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津工が近大高専を破り、三重4強へ…新スタイルの熟成とともに全国行きを目指す

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津工が3得点で4強入り

[10.31 選手権三重県予選準々決勝 津工高 3-1 近大高専 伊勢フットボールヴィレッジC]

 第99回全国高校サッカー選手権三重県予選は31日、準々決勝を行い、津工高と近大高専が対戦。FW清水勝太(3年)の先制点を皮切りに3点を奪った津工が勝利した。

 全国ベスト4進出を果たした2007年度以来、3度目の選手権出場。ここまでの2試合で18得点、1失点と好調を維持する津工がこの日も強さを見せつけた。

 立ち上がりから津工はDF脇田瑛士(2年)を中心とした3バックからパスを繋ぎながら、右のMF奥浦孝介(3年)と左のDF松林蒼太(2年)の攻撃参加を引き出した。「うちがボールを握り、相手はリトリートしながらカウンターを狙ってくる展開を予想していた」(片野典和監督)通りに試合を持ち込むと、前半8分には奥村が右からクロス。ゴール前にこぼれたボールを拾った松林のシュートはDFに阻まれたが、清水が押し込んだ。

 先制点を奪ってからも、津工は「彼の出来がチームの出来を左右する」(片野監督)大型のMF岡本晟也(2年)やMF山副朱生(1年)による中央の崩しや、DF谷颯汰(3年)が繰り出す右前方へのロングボールでチャンスを演出。25分には松林のパスを受けた清水のシュートは相手守備に防がれたが、「先生からもっと前に行けと言われていたけど、ちょっと反応に遅れたら運よくボールがこぼれてきた」と振り返る岡本が押し込み加点した。「一つのポイントとして考えていた先制点が早い時間帯に獲れたのが大きかった」(片野監督)津工は後半22分にも岡本、奥村と繋ぎ、途中出場のMF豊田光(2年)が3点目を奪い、試合の行方を決定づけた。

 一方の近大高専は主将のDF前川裕太(3年)やボランチのMF上山晃希(2年)が奮闘を続けるも、思い通りに見せ場が作れない時間が続いた。決定機は前半10分に上山が放ったクロスバー直撃のクロスくらいだったが、後半39分に上山が意地のゴールを突き刺した。試合はそのまま3-1でタイムアップを終えた。

 片野監督がチームの礎を築いた藤田一豊前監督の後を引き継ぎ、今年で4年目。初年度に三重高に10失点したのを機に県内では珍しい3バックを続けてきた。最初は両ウイングバックが下がり5バック気味で守り、守備を安定させるのが狙いだったが、「津工は守備的なことを嫌うチーム」(片野監督)であるため、選手にはなるべく攻撃的なサッカーを意識させてきた。

 新たな津工スタイルが浸透してきてはいるが、今年は攻撃意識が強すぎたせいで、9月に行った県1部リーグの四日市中央工2ndの試合では6失点。試合後には片野監督の雷が落ちたが、以降は遠征を重ねながらチームが成長してきた。この日の試合も相手のシュートを4本に抑えるなど成長の跡を伺わせる。今の勢いと成長曲線を続けることができれば、全国行きも夢物語ではない。「チームとして得点がたくさん獲れているのは大きい。久しぶりに全国に行きたいので、次の準決勝も自分が点を獲る意識で頑張りたい」と口にするのは2点に絡んだ清水だ。残りの試合も津工らしい攻撃と秋以降磨いてきた守備強度を発揮し、頂点に立てるか期待したい。

(取材・文 森田将義)
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