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「この仲間であと3試合したかった…」、大阪桐蔭主将・MF西矢健人は悔しさ飲み込む

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MF西矢健人が試合を振り返る(写真協力:高校サッカー年鑑)

[1.3 全国高校選手権3回戦 大阪桐蔭高1-1(PK3-5)明秀日立高 駒沢]

 主将・MF西矢健人(3年)が率いる大阪桐蔭高の挑戦が終わった。初出場となった9年前の大会では2回戦敗退。2度目の出場となった今大会でその2回戦を突破し、初となる3回戦に挑んだ。

「9年前から止まっていた時計を動かせましたけど、やっぱり全国はそう甘くはなかった」。チームを率いた西矢は晴れやかな顔で試合を振り返る。後半1分に先制に成功したものの、追加点を奪えずに時間は経過。「2点目、3点目を取れなかったのが悔しい」と語るように、追撃できない大阪桐蔭高は同21分に同点弾を浴びてしまう。

 再び勝ち越しを狙う大阪桐蔭高は、後半38分に最大の決定機を迎える。DF深澤佑太(2年)が右サイドから放ったクロスをファーサイドの西矢が頭で合わせると、相手GKの逆を突いたボールは惜しくもゴール右ポストをわずかにはずれる。「30㎝先にポストもうひとつ置いといてくれよって思いましたけど…」と西矢は軽口を叩きつつ悔しさをにじませた。

 1-1で決着がつかずにPK戦となり、大阪桐蔭高は3-5で敗戦。MF西山翔大(2年)がPKを外してしまったものの、西矢は「僕が(後半38分のチャンスで)決めていれば問題はなかった。僕が一番責任を感じています」と自らを厳しく律した。

 負けた瞬間に高校サッカーは終わりとなり、西矢はその過ぎ去った濃厚な時間を思い返す。「(選手権予選やプリンスリーグなどで優勝し、)残すタイトルは選手権だけだって心の底にはあった。でも、そこのラストのピースをはめることはできませんでした」と後悔を口にし、「でもここで全部揃えてしまうと、大学とかプロとか、1、2年生も来年を前に満足していたかもしれない」と今回の結果を飲み込んだ。

「これからまだまだ伸びしろがあるって神様が言ってくれているのかな」と前向きに捉える西矢。逞しく成長したその顔には時折笑顔も見えていたものの、「でもやっぱり正直に言うと…」と最後には本音をポロリ。「この仲間で、あと3試合したかったな」。そう答える西矢の眼からは涙が小さく光っていた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 石川祐介)

●【特設】高校選手権2017

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