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流経大柏のサイドプレーヤーは「1対1で絶対に負けてはいけない」。積極果敢に仕掛けたMF宮寺優斗が全国決定弾!:千葉

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前半5分、MF宮寺優斗(中央、背中)のゴールを喜ぶ流通経済大柏高

[6.17 全国高校総体千葉県予選準決勝 日体大柏高 0-1 流通経済大柏高 柏の葉]

 平成29年度全国高校総体「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技千葉県予選準決勝第2試合、16年全国準優勝の流通経済大柏高日体大柏高戦で、勝負を決定付けるゴールを挙げたのは、怪我から復帰したばかりの流経大柏MF宮寺優斗だった。

 スタメンを告げられたのは、試合前日の練習だった。3年生の彼はシーズンが本格的に始まる直前の練習で怪我を負ってしまった。3月のプリンスリーグ関東のメンバーを発表前に、左すねの頸骨高原骨折を負ってしまい、2か月以上もの離脱を強いられてしまった。

「調子は良かったのですが、本当にこれからというときに怪我をしてしまった。悔しかったですが、しっかりと治して復帰していこうと思いました」。

 リハビリを重ね、2週間前に完全復帰を果たした。そして、日体大柏戦を前日に控えた練習で、サブ組でプレーをしていた宮寺の動きが、本田裕一郎監督の目にとまった。「凄く動きが機敏で、(右サイドバックの)石川貴登とのコンビネーションが凄く良かった。すぐにスタメンで使おうと思った」という理由で本田監督は宮寺を右サイドハーフに抜擢をした。

「びっくりしました。でも、チャンスが来たので絶対に結果を残そうと思った」。迎えた日体大柏戦、彼は指揮官の期待に見事に応えた。「流通経済大柏のサイドの選手は1対1で絶対に負けてはいけない。そこの勝負はこだわった」と語ったように、立ち上がりから積極果敢に仕掛けた。

 開始早々の前半5分、いきなりその姿勢が結果を生み出した。右サイドでボールを受けると、迷わずドリブルを仕掛けた。「突破出来なくても、最悪ファールをもらってFKや、CKになるように潜り込むことを意識した」と、身体をねじ込むようなドリブルを仕掛け、狙い通りファールを受け、FKを獲得する。

 このFKをDF近藤立都が直接狙うと、GKが弾いたボールをMF菊地泰智が詰めに行く。一瞬早く相手DFがボールを蹴り出そうとするが、ボールは菊地の足に当たり、PA外で構えていた宮寺のもとに転がって来た。

「相手のGKは守備範囲が広くて、セービングが上手いので、ファーに低くて速いボールを蹴れば、止められたとしても、こぼれ球を誰かが押し込んでくれると思った」。鋭い右足のスイングから放たれた強烈なシュートは、狙い通り低空飛行でゴール左隅に飛んで行き、GKの指先に触れるも、そのまま左サイドネットに突き刺さった。

 待望の先制点をもたらした宮寺は、その後も石川とのコンビネーションで右サイドを活性化。だが、「正直、ゲーム体力はまだまだ万全の状態に取り戻せていませんでした」と語ったように、後半に入ると運動量が落ち、12分に交代を告げられた。

 終盤は日体大柏のスピードアタッカー・松田一紗とFW上妻楓季を活かした高速カウンターに苦しんだが、流経大柏はGK薄井覇斗関川郁万瀬戸山俊のCBコンビを軸にした流通経済大柏の守備陣の牙城は最後まで崩れなかった。宮寺の値千金の1点をチーム全員で守り切り、流通経済大柏が追いすがる日体大柏を1-0で振り切って、インターハイ出場権を手にした。

「サイドのポジション争いは本当に激しい。これでレギュラーを掴んだとは思っていないので、これからもっと体力を戻して行って、フルでチームに貢献出来るようにしたい。流通経済大柏のサイドは最後まで1対1で負けてはいけませんから」。

 これからさらに指揮官の期待に応えるべく。大きな手応えを掴んだ宮寺は、慢心すること無く、さらに突破力に磨きをかけてチームの勝利に貢献すべく、自らを奮い立たせた。

(取材・文 安藤隆人)
●【特設】高校総体2017

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