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持ち前の技術力に加え、粘り強さ向上。市立長野が“鬼門”の準決勝突破し、初V王手!:長野

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先制点を喜ぶ市立長野の選手たち

[10.30 選手権長野県予選準決勝 市立長野高 2-0 松本国際高 サンプロアルウィン]

 第100回全国高校サッカー選手権長野県予選の準決勝が30日に行われ、市立長野高松本国際高が対戦。DF吉谷遥輝(3年)とFW常田陸(3年)のゴールによって、市立長野が2-0で勝利し、4年ぶりの決勝進出を果たした。

 FW新井光(現鳥取)を擁した16年と17年度に2度のインターハイ出場を果たしている市立長野だが、選手権への出場は一度もない。今年のチームは、新井らがピッチで躍動する姿に憧れ、入学してきた選手が多い世代。足元の技術が高く、チームの代名詞であるテンポの速いポゼッションサッカーを具現化できるのが特徴だ。

 ただ、前年度の代表校である松本国際と対峙したこの日は、序盤から市立長野の良さが出せなかった。予想以上に前からボールを奪いに来た相手のプレスと、攻撃のキーであるMF藤田恭弥(3年)と成澤慧(3年)のダブルボランチがマンマークされたことで、思い通りにボールが前に運べない。それでも、マークが手数だったサイドに活路を見出し、前半23分には左のDF藤沢勝理(3年)が中へのワンツーからシュートを放った。

 守備では、「相手はキレのあるドリブルをしてくるサイドハーフの選手が特徴だったので、粘り強く対応するというのを心掛けていた」(DF田中清晴、3年)。MF岸琢人(2年)、二木楓(2年)による松本国際のサイドアタックを5バック気味で抑えた。

 決して満足の行く試合運びではなかったが、芦田徹監督は「ボールを引っ掛けながらも失点せずに行けたのは良かった」と振り返る。試合が動いたのは前半終了間際の38分。右サイド高い位置でリスタートすると、MF木下武蔵(3年)からのボールを受けた吉谷がふわりとしたシュートを決めて、市立長野が先制した。

 後半に入ってからは、攻撃センスの高いMF矢越俊哉(2年)を中心に松本国際が攻め込む時間が増えた。後半6分には、矢越のスルーパスから岸がPA右を抜け出そうとしたが、田中が並走。プレッシャーを受けながら、シュートを打ったが、GK高橋昴之介(2年)が阻止した。30分に打たれた二木のシュートもDF陣が身体に当てて、CKに持ち込んだ。

 我慢の時間が続いた市立長野に2度目の見せ場が訪れたのは、32分。左サイドでボールを持った藤沢が、DF裏にボールを入れると、走り込んだ常田が足を伸ばして合わせた。このシュートがGKの脇を抜けて2点目。そのまま試合を終えた。

 市立長野は、19年度の選手権予選から今年のインターハイ予選まで3度準決勝まで進みながら、いずれも涙を呑んできたが、ようやく鬼門を突破した。残るステージは決勝戦のみ。ここを突破できれば、悲願の選手権が待ち構える。

 今大会はここまで無失点を続ける通り、持ち前の技術力に粘り強さが備わってきているのも大きな収穫。「市立長野は、まだ選手権の全国大会に出たことない。まず自分たちがしっかり勝って歴史を変えたいですし、全国大会に出て『長野県にもこういうサッカーするチームがあるんだぞ』というのを全国に広めたい」と意気込むDF尾崎裕人(3年)を中心に、決勝も歓喜を引き寄せるつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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