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「スポーツライター平野貴也の『千字一景』」第45回:入学前から10番(桐光学園高・西川潤)

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入学前ながらも名門・桐光学園高の10番を背負ったFW西川潤(新1年)

“ホットな”「サッカー人」をクローズアップ。写真1枚と1000字のストーリーで紹介するコラム、「千字一景」

 背番号10である。入学は、まだしていない。神奈川の名門である桐光学園高に、大物ルーキーが現れた。U-15日本代表FW西川潤だ。横浜F・マリノスのジュニアユースで育ったが、今春に卒業を迎えた兄・公基の後を追って桐光の門を叩いた。3月末、強豪校が揃う親善大会「船橋招待」に、いきなり背番号10をまとって登場した。かつてMF中村俊輔(現磐田)らが背負った名門の10番。西川は「プレッシャーは、ないです。こういう番号をもらえて、純粋に嬉しいと思いました。兄には言っていないです。照れくさいので」と、与えられたユニフォームの感想を素直に語っていたが、高い評価と期待を受けていることは明らかだった。

 若い才能と大きな看板の組み合わせは、賛否が分かれる。責任を負って大きく成長する者がいる一方で、プレッシャーに押し潰される可能性もあるからだ。鈴木勝大監督は賛否両論があると前置きした上で「能力があるし、責任もプレッシャーも背負った中で成長してほしい。プラスになることの方が大きいと思ったので、迷うことはなかった」と10番を託した理由を明かした。

 西川は、足下の技術が高く、身長170cm台後半と体も大きい。まだ高校のスタイルに慣れていない部分は見受けられるが、サイドでボールを持ち、相手のプレッシャーをかわして中央へ持ち出すなど、能力の高さを随所に見せた。技術で相手との駆け引きを制するプレーは魅力的だ。ただ、入学段階の能力が高くても、輝き続ける保証はない。鈴木監督は期待をかけるだけでなく「ストライカーとして、成功する可能性が低い場面でも(勝負に)いかなければいけない瞬間もあるけど、まだ強引さやゴールへの執着心は足りないので、身につけてほしい」と注文も加えた。西川自身も「試合に使ってもらえて嬉しいけど、まだ、結果が伴っていないので、突き詰めたい。桐光の前線から守備をするスタイルによって、自分の弱点である運動量の部分を改善できるのではないかと思っている。もっと戦える選手になりたい」とパワーアップした自分のイメージを頭に描いていた。

 ゲームを支配するようなプレーが出てくるのはこれから。華麗な動きに力強さを加えて、目標を達成できるか。西川は、これから臨む高校でのシーズンについて「マリノスがプレミアリーグでやっているので対戦したい。プリンスリーグから昇格して、プレミアで優勝できるようにしたい」と意気込みを語った。1年生で背負った、高い期待の証である「桐光の10番」にふさわしい選手になるという彼のストーリーは、まだ始まったばかりだ。

■執筆者紹介:
平野貴也
「1979年生まれ。東京都出身。専修大卒業後、スポーツナビで編集記者。当初は1か月のアルバイト契約だったが、最終的には社員となり計6年半居座った。2008年に独立し、フリーライターとして育成年代のサッカーを中心に取材。ゲキサカでは、2012年から全国自衛隊サッカーのレポートも始めた。「熱い試合」以外は興味なし」

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