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[MOM760]流通経済大DF宮本優太(4年)_苦戦の関東覇者を勝利に導く…浦和内定DFが走破の逆転弾

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流通経済大DF宮本優太(4年)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.11 全日本大学選手権2回戦 流通経済大 2-1(延長) 新潟医療福祉大 保土ケ谷]

 プレッシャーは感じていた。「たぶん世間からは、関東1部の王者と間違いなく言われると思っていた」。それを跳ね除けたのは自分自身。延長戦までもつれた接戦に決着をつけたのは、流通経済大DF宮本優太(4年=流通経済大柏高/浦和内定)だった。

 J1内定者を7選手、来季J3に参入するいわきFCに内定している3選手も含めると、10選手もプロ内定者を擁す関東1部王者・流経大。だが、先制点は新潟医療福祉大に奪われる。前半11分、一瞬の隙を突かれ、北信越No.1ストライカーのFW小森飛絢(3年=富山一高)にヘディングシュートを決められた。

 トーナメント初戦で追いかける難しい展開。宮本は「ちょっと焦っちゃう部分もあった」と認めつつも、中野雄二監督の「難しい試合になると思うよ。それでも勝ち切ることが大事」というメッセージを胸に、まずは同点を目指す。なかなか追いつけないが、着実に相手ゴールを攻め立てた。

 そして、後半19分にMF菊地泰智(4年=流通経済大柏高/鳥栖内定)、その2分後にFW満田誠(4年=広島ユース/広島内定)とFW齊藤聖七(3年=清水ユース)が入ると、いよいよ得点の匂いが漂う。「自分たちのサッカーをやれば必ず点が取れるって話していた」(宮本)。宮本が右サイドで起点を作ると、MF仙波大志(4年=広島ユース/広島内定)からのボールを受けたMF佐藤響(4年=水戸啓明高/鳥栖内定)が右足シュート。待望の同点ゴールが入った。

 その勢いのまま、試合は終盤へ。後半42分には宮本が決定機を迎えるも、シュートはゴール枠外に外れる。決着はつけれらず、試合は1-1のまま延長戦に突入した。

 だが、宮本自慢の運動量は落ちない。スタンドからは、宮本の母校・流通経済大柏高で監督を務める榎本雅大監督が観ていたという。「エノさんも来ていて、よく走るねって言ってもらえた。本当に走ったから、あそこにこぼれてきたんじゃないかなっていうのは本当に思います」。その瞬間は、延長後半6分にやってくる。

 齊藤がPA左に持ち込み、ボールを拾った満田のヒールパスから、再び齊藤がPA左から右足シュート。しかし、相手GKに阻まれる。ボールがPA右にこぼれると、そこには走り切った宮本が待ち構えた。

「後半最後に、絶対に決められるような場所を外してしまって、チームに迷惑をかけた。あそこまで走ったことでボールがこぼれてきてくれて、一回外しているからもう逆に吹っ切れているというか。ちゃんと当てようっていう意識があったので逆に、ちょっと冷静にはできました」。

 ゴールを見定めて左足ダイレクトで合わせる。逆転決勝シュートがゴールネットを揺らした。

 120分の死闘を制し、宮本は「ホッとしました」と目を細める。「自分たちの初戦ということもありましたし、先に失点もした。たぶん世間からは、関東1部の王者と間違いなく言われると思っていたので、厳しい試合ではありましたけど、全員で勝てたのは、一番ホッとしたかなと思います」。

 来季からは浦和の選手としてJリーグの舞台へ。振り返ると、悔しい経験も多かった。

「去年3年生の立場で全国大会に出て、もちろん自分たちも優勝する気でいたんですが、法政大に負けてしまった。そこで負けたときに、すごくどうしていいかわからない気持ちにもなりましたし、あの4年生たちと、スタッフ、チョウ(・キジェ)さん、監督とやれないっていうのを感じたときに、なんというかすごく胸糞悪い感じがした。あの感じだけはしたくない」

「4年前に選手権でも決勝までいって、決勝の舞台で負けた。そこでも同じような悪い感じがした。だから大学の最後は、チーム全員で笑って終わりたいと思っています」

 学生サッカーの集大成。勝ち続けても、あと3試合で終わる。「これから残り3試合厳しい試合にはなると思いますけど、チーム全員で頑張っていきたいです」。プレッシャーを跳ね除ける強さを身に着け、いまはただひたすら頂点を目指す。

(取材・文 石川祐介)
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