beacon

“理想”どおりの幕開けに…苦戦を喜ぶ酒井宏樹「とても大きな試合」

このエントリーをはてなブックマークに追加

苦戦を前向きに受け止める日本代表DF酒井宏樹(マルセイユ)

[1.9 アジア杯F組第1節 日本3-2トルクメニスタン アブダビ]

「難しい試合を経験したほうが良い」。これまでの親善試合、そしてアジア杯に向けた事前合宿の場で何度も強調していた言葉だが、日本代表のアジアカップ初戦はまさに“理想”の戦況となった。その見解の主であるDF酒井宏樹(マルセイユ)は試合後、あらためて「良かったと思います」と前向きに語った。

 アジア杯初戦のトルクメニスタン戦を翌日に控えた8日、酒井は報道陣に「終わってから『初戦は難しい』とは言いたくない」と力強く語った。初戦が難しくなるのは理解した上で、予期できる困難には準備し、勝利を掴みたいという意味合いだ。また、その難しさは「ピッチ内で修正するもの」とも指摘していた。

 実際、トルクメニスタン戦は求めていたとおりの試合の流れとなった。立ち上がりからボールが足につかない日本はショートパス中心の攻撃を繰り出し、5-4-1でコンパクトに構える相手の守備ブロックに大苦戦。前半26分にはカウンターから先制点を奪われると、ビハインドを跳ね返せないままハーフタイムを迎えた。

「なかなかスペースが少ない状況で、スペースがないところにチャレンジしようとしていたのが前半」(酒井)。他の選手も大多数が指摘していたが、中央偏重になってしまっていた攻撃が停滞の原因。ならば、活路があるのはサイドだ。「もっとシンプルに行こうということで、幅を広げてみた」という修正を施した。

 迎えた後半、サイドに幅を取ったことで相手のスペースを突けるようになり、相手が横に間延びしたことで中央突破も生きるようになった。FW大迫勇也の2ゴールはいずれも左に開いたMF原口元気が起点で、MF堂安律の決勝ゴールは空いた中央をこじ開けたもの。うまく困難を乗り越えた日本代表は、課題を乗り越えながら勝ち点3をもぎ取った。

 だからこそ、酒井はこの一戦を「とても大きな試合」と喜ぶ。「勝つことが絶対条件で、その上で苦しんだ。勝ち点を取ることで前向きに追求できるし、負けたら犯人探しをしてしまうこともある。勝ち点3にはそういったパワーがあるので、これを次につなげていきたい」。困難と向き合い、修正力で乗り越え、最後は勝つ。28歳のサイドバックはそんなイメージで大会を勝ち抜いていくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)

●アジアカップ2019特設ページ

TOP