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“熱い”男が涙のV!桐光学園の2年生CB奈良坂、できることをやり切ってU-17代表入りへ最後のアピール

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桐光学園高のDF奈良坂巧は優勝校の守備の柱として日本一に。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[8.1 総体決勝 富山一高 0-1 桐光学園高 金武町フットボールセンター]

 熱い男が涙を流して優勝を喜んだ。「自分は2年生で出ているということで、3年生の出ていない人が、『アイツが俺らの代表として出てくれて良かった』と言ってくれるくらい、自分はやらないといけないと思って毎試合やっているので、優勝の瞬間は安心して涙が出ました」。今大会、チームを盛り上げる声と堅守が印象的だった大型CB。桐光学園高のDF奈良坂巧(2年)は決勝でも苦しい時間帯で声を張り、自慢のヘッドで相手の攻撃を跳ね返し、そして最後の一歩まで諦めずにボールを追い続けて1-0の勝利をもたらした。

 5試合でわずか1失点。奈良坂は「空中戦の勝率は9割くらい取れたと思うし、ビルドアップのパスの成功率も高かったと思います。やってきたことが出せた大会になったと思います」と胸を張る。名門・桐光学園にとって初の日本一。「胸のエンブレムに星をつける」と誓って桐光学園に入学したDFは、先輩たちも認める存在となって、全国タイトルを勝ち取った。

 奈良坂にとってインターハイは、10月開幕のU-17ワールドカップに出場するU-17日本代表入りへ向けて「最後のアピール」と位置づけていた大会でもある。「この大会で自分ができるマックスのパフォーマンスは、多分これだと思うので、改善すべき点はたくさんありますけれども、やり切ったかなというのが自分的にはあります」。最終ラインの柱として、堂々のプレーで日本一。大会優秀選手にも選出された大型CBは今、自分のできることをやり切った。

「ワールドカップ前なので一発目招集の自分が選ばれることはほぼないと思うんですけれども、本当にもし選ばれたとしたら、どれくらい自分の力が日本のトップクラスに通用するのか試してまたチームに還元したり、成長に繋げられたらいい」

 表彰式後も興奮はなかなか冷めず、冷静に自分のプレーを分析するのはこれから。ただし、全国トップレベルのDFになるためにすぐに取り組まなければならないことははっきりとしている。

「まだ守備で一人で守れる選手ではないので、セルヒオ・ラモスやファン・ダイクのように、絶体絶命の状況でスペシャルなアタッカーと対峙しても一人で守りきってチームを救えるような選手になれたらなと。陸地の勝負が課題だと思うので、スピードとかアジリティとかもう少しつけていきたいなと思っています」

 幸いにも桐光学園にはU-20日本代表のFW西川潤主将(3年)や快足左WB佐々木ムライヨセフ(3年)、全国決勝で鮮烈ゴールを決めたFW神田洸樹(3年)ら全国トップクラスのアタッカーたちがいる。本人が発言したとおり、U-17ワールドカップメンバー入りは難しいかもしれない。それでも、「(桐光学園には)スーパーアタッカーがいっぱいいるので、やらせてもらって、成長できたらなと思っています」という奈良坂は、課題を少しでも改善しながら、自分を信じてチャンスを待つ。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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