[関東2部]天皇杯の120分死闘から中2日も…国士舘大が早稲田大撃破で首位奪取!
[6,24 第91回関東大学2部L第11節 早稲田大1-2国士舘大 国士舘大町田C]
第91回関東大学2部リーグ前期最終節にあたる第11節が24日に行われ、国士舘大学町田キャンパスサッカー場の第2試合では、国士舘大が勝ち点23で並ぶ首位・早稲田大を2-1で撃破。首位の座を奪い、前期リーグを折り返した。
国士舘大は今月21日に天皇杯2回戦で湘南と延長戦にもつれ込む120分を戦ったばかり。0-1で敗れた死闘から、わずか中2日で前期リーグ最終節の“首位決戦”を迎えた。天皇杯後の2日間は約1時間の練習に留めるなど、疲労回復を図ったというが、選手たちは満身創痍の状態。それでもMF荒木翔(4年=日本航空高)が「そんなことは言ってられない」と語ったように、湘南戦の先発と変わらない顔ぶれとなった11人は、立ち上がりから連戦の影響を感じされることなく、運動量豊富に相手を押し込んだ。
前半3分、MF山口和樹(4年=日本航空高)のパスから左サイドへ抜けたMF大石竜平(3年=清水桜が丘高)がクロス。味方に合わずにファーへ流れたボール。拾った荒木がドリブルで仕掛けるが枠外。同4分には右クロスからPA正面の大石がU-20日本代表GK小島亨介(3年=名古屋U18)と一対一を迎えるも、シュートはGK正面で止められた。
ピンチの続いた早稲田大は、前半9分にアクシデント。得点ランキングトップに立つFW武颯(4年=横浜FMユース)が敵陣ハーフウェーライン付近でCB住吉ジェラニレショーン(2年=日大藤沢高)と競り合うと、着地の際に左腰を強打。一度はプレーを続けたが、同11分に自ら「×」を出して負傷交代。立ち上がることさえできずに担架で運ばれた。後半13分にFW飯泉涼矢(4年=三菱養和SCユース)が入る。ここまで12得点を挙げてきたエースが離脱。さらには、前日の練習で負傷したため、この日は名古屋内定MF秋山陽介(4年=流通経済大柏高)が不在の状況。窮地に立った早稲田大は相手を崩すことができず時間は過ぎる。
対する国士舘大はハイテンションで押し込み続けると、前半29分に先制に成功。ビルドアップから後方へ戻し、受けたGK野津幹陽(4年=三菱養和SCユース)が右足でのトラップから利き足ではない左足で大きく蹴り入れると、左サイドへ抜けた荒木にぴたりと合う。GK小島と一対一になった荒木が冷静に左足で流し込み、1-0と先制に成功した。
国士舘大の細田三二監督は「なぜだか蹴れない左足に持ち変えて……」と冗談まじりに話したが、アシストの守護神は「神ってました」と笑顔をみせ、「初めてのアシスト。人生初です。完全に彼(荒木)が走り出したのに引っ張られました。俺が起点というよりも、彼の走りが起点でした」とゴールの荒木に感謝。シュートを決めた7番は「絶対に(野津から)来るなと走り出していたら、意思疎通ができていました」と胸を張った。
1点を返したい早稲田大は前半32分、MF金田拓海(2年=神戸U-18)のパスからMF相馬勇紀(3年=三菱養和SCユース)が抜群のスピードで左サイドを突破。マイナス気味の折り返しは味方に合わない。空中戦では相手CB住吉の強さに弾かれ、セカンドボールも拾えず。同43分には今度は右サイドからMF柳沢拓弥(4年=清水ユース)が仕掛けるもシュートで終われない。0-1で前半を折り返した。
後半に入っても主導権を握るのは国士舘大。後半開始10分には「ほとんど全員足がつっていた」と言うが、立て続けにチャンスメイクするなど疲労を感じさせない。後半7分には相手DF大桃海斗(2年=帝京長岡高)がクリアミスしたボールを拾った山口がドリブル突破。右サイドから対角へのシュートはポスト左へ外れる。同9分にはPA左からドリブルで仕掛けたFW田場ディエゴ(3年=日大藤沢高)のシュートはポスト右を叩く。同15分には大石の絶妙な左クロスにDF飯野七聖(3年=新潟U-18)が頭で合わせるもクロスバー上。最後の精度に課題はみえるものの、相手を押し込み続ける。
すると後半22分にセットプレーから追加点。先制点の荒木が入れた右CK、キャプテンのMF平野佑一(4年=國學院久我山高)がヘディングシュートを決めた。競り合いに強い住吉に合わせる形が続いていたが、裏を欠いて平野に合わせると、これがはまった。2-0と差を広げる。
流れを変えたい早稲田大は後半22分に柳沢に代わり、MF鈴木裕也(4年=武南高)を投入。同26分にはMF石川大貴(4年=名古屋U18)に代えて、FW岡田優希(3年=川崎F U-18)を入れた。その後は鈴木が左サイドから仕掛けてはチャンスを演出したが得点には至らず。同31分には金田から受けた鈴木裕が飯泉へクロスを入れるもGKに阻まれる。
それでも後半37分にようやくゴールネットを揺らす。右サイドで相馬からのスルーパスに抜け出た途中出場の岡田がDFを背負いながらGKとの一対一。PA右から対角へ右足シュートを流し込んだ。1-2と差を縮める。これで勢いに乗りたいところだったが、あとが続かない。同41分には鈴木裕の左クロスからファーのMF今来俊介(4年=桐光学園高)がダイレクトで狙うもクロスバー上。CB鈴木準弥(4年=清水ユース)は後方からチームを盛り立て続けるが、2点目は遠い。
1点差に詰め寄られた国士舘大には嫌な雰囲気が漂うも、守備陣がこれを払拭。試合を通じて圧倒的な強さを示していたCB住吉は最後まで集中力高くプレーし、相手を寄せ付けず。後半45分には右サイドへ抜け出そうとした鈴木裕を鮮やかなスライディングで防いでみせた。また同アディショナルタイム2分にはGK野津の背後にボールが落ち、あわやのシーンもあったがCB花房稔(3年=國學院久我山高)が冷静に頭でクリア。最小失点に留めた。2-1で試合は終了。勝利を飾った国士舘大が首位に躍り出た。
今節の勝利で首位・国士舘大は勝ち点26に伸ばし、昇格圏内の2位・早稲田大は勝ち点23のまま。3位の拓殖大は勝ち点20としている。1年での1部復帰へ向けて、国士舘大は最高の形で折り返しを迎えた。とはいえ、細田監督は「今年の目標は欲張りだけれど、インカレの出場権を取ること」と飄々と語る。
全日本大学選手権(インカレ)へ2部所属校が出場するためには、夏の大学日本一決定戦である総理大臣杯で優勝するしかない。指揮官は「この勝利をなんとかアミノ(大臣杯関東予選)につなげて出場権をとって、総理大臣杯の本大会でインカレの出場権を取るのが後期リーグを迎える前の目標です」と微笑んだ。1部復帰に留まらず、遥か上を見据える国士舘大。躍進のシーズンとなるか。
(取材・文 片岡涼)
●第91回関東大学1部L特集
第91回関東大学2部リーグ前期最終節にあたる第11節が24日に行われ、国士舘大学町田キャンパスサッカー場の第2試合では、国士舘大が勝ち点23で並ぶ首位・早稲田大を2-1で撃破。首位の座を奪い、前期リーグを折り返した。
国士舘大は今月21日に天皇杯2回戦で湘南と延長戦にもつれ込む120分を戦ったばかり。0-1で敗れた死闘から、わずか中2日で前期リーグ最終節の“首位決戦”を迎えた。天皇杯後の2日間は約1時間の練習に留めるなど、疲労回復を図ったというが、選手たちは満身創痍の状態。それでもMF荒木翔(4年=日本航空高)が「そんなことは言ってられない」と語ったように、湘南戦の先発と変わらない顔ぶれとなった11人は、立ち上がりから連戦の影響を感じされることなく、運動量豊富に相手を押し込んだ。
前半3分、MF山口和樹(4年=日本航空高)のパスから左サイドへ抜けたMF大石竜平(3年=清水桜が丘高)がクロス。味方に合わずにファーへ流れたボール。拾った荒木がドリブルで仕掛けるが枠外。同4分には右クロスからPA正面の大石がU-20日本代表GK小島亨介(3年=名古屋U18)と一対一を迎えるも、シュートはGK正面で止められた。
ピンチの続いた早稲田大は、前半9分にアクシデント。得点ランキングトップに立つFW武颯(4年=横浜FMユース)が敵陣ハーフウェーライン付近でCB住吉ジェラニレショーン(2年=日大藤沢高)と競り合うと、着地の際に左腰を強打。一度はプレーを続けたが、同11分に自ら「×」を出して負傷交代。立ち上がることさえできずに担架で運ばれた。後半13分にFW飯泉涼矢(4年=三菱養和SCユース)が入る。ここまで12得点を挙げてきたエースが離脱。さらには、前日の練習で負傷したため、この日は名古屋内定MF秋山陽介(4年=流通経済大柏高)が不在の状況。窮地に立った早稲田大は相手を崩すことができず時間は過ぎる。
対する国士舘大はハイテンションで押し込み続けると、前半29分に先制に成功。ビルドアップから後方へ戻し、受けたGK野津幹陽(4年=三菱養和SCユース)が右足でのトラップから利き足ではない左足で大きく蹴り入れると、左サイドへ抜けた荒木にぴたりと合う。GK小島と一対一になった荒木が冷静に左足で流し込み、1-0と先制に成功した。
国士舘大の細田三二監督は「なぜだか蹴れない左足に持ち変えて……」と冗談まじりに話したが、アシストの守護神は「神ってました」と笑顔をみせ、「初めてのアシスト。人生初です。完全に彼(荒木)が走り出したのに引っ張られました。俺が起点というよりも、彼の走りが起点でした」とゴールの荒木に感謝。シュートを決めた7番は「絶対に(野津から)来るなと走り出していたら、意思疎通ができていました」と胸を張った。
1点を返したい早稲田大は前半32分、MF金田拓海(2年=神戸U-18)のパスからMF相馬勇紀(3年=三菱養和SCユース)が抜群のスピードで左サイドを突破。マイナス気味の折り返しは味方に合わない。空中戦では相手CB住吉の強さに弾かれ、セカンドボールも拾えず。同43分には今度は右サイドからMF柳沢拓弥(4年=清水ユース)が仕掛けるもシュートで終われない。0-1で前半を折り返した。
後半に入っても主導権を握るのは国士舘大。後半開始10分には「ほとんど全員足がつっていた」と言うが、立て続けにチャンスメイクするなど疲労を感じさせない。後半7分には相手DF大桃海斗(2年=帝京長岡高)がクリアミスしたボールを拾った山口がドリブル突破。右サイドから対角へのシュートはポスト左へ外れる。同9分にはPA左からドリブルで仕掛けたFW田場ディエゴ(3年=日大藤沢高)のシュートはポスト右を叩く。同15分には大石の絶妙な左クロスにDF飯野七聖(3年=新潟U-18)が頭で合わせるもクロスバー上。最後の精度に課題はみえるものの、相手を押し込み続ける。
すると後半22分にセットプレーから追加点。先制点の荒木が入れた右CK、キャプテンのMF平野佑一(4年=國學院久我山高)がヘディングシュートを決めた。競り合いに強い住吉に合わせる形が続いていたが、裏を欠いて平野に合わせると、これがはまった。2-0と差を広げる。
流れを変えたい早稲田大は後半22分に柳沢に代わり、MF鈴木裕也(4年=武南高)を投入。同26分にはMF石川大貴(4年=名古屋U18)に代えて、FW岡田優希(3年=川崎F U-18)を入れた。その後は鈴木が左サイドから仕掛けてはチャンスを演出したが得点には至らず。同31分には金田から受けた鈴木裕が飯泉へクロスを入れるもGKに阻まれる。
それでも後半37分にようやくゴールネットを揺らす。右サイドで相馬からのスルーパスに抜け出た途中出場の岡田がDFを背負いながらGKとの一対一。PA右から対角へ右足シュートを流し込んだ。1-2と差を縮める。これで勢いに乗りたいところだったが、あとが続かない。同41分には鈴木裕の左クロスからファーのMF今来俊介(4年=桐光学園高)がダイレクトで狙うもクロスバー上。CB鈴木準弥(4年=清水ユース)は後方からチームを盛り立て続けるが、2点目は遠い。
1点差に詰め寄られた国士舘大には嫌な雰囲気が漂うも、守備陣がこれを払拭。試合を通じて圧倒的な強さを示していたCB住吉は最後まで集中力高くプレーし、相手を寄せ付けず。後半45分には右サイドへ抜け出そうとした鈴木裕を鮮やかなスライディングで防いでみせた。また同アディショナルタイム2分にはGK野津の背後にボールが落ち、あわやのシーンもあったがCB花房稔(3年=國學院久我山高)が冷静に頭でクリア。最小失点に留めた。2-1で試合は終了。勝利を飾った国士舘大が首位に躍り出た。
今節の勝利で首位・国士舘大は勝ち点26に伸ばし、昇格圏内の2位・早稲田大は勝ち点23のまま。3位の拓殖大は勝ち点20としている。1年での1部復帰へ向けて、国士舘大は最高の形で折り返しを迎えた。とはいえ、細田監督は「今年の目標は欲張りだけれど、インカレの出場権を取ること」と飄々と語る。
全日本大学選手権(インカレ)へ2部所属校が出場するためには、夏の大学日本一決定戦である総理大臣杯で優勝するしかない。指揮官は「この勝利をなんとかアミノ(大臣杯関東予選)につなげて出場権をとって、総理大臣杯の本大会でインカレの出場権を取るのが後期リーグを迎える前の目標です」と微笑んだ。1部復帰に留まらず、遥か上を見据える国士舘大。躍進のシーズンとなるか。
(取材・文 片岡涼)
●第91回関東大学1部L特集