個人の力、組織の力で群を抜く相手に、いい戦いができるように良い準備をしていきたい」と金星をつかみ取り、チーム史上初となるベスト4進出を目指す。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 折戸岳彦)

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