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関学大が緊迫の120分間を制しインカレ4強へ! 初出場・立正大は堅守フル発揮も1点に泣く

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関西学院大が延長戦を制して4強へ

[12.16 インカレ準々決勝 関西学院大1-0(延長)立正大 川口]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)の準々決勝が16日に行われた。川口市青木町公園総合運動場陸上競技場では関西学院大(関西2)と立正大(関東3)が対戦し、均衡が崩れることなく90分間が過ぎる。試合は延長戦に突入すると、関学大が延長後半4分に決勝点を挙げ、1-0で勝利。優勝した2015年度大会以来となる4年ぶりの4強入りを果たした。

 ともに3-4-2-1の布陣を敷くミラーゲームとなったこの試合。関学大の高橋宏次郎コーチは「立正大学さんのプレスの圧力とか球際の鋭さとか、そういうところに対応できなくて苦しい展開が続いた」と、立正大の杉田守監督は「立ち上がりは固さもあって、押し込まれる時間帯もあった」と互いにやりにくさを残しながら、前半は0-0で折り返した。

 後半は少しずつ両者が持ち味を発揮する。関学大は後半5分、FW林部晃己(3年=C大阪U-18)がPA左角付近で2度の切り返しから右足シュートを放ち、GK三森哲太(4年=札幌U-18)の正面に。立正大もその2分後、左サイドのMF武田夏輝(4年=清水ユース)のクロスをFW人見拓哉(4年=矢板中央高/琉球内定)がヘディングでゴール前に送ると、ラストはMF平松昇(3年=清水ユース)がヘディングシュート。しかしGK馬場裕斗(3年=加古川北高)のスーパーセーブに遭った。

 関学大は後半11分にFW山田剛綺(1年=京都橘高)に代えてFW木村勇大(1年=大阪桐蔭高)を投入。立正大はその1分後、人見がMF山本悠樹(4年=草津東高/G大阪内定)からボールを奪い、鋭い縦パスを最前線へ。反応したMF梅村豪(3年=清水ユース)が意表を突くワンタッチシュートを放つが、馬場の2度目のスーパーセーブに阻まれた。

 関学大は後半22分、今季リーグ戦11得点のFW山見大登(2年=大阪学院高)を投入する。その直後、山見は左サイドから2人を鮮やかにかわし、さらに平松のファウルも誘発。持ち味を発揮し、関学大に勢いがつくかと思われた。

 しかし、立正大も後半26分にMF藤森亮志(4年=上田西高/長野内定)に代えて今季5得点を記録したFW見原慧(4年=新潟西高)を出場させる。関学大は同33分にMF渡邉英祐(2年=金光大阪高)に代えてMF山下諒(2年=G大阪ユース)を投入した。

 交代カードを駆使し、どうにか流れを引き寄せたい両者。関学大は山見投入で勢いをつけたかったが「想定外。逆に相手の圧力に押し込まれてしまった」(高橋コーチ)。立正大は後半38分にMF鈴木康孝(3年=矢板中央高)が中盤右サイドからアーリークロスを放ち、ファーサイドの見原が強烈ヘッド。しかし、わずかにクロスバーをかすめて逸れていく。結局90分間では決着がつかず、延長戦に突入する。

 立正大は延長前半7分にDF今村晃(4年=市立船橋高)に代えてDF中塩大貴(4年=浦和ユース/甲府内定)を、平松に代えてFW小川大智(3年=狭山ヶ丘高)を出場させる。関学大は同12分に山本が鋭い右足シュートを放つが、三森が好セーブ。山本はその直後にも右サイドから軽やかなドリブルでPA右に進入するが、相手の固い守備に遭った。

 息をのむ展開が続き、大きな声援が飛び交う両チームのスタンド。そして延長後半4分、関学大に待望の先制点が入る。山見から縦パスを受けた木村がPAライン付近でボールキープ。そして横パスに山下が反応し、右足でゴールに流し込んだ。

 待望の得点を挙げた関学大は、残り時間で冷静に試合を運んで試合終了。120分間の超接戦を制し、ベスト4進出を決めた。

 立正大は死闘の末の敗北。杉田監督は「慣れてきてからは我々の良さも出て、逆に決定機もつくっていけただけに非常に残念な試合」と肩を落とす。「リーグでは決めていた選手が決定機をなかなかモノにできなかった。全国の難しさであり、我々の、立正大学の経験のなさ。初めて出場した大会ということなのかなと思います」と全国大会での、負けたら終了のトーナメントという厳しさを思い知っていた。

 しかし関東1部に初昇格でリーグ戦3位に入り、初のインカレでも自分たちの戦いを貫き通した立正大。2回戦では新潟医療福祉大に完封勝利し、この試合でも最後の1失点まで堅守を保ち続けた。指揮官は「リーグを上がってきたひとつの要因がしっかり守備をするというところ。全国大会でもそういうゲームができた。全国でもやっていける自信はつけられたかなと思います。新たな課題と良かった守備をさらに磨きながら、来年一年間を積み上げて、この舞台でまた発揮できたら。そういう戦いがまた始まるかなと思います」と激戦の一年を締めくくった。

 一方で、関学大は次戦に進む。高橋コーチは苦しんだ戦いに「しっかり耐えるっていう面では成長できた」と選手たちをねぎらいつつ、「僕らは日本一を取るぞっていう風にスタートしたので、特にやることは変えずに、次の試合をやるだけ」と冷静さも。しかし、その相手は関東リーグ制覇、総理大臣杯制覇と今季“最強”と名高い明治大。「間違いなく一番強い大学」と認めながらも、「僕らも僕らでひとつひとつ積み上げてきたと思っているので、そこはバチバチやり合いたい」と真っ向勝負で挑む構えを見せた。

(取材・文 石川祐介)
●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

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