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「松岡修造以上に吠えている」“情熱の主将”、上田西DF大久保が攻守で奮闘

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前半16分、上田西高DF大久保龍成主将が同点ゴール

[1.5 全国高校選手権準々決勝 明秀日立高 2-3 上田西高 駒沢]

 上田西高は白尾秀人監督から「松岡修造以上に吠えている」と評されている“情熱の男”、DF大久保龍成主将(3年)が気持ちでチームを勝利へ導いた。

 先制された直後にFW上原賢太郎(3年)が獲得したPKは、ゴールを欲していた上原も蹴りたそうにしていたが、「自分が行くという気持ちで」とボールを要求。そして、強い気持ちを持って右足シュートをゴールに突き刺した。

 27分にはカウンターから最前線にも駆け上がってクロスに反応。「あれは頭から行かなければいけない。咄嗟で足から行ってしまった。ストライカーの素質がない」と苦笑していたものの、彼は背中でチームを勢い付けていた。

 守備面でもその存在は大きかった。対戦した明秀日立高はロングボールで相手を押し返し、そのこぼれ球を拾うと、テクニカルなアタッカー陣が個人技を交えて仕掛けてきていた。特に上田西が逆転した後は攻勢を強めてきていたが、大久保はCB田辺岳大(3年)が競ったボールを守備範囲広くカバーすると、相手のセットプレーの際には責任感の強さを感じさせる守り。身体を張ったシュートブロックを見せるなど、相手に同点ゴールを許さなかった。

「自分はプレーも上手くないですし、それでもキャプテンをやらせてもらっている。熱い気持ちでチームを引っ張っていきたい」という主将は、最終ラインで声を張り上げ続け、体調不良で欠場したDF金井春樹(3年)の穴も埋めて1点リードを守りきった。

 元プロテニス選手の松岡修造氏は“日本一アツい男”とも評されるスポーツキャスター。“それ以上に吠える”主将をもってしても、100人いる部員を一つにまとめるのには苦労したという。「正直、キャプテンをやっていて良かったのは、記者の皆さんにインタビューされることくらい」と笑う大久保だが、彼の声、思いがチームに同じ目標へ向かわせ、一つにさせてきた。

 白尾監督も「(チームが)悪い時に自分が嫌われても言ってくれる」という姿勢、声が上田西の“陰の原動力”だ。「ここまでくれば優勝が見えているけれど一つひとつ大事に、戦い方は変えずに全員攻撃全員守備で戦い抜きたい」と誓う主将が強豪・前橋育英高との準決勝でも最終ラインで“吠え”、身体を張ってチームを後押しする。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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