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「1分でも2分でも…」大会直前に大怪我の神村学園キャプテン、チームの思いが結実

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[11.7 鹿児島予選決勝 鹿児島城西0-4神村学園 白波スタジアム]

 神村学園高はアクシデントを力に変えていた。選手権予選直前の試合で、主将MF抜水昂太(3年=神村学園中)が右膝前十字靭帯を切る大怪我を負った。怪我をした瞬間はそこまで大きな怪我だとは思わなかったというが、病院での診察結果は非情なものだった。

 キャプテンを欠いて戦わないといけない。初の日本一に向け、士気を高めていた選手たちの間に動揺が広がった。しかしすぐあとに声を掛け合った。「キャプテンをピッチに立たせよう」。そのためには1日も長くこのチームで試合をすること、キャプテンが怪我をおして出てもいいように楽な展開に持ち込むこと。チームはより団結した。

 そしてその瞬間は県決勝でやってくる。4-0と勝利を目前にした後半アディショナルタイム1分、MF篠原駿太(3年=太陽SC)に代わって抜水がピッチに送り込まれる。笑顔の抜水。プレーに絡むことはほとんどなかったが、鹿児島県5連覇の瞬間を仲間と共に輪の中心で味わった。

 有村圭一郎監督も「ピッチに立たせたい思いはスタッフを含めた全員の思いだった。1分でも2分でも立たせることが出来て良かった」と笑顔で振り返る。そして抜水は「チームのみんなが頑張ってくれて、最後にピッチに立つことができてよかった」と目を赤らめた。

「3年間このために頑張ってきて、怪我で出られなかったけど、チームで掴んだ優勝なので、素直に喜びたい。涙?自分自身辛い思いもしたけど、仲間を信じて優勝という結果を残せたことがよかった。全国では神村らしく観ている人を魅了するサッカーで全国制覇を目指したいです」

(取材・文 児玉幸洋)
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