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[MOM648]近畿大DF川浪龍平(4年)_溢れる男気、仲間のための逆転2発

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近畿大DF川浪龍平(4年=G大阪ユース)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]

[10.30 第97回関西学生L後期第5節延期分 関西学院大1-2近畿大 ヤンマーフィールド長居]

 入れ替え戦圏内から抜け出し、順位を上げるためにも落とせない一戦。ミスから関西学院大に先制される苦しい展開となったが、近畿大主将・DF川浪龍平(4年=G大阪ユース)の2ゴールがチームを勝利へ導いた。

 松井清隆監督が「セットプレーは近大の武器」と語るとおり、先の週末に行われた大阪経済大戦と同様に、山下令雄(3年=G大阪ユース)の精密なCKが得点につながった。殊勲のゴールを決めた川浪は、「(山下)令雄は高校時代も一緒にやっていたから、どういうキックを蹴るかはわかる。1点目は(川畑)隼人(4年=履正社高)が競ったボールが僕の前に落ちてきたという感じだったんですけど、2点目はストーンとして立っている関学の選手の位置が少し中で、ニアが空いているのが見えたので、そこに飛び込んでいったのがうまくいった」と笑顔で振り返った。

 攻撃面だけでなく、得点力のある関学大を最少失点に抑えることができたことも大きな手ごたえだ。前期リーグまではCBとしてチームの守備を統率してきた川浪だが、後期からは右SBにポジションを移した。『CBで勝負したい』というこだわりもあったが、卒業後もサッカーを続けていくことを視野に入れた場合、「自分は身体的には平凡なので、頭を使ってサッカーをやるという面でSBが一番適している」と考え、コーチングスタッフとも話し合って決断した。

「まだまだ勉強中」というSBのポジションには、「めっちゃ楽しい」とやりがいを感じている。タイミングのいいオーバーラップで、攻撃に厚みも加えているが、「得点やアシストができる可能性があることも楽しい。あと、CBよりも全体を見られるのが面白い」と、試合中にフィールドを広く見渡し気持ちを配るのは、これまでと変わらない。松井監督は「チーム状況が一番しんどいときに、『すべて自分が悪い』と背負いすぎてプレーまで重くなっていたところもあったが、リーダーとして成長した。何より男気がある」と主将に厚い信頼を寄せる。

 川浪本人も「キャプテンになって、自分のことよりもチームメイトを思ってプレーすることが増えた」と自らの精神面での成熟を感じているようだ。この日も、「今日はCBのミスが失点に直結してしまった。ミスしたやつの気持ちもわかるし、そういう試合でキャプテンとしてあいつのミスを取り返せたのがうれしかった」という仲間への想いが、逆転勝利を呼び寄せた。

 3連勝で自動降格圏からは脱したが、各チームの勝ち点差は僅差で、まだまだ残留のためには気が抜けない試合が続く。後輩たちに『1部』という舞台を残すためにも、「浮かれず、地に足つけ、自分たちのプレーをやりとおして勝ち点を重ねたい」と、冷静にそして熱い気持ちで攻守でチームを引っ張っていく。

(取材・文 蟹江恭代)
●第97回関西学生リーグ特集

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