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「アイツしかできないゴール」。尚志の“半端ない”FW染野が左足ループで決勝点

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後半2分、尚志高の鹿島内定FW染野唯月が左足ループシュートで決勝点

[11.17 選手権福島県予選決勝 尚志高 1-0 聖光学院高 西部サッカー場]
 
「あれは自分的にも嬉しかったです」

 昨年度の全国高校選手権得点王、今年のプレミアリーグEAST得点ランク首位、「常勝軍団」鹿島加入内定、U-18日本代表、日本高校選抜、「“半端ない”ストライカー」、「ポスト大迫勇也」…この1年で数々の肩書きや代名詞が加わった尚志高FW染野唯月(3年)が、選手権福島県予選決勝で自身も喜ぶ圧巻ゴールを決めた。

 後半開始直後の2分、右SB坂従颯蒔(3年)のロングクロスがゴールエリア方向に上がると、染野はバックステップを踏んで自分のシュートエリアを確保。予測通りにこぼれて来たボールを左足でコントロールすると、すぐさま左足でループシュートを放つ。

 ゴールエリアから飛び出していたGK、ゴール右隅をカバーしたDFの位置などを一瞬で把握して放った芸術的な一撃が、そのままゴールネットを揺らす。バルセロナ五輪予選日本代表の名手・仲村浩二監督も「あれは上手いな。本当は思い切り打ちたいところ、一瞬の判断で切り替えて、余裕持ってインサイドで、ループで、パスみたいに。アイツしかできないゴールだなと思います」と絶賛していた。

 染野は「一瞬の判断が良い悪いという分かれ目になるので、そういうところは代表に行って成長しているところですし、きょうのあのシュートも普段の自分だったら強く打っているかもしれないですけれども、あの一瞬で浮かせれば入るかもしれないと考えられたのは成長できているからなのかなと思います」と会心の表情を浮かべていた。

 この日は前半8分にこぼれ球からコントロールショット。24分にはPAでの連続切り返しでDFを抜き去ってクロスバー直撃の左足シュートを放った。だが、全体的に前半はマークの厳しい自分がシュートを狙うよりも、味方にシュートさせようという意識。それでも前半を0-0で折り返したことによって、「やっぱり自分で行こうと」決意した直後に鮮やかに決めて見せた。

 その後も決定的なチャンスがありながらシュートがわずかに枠を外れるなど、目標の決勝3発を達成することはできなかった。だが、AFC U-19選手権予選が開催されたベトナムから帰国直後で、コンディション面が良くない中でも決めるのはさすが。幾度もそのようなシーンを見てきた仲村監督は「言いたくないですけれども、持っていますね」と笑い、本人も「(やっぱり)持っていますね」と微笑んでいた。
 
 周囲は02、03年度大会の平山相太氏(当時国見高FW)以来となる2年連続の選手権得点王を期待する。それに対して、染野は「選手権の全国はレベルの上がった大会になる。一つひとつが価値のある点になっていくと思う。チームが全国制覇するために、プラスアルファで点を獲ることも大事。得点王を狙いつつ、一戦一戦戦いながら全国制覇できれば良いかなと思います」と全国制覇と得点王の2冠獲得を目標に掲げた。

 注目度はここ数年で見てもトップレベル。例えチームが勝ったとしても、結果が出なかった際には「不発」と言われる可能性もある。だが、染野は「動揺せず、そこはプロに行っても同じだと思うので、自分が自分の一番良い状態というのが分かっているので、コツコツ自分の中で頑張っていって、何か一つアシストでもいいし、自分が得点獲りたいですけれども自分ができることを精一杯できれば良い。頑張ればいつかボールは来ると思うので、10回動き出して1回くれば良いやという感じなので、その一回に懸けていきたい」と語った。

 飛躍の大会となった前回大会も1回戦、2回戦は無得点。それでも、コツコツと自分がやるべき動きを続けた結果、3回戦、準々決勝で決勝点を決め、準決勝・青森山田高戦でハットトリックを達成した。なかなか結果が出なくてもイライラしたり、不貞腐れたりせずにチャンスを待ち続けて1本を決める。

 日常から先のステージを意識してシュートを磨いてきた。チームメートの実力派GK鈴木康洋(3年)は、練習での染野のシュートについて、「弾道だったり、スピード、コース……触れないところに打ってくるので止められないです」と違いを認める。

 染野は「隅を狙ってシュートを打てるようにしておかないと世界で戦った時に通用しない。(この日の決勝点のように)ああいうところで自分がどういうところにシュート打てばよいのか考えながらやれば、プロでも本当に通用するのかなと思います」。6本、7本とシュートを放って無得点に終わったAFC U-19選手権予選から、さらにレベルアップすることの必要性も感じてきた“半端ない”FW。「夢」と語る全国制覇、そして2年連続得点王を獲得するためにより自分を磨き、ライバルたちから何度でもゴールを決める。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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