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宮崎の勢力図変えた宮崎日大が新たな一歩。前回8強の富山一から全国初白星!

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スタンドの後押しも受けて宮崎日大高が全国初勝利!(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.31 選手権2回戦 富山一高 0-1 宮崎日大高 フクアリ]

 宮崎の新興勢力が新たな一歩! 31日、第100回全国高校サッカー選手権2回戦で前回大会8強の富山一高(富山)と宮崎日大高(宮崎)が対戦。宮崎日大が1-0で勝ち、2度目の選手権挑戦で全国初白星を挙げた。

 宮崎県は98年度大会で宮崎工高が県制覇した後、19年度まで22年間に渡って日章学園高と鵬翔高の2強状態が続いていた。その間、鵬翔が13年度大会で宮崎県勢初の日本一に輝き、日章学園も2度8強入りと全国舞台でも健闘。宮崎日大はその両校の前に県決勝で計6度敗れていたが、2年連続で厚い壁を突破した力が“ホンモノ”であることを実証した。

 宮崎日大のOBでもある朝倉大志監督は、「ずっと日章学園高校さん、あと鵬翔高校さんの背中を追いかけてやってきた中でやっと追いつくことができたんじゃないかなと思っているので、ここから宮崎県のサッカーを宮崎日大が引っ張っていけるような1勝になったんじゃないかなと思っています」と大きな意味を持つ1勝を喜んでいた。

 この日の対戦相手は“国立最蹴章”13年度大会優勝校の富山一。前回大会8強で、新国立開催初年度でのV奪還を目指す強豪校だ。開始2分、富山一はゴール前のこぼれ球に反応したFW大井優太郎(3年)がいきなり決定的なシュート。だが、宮崎日大はGK羽間友基主将(3年)が距離を詰めてストップする。

 宮崎日大はいずれも突破力のある相手の左サイド、WB片山大治郎(3年)と10番MF中川晟(3年)を警戒。だが、そこにボールを通され、彼らの仕掛けやロングスロー、一際強度高いDF湯川信治(2年)の攻撃参加などからゴール前のシーンを作り出されていた。

 ボールがなかなか落ち着かず、各局面でデュエル勝負が繰り広げられたが、宮崎日大は怯まない。そして、決して回数は多くなかったものの、狭い局面でも正確なパスを通していた大型レフティー・MF芥川蘭丸(2年)やFW和田俊星(3年)を交えたコンビネーションで突破。前半終盤に和田が強烈な左足シュートを放つなど押し返した宮崎日大は、後半開始から2選手を入れ替える。

 そして、投入されたFW四本真輝(3年)が推進力でチームを活性化。またMF兼本夢歩(3年)のドリブルなどで攻め上がるが、後半も富山一がより相手ゴールを脅かす。デザインされたセットプレーやクロスからシュート。だが、18分に中川の放った強烈な左足シュートと20分にFW杉本和真(3年)の打ち込んだ左足ミドルはいずれも宮崎日大GK羽間の好守に阻まれた。

 加えて27分には、中川のコントロールショットがクロスバーをヒット。大塚一朗監督も「チャンスで決め切れる力がまだなかったかなと思っています」と首を振ったように、15本のシュートを得点に結びつけることができなかった。

 羽間やDFライン中心に無失点を続けた宮崎日大が、試合終盤にスコアを動かす。後半33分、敵陣左中間でFKを獲得。キッカーの芥川がインスイングの左足キックでGKとDFラインの間へボールを入れると、フリーのCB外山将大(2年)が頭でゴールへ突き刺した。宮崎日大は2年生CBが決めたチームの全国初ゴールに喜びを爆発。富山一はすぐに190cmFW大川翔夢(3年)を投入して反撃するが、宮崎日大は根気強く跳ね返して1-0で勝ち切った。

 宮崎日大は前回大会初戦で仙台育英高(宮城)に0-3で敗戦。朝倉監督は「自分たちの思うようなサッカーができなかったので、どんな時も自分たちのサッカーをブラさずにやることをこの1年間心がけてきました」という。

 この日もなかなか主導権を握ることができなかったが、焦れずに粘り強く戦い、1-0で勝利。外山は「キツイ試合になったんですけれども、全員が守備をして、失点をゼロに抑えたことが勝てた一つの原因だと思います」と胸を張った。

 チームの目標はベスト8。目標達成を懸けた3回戦の対戦相手はインターハイ3位の静岡学園高(静岡)だ。富山の名門から初白星を挙げた宮崎日大がV候補にも食い下がり、チャンスで仕留めて鵬翔、日章学園に続く8強入りを果たす。
 
(取材・文 吉田太郎)

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