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東京五輪からの“逆算”…水戸で花開いた伊藤涼太郎の現在地「一日一日を無駄にできない」

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水戸で開花したMF伊藤涼太郎

[10.6 J2第36節 大宮2-1水戸 NACK]

 水戸ホーリーホックMF伊藤涼太郎にとっては、真価を証明するシーズンになっている。今季はここまでチーム最多の9ゴール。得点力だけではなく、緩急をつけたドリブル突破や鋭いパスで周りを生かし、非凡な才能を発揮。チームを牽引する活躍ぶりに、古巣浦和の選手からも「頑張ってるな」と声をかけられるというが、慢心はない。

 3連敗した直近の新潟戦(0-1)、大分戦(1-2)、そして大宮戦(1-2)はいずれも1点差の惜敗。自身がゴールを決めていれば勝ち点を積み上げられたという悔しさを募らせる伊藤は「チームを勝たせられる選手になりたい」と貪欲に話した。

「僕はもっとゴールを取りたい。実際、9点しか取っていないんです。20点以上取っている大前選手に比べたらまだまだ足りないし、もっともっとチャンスメイクにも絡まなければいけない。もっと言えば、チームを勝たせられるような選手になりたいと思います」

 作陽高から2016年に浦和に加入。内部昇格以外では5年ぶりとなる高体連出身のルーキーとして注目されたが、選手層の厚いビッグクラブでは出場機会を得られず、2017年9月に水戸への期限付き移籍に踏み切った。今季はレンタル期間を延長。序盤こそ定位置をつかめなかったが、限られた出場時間の中で存在感を示すと、スタメンに定着。ここまで29試合に出場して急成長を遂げ、この決断を「正しかった」と振り返った。

「東京五輪に出るためには一日一日を無駄にできない。この一年は本当に重要だと思っていました。カテゴリーを下げても、試合に出て活躍するのが今の目標。実際に試合に出て少しは結果も出せていると思うので、移籍してよかったなと思っています」

 1998年2月6日生まれの伊藤にとって、2020年の東京五輪は大きなモチベーションになっている。代表からは2年以上離れてしまったが、この武者修行も東京五輪を見据えての決断だ。水戸ではピッチ外でのサッカーに対する意識も変わり、食事や体力作りを見直した。試合に出られなかった浦和時代とは違う悩みに向き合うようになっている。大会まで2年を切った今、現在地をどう捉えているのか。

「焦りがないと言ったら嘘になるけど、そこまで焦っているわけではないです。ただ、2年前まで同じ代表で戦っていた選手が世界の舞台で戦っている。堂安(律)選手はA代表でも活躍しているし、そういう姿を見ると刺激になります」

 昨季同僚だった同世代のFW前田大然(松本)とはチームが離れても食事に行く仲。レンタル先の水戸で36試合13得点とブレイクを果たした前田は今年からU-21日本代表に招集され、8月のアジア大会ではゴールも記録した。仲間の活躍に刺激を受け、自らの目標をまっすぐに見つめる20歳は「自分も五輪に向かって、逆算して努力をするだけです」ときっぱり。残る6試合に全力を注ぐ中でも「プロは数字が大事。どれだけ結果を残せるかが重要」と結果でアピールすることを誓った。

(取材・文 佐藤亜希子)

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