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俺、目立ちたいんです!! 千葉MF高橋壱晟、ゴールにこだわる“武器のない男”

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プロ1年目の意気込みを語ったジェフユナイテッド千葉MF高橋壱晟

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 青森山田高3年時、背番号10を背負ってプレミアリーグチャンピオンシップと全国高校選手権を制し、2冠を経験したMF高橋壱晟ジェフユナイテッド千葉に加入してプロ生活をスタートさせた。高校選手権で5試合連続ゴールを記録するなど、中盤の選手でありながらも高い得点力を装備する男が、ゴールへの強いこだわりを語った。

朝5時半の練習に現れた男
「ここまでしてくれるんだ」と感じた熱意


――昨季、高校生としては最も早い6月に加入内定が発表されました。早い段階での千葉加入の決め手を教えて下さい。
「スカウトの稲垣(雄也)さんの熱意を感じられたことは大きかったですね。当然、千葉の環境はすごく良いと思ったし、伝統あるクラブということにも惹かれましたが、それに加えて本当に稲垣さんがすごかったんです」

――どういう部分で熱意を感じたのでしょうか。
「まず、2年生の選手権が終わったときにいち早く声を掛けて頂けたし、毎週のようにプレミアの試合を見に来てくれました。それと、山田の朝練は5時半に始まることもあるのですが、そこにも来てくれたんですよ。朝早いから、暗い中で練習していたら、誰かの視線を感じて(笑)。『誰かな?』と思っていたら、『おう、壱晟!!』と稲垣さんから声を掛けられて、超ビックリしました。『練習を見に行くよ』ということも聞いていなかったので、『ここまでしてくれるんだ』『ここまで自分のことを欲しがってくれているんだ』と感じることができたのは、千葉に行こうと決めた大きな理由の一つです」

――一時は大学に進学することも考えていたようですね。
「プロで通用するかどうか、本当に自信がなかったんです。だから、大学に行った方が将来的に可能性が広がると思い、進学も考えましたが、『自分が一番に目指しているものは何だろう?』と考えたときに、やっぱり『プロサッカー選手だ』と思ったんです。それと、2年生の選手権後に千葉の練習に2、3日参加したのですが、自分が思っていた以上の手応えがありました。もちろん、すぐに通用するとは思いませんでしたが、あと1年山田で力を付けていけばプロでも通用するかも知れないと思え、進学の考えは捨ててプロ1本で考えるようになりました」

――プロの世界を肌で感じたことで、その世界で生きていこうと決断できた。
「あと、アランダ選手と話す機会があったのも大きかったですね。練習参加したときにちばぎんカップがあったのですが、そのときのアランダ選手のプレーを見て、『こういう選手になりたい』と思ったんです。そうしたら、その後の練習参加のときに稲垣さんがアランダ選手と話す機会を設けてくれました。1時間くらい話した中でプロでやっていくための心構えや、謙虚さと努力することは絶対に忘れてはいけないということを教えてもらい、その後の意識は変わったので、高校3年の1年間は本当に一日一日を大事に過ごせたと思います」

――大事に過ごした1年でプレミアリーグチャンピオンシップと高校選手権を制して見事に2冠を達成します。
「本当に想像できない1年になったし、今まで生きてきた中で一番充実していた1年でした。最初はプレミア残留が目標だったので、まさかですよね。でも、3年生の1年間は他のことは何も考えずにサッカーのことだけを考えて、選手権で優勝するため、プロに行ってから活躍するために時間を費やしてきました。だから、それが実を結んだので言うことのない1年だったと思います」

「点を取れなければ意味がない」
能力を覚醒させた恩師の言葉


――選手権では初戦から5試合連発とゴールを量産しました。
「すぐに試合をやりたいというくらい、乗っている部分もあったと思いますが、あそこまで点を取れるとは思っていなかった。ただ、あっという間に過ぎていった感覚があって、言葉で表すのはちょっと難しいですが、気付いたら選手権が終わっていたという感じで、本当に夢中になってやっていたんだなと思います」

――中盤の選手ながらも得点力の高さが際立ちましたが、「自分の一番の武器は何ですか?」と聞かれたら、どう答えますか。
「得点力と言います」

――FWではなく、中盤の選手が「得点力」と言えるのは相当な自信があるように感じます。
「いや、本当は武器はなくて、良いと思っているものがないんですよ(笑)。選手権でたまたま点を取れたから武器と言えるだけで、本当は自分に武器があるとは思っていません。何か見つけないといけないなと思っていますが、選手権で得点力の部分は証明できたと思うので、それを今度はプロで見せられればいいとは思います」

――今年度の選手権での5戦連発だけでなく、2年生の選手権でも4点を奪ったように、純粋に中盤の選手があそこまでのゴールラッシュを見せられたのは驚きです。あの得点感覚はどのようにして身に付いたのでしょう?
「高校3年間でシュート練習は、絶対に誰よりもやってきた自信があります。リターンボックスという、ボールを当てたらはね返ってくる壁があったんですけど、それを使ってシュート練習をしていたし、チームメイトにクロスを上げてもらうこともあり、自分で考えながらいろいろな形からの練習をしていました」

――それは青森山田高に入って始めた練習ですか。
「黒田(剛)監督から『お前は点を取れるんだ。だからもっと欲を出せ』『得点を取れなければ、いる意味がない』くらいに言われ、特に得点力が必要だと分かった2年生からでした。小学生の頃にFWでプレーして点を取っていたイメージが、監督の中にはあったようです。でも、ゴールを取れと言われても、簡単にできるものではないし、2年生の頃は練習中にずっと怒られていたので、試行錯誤を重ねました。ただ、考えながらシュート練習を続けることで、少しずつ結果もついてきたし、ゴール前に上がるタイミングもつかめてきたと思います」

――前線まで駆け上がればシュートまで持ち込む場面も多いと思います。得点嗅覚に優れているのか、ポジショニングがいいのか、試合の流れを読む力があるのか、ご自身ではどう思いますか。
「う~ん……。ポジショニングはずっと課題だと感じていて、試合の映像を見直しても、あの場面はこうすれば良かったと思うことが多いし、試合の流れを読むと言われても、そこまで考えているかも分かりません(笑)。ただ、中盤で自分が起点となって、自分が決めるという理想はあります。人生のベストゴールが2年生のときの選手権(準々決勝)の富山一高戦のゴールで(右サイドでボールを受けた高橋は左サイドに展開するとゴール前に走り込み、クロスをヘディングシュートで叩き込んだ)、ああいう理想のゴールを増やしていきたいとは思っています」

開幕スタメンを目標に準備
プロになっても戸惑いはない


――前線まで駆け上がってボールを呼び込んだ後、シュートの場面で落ち着きがありますよね。
「自分の感覚としてはシュートを打つときは結構、無心です。あまり考えていると得点を奪えないので、コースが空いているところが見えたらきちんとボールを打つという感覚です」

――チームメイトが自分より良いポジションにいたらどうしますか?
「ゴールを意識するようになってからは、勝負所でパスを選択することはあまりないかもしれません。もちろん、両方を選択肢に持った方がいいとは思っています」

――シュートを第一選択肢に持っている選手は、相手にとって一番の脅威になると思います。
「高校2年のときは、かなり無理をしていましたけどね(笑)。シュート、シュート、とにかくシュート。頭の中に『前』という単語しかないくらい、ひたすら前に上がることしか考えていなかった。前に行ってボールが来なければ守備に戻り、また前に行ってボールが来なかったら頑張って戻るの繰り返し。上下動を繰り返す分、体力の消耗も早くて、3年になってからは意識して上がらない時期もありました。でも、そうすると点が取れない時期が続いて、もう一度点を取ることを考えてプレーできたことが、選手権の結果にもつながったと思います。まだまだ課題はありますが、試合の流れを読み、前に行くタイミング、行かないタイミングを考えて、シュート回数を増やしたいですね」

――アシストが好きという時期はありましたか?
「中学生のときはアシストの方が好きだったかもしれませんが、ゴールを取らないと目立たないじゃないですか。僕は普段は目立ちたくないし、集合写真でも端っこに写っていればいいんです。でも、サッカーでは目立ちたい。試合を見に来てくれる人はゴールを期待しているし、ゴールを取れば自分のことだけを見てくれると思うんです。それは、もう快感ですよ」

――大人しいイメージを持っていましたが、実は目立ちたがり屋?
「普段は陰に隠れていても、存在感がなくてもいいんです。でも試合では存在感を出したいし、目立ちたいですよ。だから、皆の視線を独占できるゴールは本当に好きです」

――JリーグDAZNニューイヤーカップでは先発で起用されました。シャドーの位置のプレーで得点を重ねるイメージは?
「もう、できています。ミーティングもやって、求められている動きも理解しています。あとは、そこで得点を取れるかどうか。ドリブルで突破することは難しいし、豪快なミドルシュートを決めたこともないけど、頑張ってPA内まで走っていき、とにかくゴールを決めていきたい」

――プロとなり、高校サッカーとの違いや戸惑いを感じることはあると思います。
「千葉に加入することが決まったときから開幕スタメンを目標に、開幕から先発で試合に出るための準備をしてきたので、戸惑いはありません。ただ、キャンプ途中で違和感があり別メニューになってしまったので、練習量が少ないのが不安ですね。もちろんプロである以上、追い込むだけでなく、体のケアをするのも仕事だと思いますが、自分はセンスがあるわけではなく、練習をコツコツやって結果を出すタイプです。高校のときもシュート練習を続けたことで結果がついてきたので、そこはちょっと不安です」

――練習すれば結果につながることを体感しているからこそ、より一層不安になるんでしょうね。
「けど、与えられた時間、練習の中でやるしかないし、誰よりも集中して、自分で強度を上げるイメージを持つしかないと思っています。アップのボール回しも、自分でポジショニングを考えればより良い練習になるし、守備に回っても2人でどう取りに行けばいいか、試合をイメージしながらやればいい。自分の後ろにパスを出されたら、試合では中盤の選手は戻って守備をしないといけません。だから、どうしなければいけないかを突き詰めるように取り組めばいいと感じています」

――最後に今季の目標を教えて下さい。
「何ゴール決めたいという数字は特に決めていませんが、とにかくフクアリで点を決めたい。それでチームを勝たせられて、ファン・サポーターの方と一緒に喜ぶことができたら本当にうれしいんだろうなと思っています」

(取材・文 折戸岳彦)


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