beacon

[MOM2335]流通経済大柏DF齋藤優輝(3年)_夏はスタンドで応援団長、冬はピッチで完封に貢献

このエントリーをはてなブックマークに追加

無失点に貢献した流通経済大柏高DF齋藤優輝(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.19 選手権千葉県予選準決勝 流通経済大柏高0-0(PK4-2)日体大柏高 柏の葉]

 夏の全国制覇を“応援団長”として経験していた右SBが、冬の大舞台で流通経済大柏高を決勝進出に導いた。日体大柏高の強烈な3トップをしぶといマークで自由にプレーさせず、この一戦で「失点をしない」ことを最優先に臨んだ本田裕一郎監督は試合後、「今日は齋藤かな」と名指しで称えた。

 19日に行われた準決勝で先発出場したDF齋藤優輝(3年)は今年の夏まで、千葉県リーグに参加するBチームで主将を務めていた。そのため、Aチームがピッチに立った総体で与えられた役割は“応援団長”。見事に頂点に輝いたチームをスタンドから盛り立てたが、「日本一を取ったのはうれしかったけど、自分の中では悔しい気持ちが大きかった」という。

 ところが、総体後の9月から念願のAチームに昇格。プリンスリーグ関東の公式戦で着実に出場機会を増やすと、今大会の準決勝で先発のチャンスが訪れた。「選手権の試合に出たことはないですし、スタジアムでやるような大きな試合は初めて。緊張しました」と口にしながらも、「Bチームでの経験が自信になった」と自然体で戦うことを心がけた。

 対する日体大柏は県リーグでも勝利した相手。また、柏レイソルの育成組織出身の齋藤にとって、相手選手に見知った顔が多く見られたのもプラスに働いた。「マッチアップした15番(FW上妻楓季)は小学校の時から一緒にやっていたヤツで、特長も分かっていた」。豊富な運動量でしぶとく密着してサイドを封鎖し、相手が中に逃げた時には攻撃参加で押し込む場面もつくった。

 その結果、チームはプランどおりの無失点で終え、PK戦の末に勝利。「自分はスーパーな選手じゃないし、下手な選手なんですけど、走る部分だけは流経のなかでも負けない部分。そのなかで泥臭く、汚れ役になることが役割だと思う」と、指揮官から課された使命をまっとうした。

 23日に控える決勝の相手は、市立船橋高に決まった。「市船と流経という対戦は、千葉で高校サッカーをするうえで夢の舞台。小学校の時からそこでプレーするのが夢だった。絶対にスタメンを獲得して勝ちたいと思います」と意気込んでいる。

 その想いの裏には、敗退した旧友、そして夏を共にしたスタンドの仲間の存在もある。「PKを外したヤツ(DF関島光)は小学校が同じで、小さい頃から一緒にやってきた。試合が終わったあと、アイツは泣いていましたけど、『全国に行ってくれ』という言葉をもらって、こっちもうるっときた。勝ってあげないといけない」。

「夏はメンバーに入っていなかったぶん、いま試合に出ている誰よりもスタンドのメンバーの気持ちは分かっていると思う。出られない人のぶんまでやるのが、出ている者の義務だと思う」。最後の大舞台でチャンスをつかんだ苦労人は、さまざまな仲間の思いも背負って、小さい頃から夢見てきた大舞台に全力を注ぐ。

(取材・文 竹内達也)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2017
★日テレジータスで「高校選手権」地区大会決勝を全試合放送!ライバル校、注目選手を要チェック!!

TOP