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[MOM3642]相生学院FW福井悠人(3年)_仲間の笑顔のため、内定先の讃岐のため。ゴールにこだわり、劇的V弾

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後半40+1分、相生学院高FW福井悠人は2度の切り返しを交えたドリブルから決勝点

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.3 選手権兵庫県予選準決勝 芦屋学園高 1-2 相生学院高 三木陸上]

「自分はこの相生学院も代表していますけれども、カマタマーレ讃岐というJチームも代表して戦わせてもらっているので、決めないともちろん帰れないし、皆さんに応援してもらっているので、結果出せて良かったかなと思います」。1-1の後半40+1分に劇的な決勝ゴール。相生学院高FW福井悠人(3年=啓明学院中出身)は仲間の笑顔のため、内定しているカマタマーレ讃岐のためにゴールを目指し、見事な一撃で熱戦に決着をつけた。

 敵陣やや左寄りの位置でボールを受けた福井は左前方へドリブルすると、切り返して右へ。少しボールを運んでからさらに切り返して左前方へドリブルし、前方のDF2人を振り回すと、最後はペナルティーアーク左から左足シュートを左隅へ突き刺した。

「いつも練習しているパターンで、この前の試合も決めたんですけれども、それが自分の得意な形なので決まって良かった」。前半から相手の動きを見ながら、一際余裕のある動き。そして、鋭いドリブルで存在感を放っていたが、こだわっていたのはゴールだ。

「自分的には剥がすなんて当たり前だと思わないといけないですし、高校年代で負けていたらプロでやっていけないと思っているので。そこよりも今チームに求められているのはゴールというところなので、1点取れたのは良かったですけれども、チームのみんなが心配しないくらい2点取ったり、3点取ったりしたい」

 “1点しか決められなかった”ことを反省。それでも、仲間たちを笑顔にできたことを素直に喜んだ。「(みんなの笑顔を見て)感動しましたし、自分の点で勝てるというのは一番嬉しいことですし、みんなの笑顔を見るために今自分頑張っているので、これから(決勝戦が開催される)ノエビア行きますけれども、もっともっとみんなを喜ばせるようにしたいです」。最後は攣っていた左足で執念のゴール。上船利徳総監督はエースが決めることを確信していたという。

「ベンチでもスタッフとも話をしていましたけれども、『悠人、絶対決めるから、ウチ勝つよ。DFは我慢だな』と。『絶対に悠人決めるから』と」と微笑む。福井は6月に讃岐へ内定し、2種登録。J3デビューも果たした。上船総監督は「彼はカマタマーレ讃岐に行ってさらにレベルが上がりました」と頷く。勝負の世界を経験し、より結果にこだわるようになった。

 福井は中学卒業後に欧州でプロになることを目指して渡欧。ビザの関係で帰国し、2年前の秋から上船総監督の指導を受けている。「上手い選手だけど、このままではプロになれない」とはっきり指摘された福井は、「プロにはなれると小学校の頃から思っていましたけれども、なれると思っていただけで行動できていなかったかなと思いますし、ここに来て自主練の量が圧倒的に増えました」。当初はコーチ陣のアドバイスに対して聞く耳を持てないこともあったという。だが、サッカーに集中できる環境と上船総監督の情熱の下、取り組みが変化。苦手だった守備を改善し、強度や武器のドリブル、シュートを向上させてプロ入りを勝ち取った。

 7日は名門・滝川二高と決勝戦。「ラストですし、みんなとできるサッカーというのは最後なので。選手権は普通の試合よりは全くの別物で、これまで厳しいことも、苦しいこともありましたけれども、最後これで終わるので、悔いなく、みんなで楽しんで笑顔で終われたらなと思います」。決勝でも相生学院と讃岐のために全力でゴールを目指し、再び輝く。 


(取材・文 吉田太郎)
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