beacon

敗退も胸張る長友「目指すサッカーはやり切った」

このエントリーをはてなブックマークに追加

DF長友佑都

[7.2 ロシアW杯決勝トーナメント1回戦 日本2-3ベルギー ロストフ・ナ・ドヌ]

 最後の最後、ベルギーの高速カウンターに屈した。まさかと言えるシナリオ。しかし、DF長友佑都(ガラタサライ)にとってはある意味、“必然”だった。

「実力どおりだと思う。相手のほうが明らかに強かった。やっていて、こいつら化け物だと思っていた」

 1点を返された時点で不安がよぎっていた。後半3分と7分の連続ゴールで2-0とリードした日本に対し、ベルギーは後半20分に2人を同時交代。MFマルアン・フェライニ、MFナセル・シャドリが入ると、後半24分にCKの流れから1点を返された。

「2-1になって正直、向こうが勢いづいたと思った。途中で出てきたフェライニと22番の選手(シャドリ)は相当なフィジカルとスピードがあって、セットプレーもめちゃくちゃ怖かった」

 すると、その5分後、日本はまたしてもCKの流れから最後はフェライニにゴールを許し、2-2。延長が頭をよぎった後半アディショナルタイムにロングカウンターを受けて万事休した。

「最後のあの場面で相手があれだけの走力を使って前に出てきた。僕らは戻り切れなかった。後ろにいる僕らが防ぎ切れたら問題ないけど、みんなが死に物狂いで戻らないと、あのレベルの相手には点を取られてしまう」。チームとしての走力に差があったことを思い知った。

「すべてで僕らを上回っていた。クオリティーもそう。スピード、フィジカル、全部彼らが上」。FIFAランキング3位。W杯予選も本大会のグループリーグも楽々と乗り切ってベスト16にたどり着いた実力には、ただただ脱帽するしかなかった。

 けれども、長友の胸には「負けはしたけど、自分たちが目指すサッカーはやり切ったという気持ちはある。自分自身もチームも胸を張って帰りたい」という思いがある。

 日本代表の主力となってから8年あまり。10年南アフリカW杯では守備的な戦いに限界を感じ、14年ブラジルW杯では攻撃力を表現することにこだわり、惨敗した。そこからの4年間は、アギーレ元監督、ハリルホジッチ前監督を経て、4月に就任した西野朗監督とは対話を重ねながら日本のあるべきスタイルをつくり上げてきた。

「しっかりボールをつなぎながら、取られたら取り返す。みんなで走り切る。そこは変えてはいけない。その上に走力とかフィジカルのベースをもう少し上げないといけないと思う」。初のベスト8入りを阻まれたベルギーから今ひとたび、フィジカル強化の必要性を学んだ長友は、未来を見つめてこう提言した。

「走力とかフィジカルは日本サッカーを見て、若い世代から取り組まないと世界のギリギリの戦いでは厳しい。技術だけではやっぱり勝てない」。3度目のW杯でつかんだ答えだった。

(取材・文 矢内由美子)

★日本代表など参加32チームの最新情報をチェック!!
2018W杯ロシア大会特集ページ
★全64試合の日程&テレビ放送をチェック!!
2018W杯ロシア大会日程&TV放送

TOP