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ロシアW杯メンバー発表 西野朗監督会見要旨

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記者会見する西野朗監督

 日本代表の西野朗監督は31日、都内で記者会見を行い、ロシアW杯に出場する日本代表メンバー23人を発表した。

以下、西野朗監督の会見要旨

西野朗監督
「先月の12日に日本代表の監督に就任させていただいた。1か月足らずの中で、さらにこれから大きなステージに向かう。そういう短い間、今月21日からのキャンプも10日足らずという活動の中で今日、W杯の23名のリストを挙げなければいけない。非常に難しい、厳しい、ただ代表ならではの選考に関して自分が携われることをうれしく思っているし、自信を持って23名をリストに挙げたい。

 昨日は(就任後)最初のゲームで、W杯に向けた壮行試合にたくさんのファン・サポーターに悪天候にも関わらず来てもらった。絶対に勝ちたい。選手たちもその気持ちを強く持って臨んでくれた。新体制になって、新しい戦い方、システムにもトライさせた。選手は短い中で強いチャレンジ、トライをしてくれた。結果は得点が生まれなかったことが一番悔しい。そういうスタイルを求めて戦ったので、結果も出なかったことを悔しく思っているが、選手はW杯につながるゲームをできたという感触を持って次のステップに進み、事前の欧州でのキャンプの中でまたいい準備をしてくれると確信している。

 21日から27名の選手を選考してキャンプに入った。残念ながらケガの影響で1名離脱し、26名で入り、すべていい状態で代表チームの選考にあたる26名というわけではないが、まだ本大会まで猶予がある。そういう猶予も含めたうえで、メンバー23名を決めさせてもらった」

(23人の選手名を読み上げる)

―23人を決めた今の心境は。
「日本サッカー界はブラジルW杯での結果を踏まえて成長し、ロシアに向けての強化を進めてきた。選手たちもロシアに向けて切磋琢磨しながら、一プレイヤーとしての競争の中で目指してきた大会。そういう中で最終的に今日23名を選ばなければならない。選ぶということの厳しさはどの指導者も持っている。代表チームに関しては選べる。選手はいろんな可能性を持っているし、それをチームの形にして、ロシアW杯という大舞台でのフットボールを見せないといけない中でメンバーを選考するということ。しかも、この期間の中で決めさせてもらった。ロシアへの舞台をつくってくれた選手もいる。現在、非常に伸びている選手たちもいる。これから飛躍していくであろう選手もたくさんいる。いろんな要素を含めて選ばなければいけない。これは瞬間に決めれるものでもない。昨日のゲームがすべてではもちろんないし、いろいろ総合的に考えた中で、来月の19日(コロンビア戦)にベストパフォーマンスを出してくれる選手を、いろんな可能性を考えた中で選ばせてもらった」

―いつ最終的なメンバーを決断したのか。
「今朝、昨日の試合に出場した選手を含めて全員のメディカルチェックを行い、そのうえでスタッフの意見も聞きたい中で、今朝、最終的には決めた。ただ、自分の中では昨日の試合が終わった時点でほとんど大きなケガがなかったので、その中でリストはつくらせてもらった」

―選考で重要視したポイント、基準となったところは。
「大会に臨むにあたって、対戦国も含めて、いろんなプランを立て、いろんなシチュエーションを考えた中で、どれだけ絵を描き、その中にどう選手が入ってくるか。可能性をたくさん持ちたいというのが指導者で、そういう可能性を膨らませられるタレントをこれからどう組んでいけるか。ポリバレントと言ったが、そういうことも含めて、いろんな可能性を考えたい。そういう基準は一つある。第1試合、第2試合、第3試合と、いろんなシミュレーションができる選考。選手がそこに入ってくることを考えながら決めた。そうすると膨らんでくるのは間違いないが、選手たちの可能性を今後信じたいと思っている」

―ガーナ戦に臨んだ26人から井手口、三竿、浅野が落選したが。
「非常に有望な若手の3人だ。この舞台に立たせてくれたのも彼らの力が大きい。彼らの代表でのパフォーマンスというものは強く感じているし、それを求めたかった。ただ、彼らの現状がそういう環境でなかった。それもで、鍛えられている彼らであればと期待して、確認したいという中で招集した。パフォーマンスは上がってきていたし、昨日も制限された時間だったが、トライしてくれた。可能性としては彼らも考えたいところだったが、現時点でのトップパフォーマンスという部分で、自分の中で(確信を)持てなかった。彼らには本当に期待しているし、これからの日本サッカーを背負ってくれる選手だと思っている」

―23人を決めるにあたって最も頭を悩んだポジション、ポイントは。
「代表を選ぶ中で、過去の経験値、実績はもちろんある。現状、コンディションによってなかなか(試合に)出ていない選手もいるが、そういう過去の力を持ってというのもある。将来の可能性を感じる選手たちに関しても基準として考えたいと思った。現状、飛躍している選手もいるし、これから将来的に伸びてくるであろうという見方もある。そういう中でどう判断していくか。19日の開幕に向けて、各要素を含めてトップのパフォーマンスを出してくれる選手を常に考えて見てきた」

―この23人でどんなサッカーを志していきたいか。
「そういう絵をたくさん描きたいと思う。積み上げてきた素晴らしいストロングポイントもあるし、そういうところも生かした代表でありたい。また違う対応をした、変化を持たせたチームで、そういうサッカーを披露したいと思う。これからもいろいろ変化していくと思うし、わずかな時間だが、各チームに対応できる、ベストなゲームができる代表チームを全員で結束してでつくり上げていきたい」

―ロシアW杯の具体的な目標はどんなところになるのか。
「今、日本チームらしい日本のサッカーをやりたいという大きな目標を強く持っている。具体的な数字でということであれば、1試合1試合ポイントを取ってグループリーグを抜けたい。そういう数字が残せれば、日本のサッカーをある程度表現し、披露できるのではないかと思っている」

―井手口と浅野についてトップパフォーマンスのイメージを描けなかったということだが、合宿で別メニューが続いた乾が入ったのは。
「乾に関しては、岡崎もそうだが、30日に代表としてのゲームがある。そこまでにどれだけ回復するか否かという基準はある程度あるということは本人に伝えていた。乾も昨日、ゲームに入れないことはなかったと思う。ただ、強引に入ることは避けさせた。もちろんリスクがあるので。そういう状況まで回復しているということで、これからは全体的に練習に合流できるという確証を持っていた。昨日も彼らのメディカル的なところをどう捉えるか、どうメンバーに影響するかということは考えた。井手口や浅野との比較ではなく、彼自身がプレーできる。彼のスタイルは代表チームに少ない。そこは最後まで求めた。メディカル的にも問題ない。確かにゲームでは確認できなかったが、彼の場合は2週間前にトップフォームでいい状態だったので、そういう予測の下、彼だけを考えればロシアには十分入れる。井手口、浅野のゲーム勘というか、フィジカル的、感覚的な部分は高まっている。ただ、確証はなかなか持てないというのがあった。ここから2週間で本大会にトップフォームで入れるかというところの確証を持てなかった。現状いいプレーをしているので悪くないが、ポジションのバランスもあったので、乾をチョイスした」

―経験、実績のある選手が多い。日本サッカー界の将来を見据えて若い選手もという考えもあったと思うが。
「実績のある、経験値のある選手だけではないと思っている。非常に若い、中堅の選手たち、力のある選手たち。そういう選手たちも、ベテランと言われている選手たちからの影響を強く受け、非常に良い状況でチームに入っていると思う。ただ、若い選手たち、これからのサッカー界を担っていく選手たちは、そういう選手たちを超えることを考えないといけない。経験値のある選手たちも、見ている限り非常に良いパフォーマンスをしているので、そういうバランスを取ったチーム編成ができるのが理想だと思う」

―選手たちに戦術面とメンタル面で強く求めていきたいことは。
「戦い方、戦略、戦術に関しては、昨日のゲームへのアプローチもそうだが、対応していかなければいけないと思っている。いろんな状況の中で日本のサッカーが通用する部分、しない部分、コントロールできる部分、できない部分が間違いなく起こっている。これから高いステージの中で自分たちが優位にゲームを進められることもあると思う。そういう対応力というものを選手たちに求めたい中で、昨日も今までと変わった戦い方をしてもらった。選手たちも、自分のポジションが多少変わっても順応してくれて、対応してくれる。対応力というのは、自然とそういうことができるようになれば完成していくと思う。そういう強さを求めていきたいと思っている。メンタル面という意味でも、大舞台、今までとはおそらく違う状況、感覚を持った中でピッチの上に立っていかないといけない。経験値のある選手たちが、そういう意味で大事な選手になっていくと思う。W杯を体験する選手にとっては非常に難しいアプローチなので、本当に厳しい瞬間を想定させた中でプレーさせていかないといけない。0コンマ何秒、1cmという戦いの中で勝敗が決まるような世界だから、厳しい瞬間を想定させて準備していかないといけないと思っている」

―日本代表として得点力不足は課題だと思う。チャンスをたくさん作ることを選択するのか、それとも点を取れる選手を選ぶのか。
「昨日のゲームでは選手たちに3バックという言葉をあまり使わなかった。いろんな状況で3バック、5バックもある。中盤で主導権を握る中で、相手のアタッキングサードを攻略していく。そういう中でチャンスをセンターからも、ワイドのクロスからもつくっていこうと。中盤での攻防をまず意識させた。相手のゴールにすべて直結する展開にする必要はない。ある時間帯はボールを動かして相手の陣形を崩すとか、スタミナを奪うとか、そういうポゼッションを中盤で行う。そういう中でアタッキングサードに進入してチャンスを増やしていく。昨日の展開でもそういう状況はつくれていたと思う。決定力不足をネガティブに捉えるのではなく、チャンスを増やしていくことを大きく考えたい。武藤のように、ブンデスの中で総シュート数は多くないが、得点率はブンデスの中でも非常に高いという選手もいる。彼はボックスの中でのシュートの成功率は、数字では少ないが、確率的には非常に高い選手。チャンスが少なくても彼はゴールできるスタイルの選手。得点を追う中で、これからチャンスを増やしたいが、想定しているよりは持てないと思うので、そういう中で彼のような嗅覚を持っている選手も必要だと考えている。チャンスをつくれるということ部分で最大に増やしていくのが、全体として攻撃にとっては必要だと思っている」

―絵をたくさん描きたいと話したが、対戦相手によっていろんな戦術を採用するということか。
「自分の中でたくさん膨らむことは間違いない。この選手を選んで、どういうシステムで、どういうキャスティングで、どういうゲームの中でと、ポジティブなことはたくさん描けると思う。それを落とし込むのは難しいが、選手たちにも同じように描いてもらいたいと思う。例えばリスタートの形も、これは日本のストロングだった。いろんなパターンを想定して、190cmのディフェンダー5人に対して日本の選手がどう対応できるか。そこ一つだけでも、いろんなオプションを持たせたいと思う。自分の中で描けるし、変化させて対応する。あるパターンを全員が共有できれば、リスタートの中でも得点は生まれる可能性がある。攻撃も同じで、いろんなパターンができるだけ自然にゲームで出るような準備もしないといけない。日本人選手の良さは対応力が非常に早いところにある。グループで仕事をすることに対する理解度、共有した中でのプレーは日本人選手は順応できるので、そういう良さのある選手をセレクトしたというのは一つある。一つのパターンに固執して、一つのシステムの中でそれだけというところを求めるよりは、オプションを選手たちに2、3持たせることは、時間が短くても落とし込んでいかないといけない」

―23人で最も期待を寄せるキーマンは。
「一人ですか。それを一人とは言い切れないし、選んだ選手全員がそういう選手であってもらいたい」

―目標とする具体的な数字は?
「選手には自分のトップパフォーマンスを、選んだ選手に求めているものをまずは大舞台で出してほしいと思う。いろんな原理原則、チームとしてのディシプリンは当然あるが、選手たちが持っている、その選手しか出せない、そういうストロングなプレーをまず出して戦ってほしいなと思う。

 各ゲームに対してポイントを取りたい。ギリギリのゲームがあるかもしれないし、圧倒できるゲームがあるかもしれない。非常に厳しいゲームがあるかもしれないが、そういう中でも少なくともグループリーグを突破したいと考えている。いかにギリギリな戦いの中でポイントを取らせていくか。それは選手たちと常に求めて戦いたい」

―サイドの選手に求めるプレーは。
「昨日のシステムであれば、長友、原口、(酒井)高徳というサイドの選手がある程度ポジションをワイドに取っている。そういう中でセンターで大島がボールをよく動かしていたが、センターで動かすことができれば間違いなくサイドからの攻撃は増える。昨日も香川、柴崎が入った中で、センターでボールを保持することができれば、サイドからのアタックは当然増えてくる。ただ、それだけでは非常に単調になる。終盤少し増えたのがセンターからの崩しで、それをさらに求めたい。選手たちにイメージはあるが、少しメンバーが代わったりする中で、まだコンビネーションがうまく取れない部分もある。オプションを増やしていかないといけない。グラウンダーでスピーディーなことが起こらないと、日本の攻撃スタイルからすると、なかなか難しいところを感じているので、そこを詰めていきたい。感覚的に共有できる部分はたくさんある」

―香川の現状のコンディションをどう見ているか。本田への期待は。
「香川に関しては5月に入って欧州で直接会ったが、その日が彼にとってコンディションが良くない日だったようで、その前後は彼なりにかなり回復していて、状態は良かったと。たまたま私が行ったその日の状況を見ると、これは間に合うかなという気は確かにした。ただ、その後、非常に回復力もよく、最終的に制限はあったが、ゲームに出られる状況があった。監督の判断がどうだったかは分からないが、その時点で状態が上がっていることを確認できたので、メンバーとして入ってもらった。10日間のキャンプの中でも上がってきたし、昨日も少し時間を増やして、最近3か月の中では一番長いパフォーマンスになった。彼らしいプレーもいくつか見えたし、良くなっていると思う。さらに中盤のオフェンシブな中で彼の独特な感覚、センスは高まっていくのではないかと考えている。本田も同じで、コンディションは上がってきているし、何しろ彼のああいう影響力はチームにプラスをもたらしてくれる。経験値だけではない彼のストロングな部分はキャンプで強く感じた」

―“マイアミの奇跡”の立役者である西野さん。今度はどんな奇跡を見せてもらえるか。
「奇跡をこれから膨らませていきたいと思うが、23人を今朝選んで、これからどういうサッカーができるのか、選手たちがどういう活躍をしてくれるのか、そういう楽しみだけだ。奇跡と言われても、正直、お答えできることではないが、初戦のコロンビアに対して日本代表チームが強く入っていく、そしてあのコロンビアを倒す。小さな奇跡かもしれないが、今はそういう気持ちを持ちたい。その中で選手たちの活躍を願う、期待する。そこを求めていきたいと今は思っている」

(取材・文 西山紘平)

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