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[MOM3629]専修大北上FW吉武皇雅(3年)_「自分たちは強い」。チームに絶対的な自信を持つキャプテンが1G1A!

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専修大北上高FW吉武皇雅は自らのゴールにガッツポーズ!

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.31 選手権岩手県予選準決勝 専修大北上高 3-1 盛岡市立高 いわぎんスタジアム]

 積み上げてきたこのチームのスタイルを体現することには、人一倍こだわっている。だからこそ、まずはその力を発揮するための雰囲気をしっかり作ろうと、心掛けているという。

「自分が良い声を掛けられれば、チームの雰囲気も良くなって、雰囲気が良くなれば繋ぐサッカーもできて、自分たちのチームは強いと思っているので、声掛けの部分でみんなを盛り上げていきたいと思っています」。専修大北上高のキャプテンにして、10番を背負うストライカー。FW吉武皇雅(3年=北上市北上中出身)は先頭に立って、戦う気持ちを前面に押し出していく。

 ファイナルを目前に控えた準決勝。前半は専修大北上の動きが、やや硬い。「ピッチの環境も変わって、観客も入るようになったので、ちょっと雰囲気が変わって焦ってしまった所があって、自分たちの繋ぐサッカーがあまりできていなかったと思います」。何回かチャンスは作るものの、アクセルを踏み込み切れない時間が続く。

 それでも、そのスタイルを存分に生かした先制点が生まれたのは、前半終了間際の40+2分。FW佐藤裕翔(3年)が入れた縦パスを、MF阿部翔輝(3年)はダイレクトでリターン。佐藤はさらにダイレクトパスで、吉武に付ける。「翔輝からダイレクトでもらおうと思ったんですけど、もう1回裕翔に戻したので、縦パスを受けてポストプレーをしようと」引き出したボール。トラップが少し乱れたものの、前を向いて必死に残すと、走り込んだ佐藤の左足シュートがゴールネットを揺らす。

「あの1点があったから、チームもちょっと落ち着いたかなと思います」と吉武も振り返った一撃は、まさにチームがトレーニングで積み重ねてきたような連携によるゴラッソ。ようやく1点のリードを引き寄せる。

 10番が自ら輝いたのは、後半20分。少しペナルティエリアに入った位置で、ゴールを見据えた吉武は迷いなく右足を振り抜く。「良い位置で受けられて、あそこはシュートレンジですし、監督によく『シュートを打っていけ』と言われていたので、とりあえず打っていこうと思いました。イメージしている通りの軌道でシュートを打てましたね」。ボールは右ポストの内側を叩くも、「もう『入れ!』って気持ちでした」という念が通じたのか、そのままゴールネットへ転がり込む。

 チーム2点目を決めた直後にベンチへ下がった吉武だったが、1点を返される展開に気が気ではない。「『これで決められたら悔しいな』と思って、仲間を信じて祈っていました」。ロングスローで押し込まれる時間が続いたものの、最後は吉武と交代でピッチへ送り込まれたMF小原希琉(3年)が3点目を叩き出して勝負あり。「2点目はチームにとっても貴重なところなので、自分が点を決められたことは大きかったかなと思っています」と振り返る10番は、勝利の瞬間をベンチでチームメイトと味わった。

「県内だとあまりこういうサッカーをしているチームは多くなくて、結構縦に速いロングボールを主体にしているチームが多いので、その中で自分たちはやっぱり繋ぐパスサッカーで、観客の方にも見ていて凄いなと思ってもらえるようなプレーをできるように、みんなで心掛けています」。“繋ぐパスサッカー”で勝ちたい。その想いで3年間を過ごしてきた。

 そのスタイルを志す上で、個が強い分だけ全体のバランスをうまく取るのもキャプテンの仕事。「自分たちのチームは点が入らなかったりすると焦って、言い合いになってしまったりして、そうするとチームの雰囲気が悪くなって、だいたい良いゲームにならないので、今日もちょっと翔輝と言い合いになっちゃったんですけど(笑)、そこを抑えて、盛り上げる声を出せたので良かったと思いますし、決勝はもっとみんなを鼓舞して、プラスの声掛けができればいいですよね」。

 1年時はメンバーに入っていたものの、出場することは叶わなかった晴れ舞台に今度こそ。「やっぱりフォワードは点を獲るのが仕事なので、決勝では自分が点を獲ってチームの雰囲気を上げていければ、チームも勝利に進んでいくのかなと思いますし、どんどんシュートを打っていって、ゴールを決めたいと思っています」。

 2年ぶりの全国へ。勝利と独自のスタイルを同時に追求する専修大北上の勝利には、前線でチームを牽引する10番の躍動が必要不可欠だ。

(取材・文 土屋雅史)

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