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「今までは弱気になる自分がいた」快進撃の上田西、白尾監督が起こした選手の“意識革命”

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長野県勢初の4強を成し遂げた上田西イレブン

[1.5 全国高校選手権準々決勝 明秀日立高2-3上田西高 駒沢]

 長野県勢初の4強を成し遂げた上田西高(長野)の快進撃の背景には、就任2年目の白尾秀人監督が導入した「チームビルディング」と「メンタルトレーニング」も挙げられる。

 甲府や松本などでプレーした経歴を持つ元Jリーガーの白尾監督が16年の就任から取り組んだのは選手の意識改革。MF宮下廉(3年)は「今までは大舞台に来ると弱気になる自分がいた。白尾監督が来て、大舞台でもマイナスではなく、プラスの方向に考えられるようになった」と、自分自身の変化を語る。

 グループが同じゴールを目指し、力を合わせて目標を達成する「チームビルディング」。8人が縦一列に並び、それぞれの背中とお腹の間に1個ずつボールを挟んで、計7個のボールを落とさずにカーブを曲がって歩くゲームなどを通じて、選手同士のコミュニケーション、チームの一体感を高めてきた。宮下は「『近づいて』とか『まっすぐ』とか、声をかけ合わないとできない。仲間とのコミュニケーションであったり、仲間を思いやる気持ちが大切で、みんなで考えるようにもなった」と、その意味を説明する。

「チームビルディング」「メンタルトレーニング」ともに専門の講師から年に数回、特別に講義を受ける機会があり、学んだことは積極的に練習や日々の生活に取れ入れている。メンタルトレーニングでは「サッカーノートにはプラスのことだけを書く」「トイレをするときも『絶好調!』と叫びながらする」などを教わり、「トイレのほうはやってないけど」と苦笑いする宮下も「サッカーノートについては実際にやってみて、プラス思考が出てきた」と、その効果を実感している。

 上田西として初の3回戦進出、初の準々決勝進出を果たし、この日は長野県勢初の4強が懸かる大一番だった。それでもDF田辺岳大(3年)が「プレッシャーは感じなかった。ベスト4に行きたい気持ちのほうが強かった」と胸を張るように、選手は緊張や重圧に負けず、普段どおりのプレーでまたしても歴史を塗り替えた。

 白尾監督がもたらした“意識革命”。試合前も「『やってやるぞ』『勝って埼スタに行くぞ』というプラス思考しか頭になかった」と話す宮下は、優勝候補の一角である前橋育英(群馬)との準決勝に向けても、「相手が格上になればなるほど、自分のプレーがどれだけ通用するか楽しみ」と、埼玉スタジアムでの決戦を待ちわびるように笑顔をのぞかせた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

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