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[MOM2921]長崎U-18 FW浦道翔(3年)_プレス&カウンターの“牽引車”、無得点でも示した存在感

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V・ファーレン長崎のFW浦道翔(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.24 日本クラブユース選手権U-18大会G組第3節 長崎U-18 1-1 C大阪U-18 前橋フD]

 そのクロスが味方に通らなくとも、そのプレスが相手に届かなくとも、九州覇者V・ファーレン長崎の10番は最前線で走り続けた。「勝たないといけなかった。ここに出られない選手、支えてくれたスタッフのことを考えると悔しい」。試合後、連動した組織の“牽引車”として奮闘を見せたFW浦道翔(3年)に達成感はなかった。

 最前線が絶え間ないプレッシングを繰り出し、後方まで連動した押し上げでボールを奪う。気温35.5℃という猛暑をもたらした夏空の下、長崎が見せたアグレッシブなプレースタイルは全国屈指の強豪であるC大阪U-18を苦しめた。その陣頭指揮を担っていたのが、プリンスリーグ九州でチーム全体の半数を超える5得点を記録し、背番号10を任されている浦道だ。

「走力では負けてなかったと思うし、ショートカウンターは全国に来ても通用するような自分たちの強みだと思う」。この日、一時は決勝トーナメント進出に望みをつなぐ先制点を奪ったのも理想の形から。ボールを狩ったのはMF五月田星矢(2年)。決めたのはMF長尾泰成(3年)。浦道自身は流れには絡まなかったが、前傾姿勢のスイッチを入れる存在は大きい。

 格上相手にシュートチャンスは少なかったが、目立ったのは裏へのスプリントと味方を信じて繰り出す高速クロス。「ポイントポケットというペナ角とかを一回狙って、相手のセンターバックを外に出して、中を開けてからゴールを狙う」。そんな約束事を愚直にこなし、「ゴールは取りたいけどニアやファーで潰れることが大事」という黒子役も率先して担っていた。

 ただ、3点差での勝利で自力でグループリーグ突破という可能性が残されていた以上、決勝トーナメント進出という目標を達成できなかったことに悔いは残った。「決め切るということができなかった」。たとえば前半18分、GK朝長心優(3年)のフィードから始まった素晴らしい左サイド攻撃のフィニッシュを担ったが、得点に繋がらなかった。

 札幌U-18、柏U-18、C大阪U-18といった全国の強豪を相手と張り合うことはできた。しかし、2分1敗と結果で上回ることは一度もできなかった。「自分は身長も大きくないので、一瞬のスピードをもっともっと意識して、ドリブルで抜くだけじゃなく、そこからゴールを目指したい」。高校生としてのサッカー生活は残り半年、長崎の10番は無得点の悔しさを新たなスタート地点とする。

(取材・文 竹内達也)
●第43回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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