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[MOM3338]昌平MF篠田大輝(2年)_弟の追撃弾に続いた兄の2大会連続劇的弾「兄弟でヒーローになれた」

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ラストプレーで劇的な同点弾を決めたMF篠田大輝(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 選手権1回戦 昌平高 2-2(PK8-7)高川学園高 NACK]

 だれも下を向いていなかった。Jリーグ内定4選手を擁し、大会前から優勝候補の一角として注目を集めていた昌平高(埼玉)だったが、前半7分にセットプレーから失点。必死の反撃も高川学園の堅い守りを崩し切れず、後半29分にはカウンターから致命的な追加点を許した。

 昌平が初戦で消えるのか――。見ている人の多くがそう思ったかもしれないが、ここから劇的なドラマが待っていた。後半21分から途中出場していたMF篠田大輝(2年)に続き、2失点目の直後の後半30分からは実弟のMF篠田翼(1年)も投入された。

 迎えた後半40分、MF須藤直輝主将(3年、鹿島内定)がドリブル突破から相手を引きつけ、篠田翼にラストパス。1年生MFが右足ワンタッチで振り抜いたシュートがゴールネットを揺らすと、昌平が猛攻に出る。1-2と追い上げた後半アディショナルタイム5分、ドリブルで縦に仕掛けた須藤が倒され、PAすぐ左の位置でFKを獲得。主審から「ラストプレー」との声もかかる中、須藤のキックに飛び込んだのが篠田大だった。

「交代前からこの試合でゴールを決めて、ヒーローになるんだと自分に言い聞かせていた。(得点シーンは)頭が勝手に出て、触れて点が入った。自分の強い気持ちが出たゴールだったと思う」。セットプレーでは高さのあるセンターバックを生かすためガードとなる役目を担うことが多いが、このときばかりは「自分で点を取りたいなと思った。俺のところに飛んで来いと思っていた」と、普段とは異なる動きをしてヘディングシュートを叩き込んだ。

 ゴールへの嗅覚、勝負強さは前回大会でも証明していた。今年1月3日に行われた選手権3回戦の國學院久我山戦。当時1年生だった篠田大はやはり途中出場から0-0の後半アディショナルタイムに劇的な決勝点を決め、チームを史上初のベスト8に導いた。この日は敗色濃厚だったチームを救う劇的な同点ゴール。2大会連続の後半アディショナルタイム弾を決め、チームはその後のPK戦を8-7で競り勝った。

「本当に決めちゃったなと。ラストプレーというのは自分でも分かっていた。外したらみんなとやるのはこれが最後。でも、決めればまだできると思って念じていた。ゴールしか考えていなかった」。燃える理由はまだあった。直前に篠田翼が追撃弾。1-2と追い上げるゴールを弟が決めていた。

 0-2とリードを広げられた直後に弟がピッチに入ってきた際は「俺たち兄弟でやってやるぞ」と声をかけていたという大輝は「翼が決めたら、次は俺でしょというのもあった。兄弟でヒーローになれたんじゃないかなと思う」と会心の笑顔を見せた。

 公式戦で兄弟がそろってゴールを決めたのは「これが初めて」という篠田兄弟。J内定4選手だけではない。途中出場の下級生が見せた活躍に藤島崇之監督も「途中から出た2人、篠田兄弟が点を取って、仕事をしてくれたことは、チームとしてもいい方向につながると思う」と手放しで称えていた。

(取材・文 西山紘平)

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