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代表戦士が被災地ファンと記念撮影、発起人の槙野智章「僕たちは奇跡的に…」

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観客との記念撮影を提案した日本代表DF槙野智章

 本来はキリンチャレンジカップのチリ戦が行われるはずだった7日、北海道胆振東部地震の影響でスケジュール変更を強いられた日本代表は札幌市内で紅白戦を行った。練習後には集まったサポーター200人と記念撮影を実施。この企画を提案したのはDF槙野智章(浦和レッズ)だったようだ。

 6日午前3時すぎ、北海道胆振地方を震源とする最大震度7の地震が発生。日本代表が滞在する札幌市内も震度5強を記録し、当時は「ものすごい音とものすごい揺れでパニック状態」(槙野)。20階に宿泊していたメンバーは、停電のため階段で地上階に集まり、一般客と夜明けを共にしたという。

 その際には、槙野が仕掛け人となって最初の企画を練っていた。「北海道の皆さんに何か伝えていければと思いまして、選手が持っているSNSのアカウントで発信できたというのがありました」。各選手が普段から使っているツイッターやインスタグラムを通して、エールを送る動画を投稿していた。

 やや電力の回復などが見られた7日午後、日本代表は被災後初の公式練習を行った。会場となった札幌サッカーアミューズメントパークには、札幌ドームでの試合を楽しみにしていたサポーターら200人が集結。メンバー全選手が出場する35分+20分の紅白戦を楽しむと、終了後にはさらなるサプライズが待っていた。

「僕たちは奇跡的にサッカーができていますが、被災した方々がピッチにきてくれて、エールを送ってくれた。ふれあう時間と記念撮影で、一歩踏み出す勇気を持ってもらえれば」。そんな思いを持った槙野が他の選手に働きかけ、記念撮影を実施。日が暮れるまで代表戦士たちを見守った観衆からは歓声が沸いた。

「北海道に縁がない選手が多いですが、大阪が大変なことになっているのもありますし、何かしらの形で元気になってもらえれば」。温かい一幕をそう振り返る槙野は「スケジュールのもとできるのであれば、大阪に行ってもみんなでまとまってできれば」と台風21号で甚大な被害を受けた関西の人々にも想いを寄せた。

 思わぬ形で中止となった森保ジャパンの初陣は11日、その大阪府で行われる予定。「ロシアで見せたものをベースに上積むのが森保さんの狙い」と明かした槙野は「前へのスイッチ、切り替えは出してほしいと言われている。各選手が意識してプレーできていたと思う」と現状のチームの手応えを述べていた。

(取材・文 竹内達也)

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