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[MOM3755]高川学園MF西澤和哉(3年)_指揮官も「何で…」。“持っているやつ”が2試合連続決勝弾!

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後半15分、高川学園高MF西澤和哉が右足で勝ち越しゴール。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.4 選手権準々決勝 桐光学園高 0-1高川学園高 等々力]

「何で、こんだけ西澤のところへボールが来るのか……」。試合後のオンライン会見に出席した高川学園高の江本孝監督は、不思議がっていた。MF西澤和哉(3年)は仙台育英高との3回戦で後半40分に投入され、同40+3分にファーストタッチで決勝点。17年ぶりの準決勝進出を懸けたこの日も、後半11分の投入から4分後の同15分に右CKから決勝点をマークした。

 ニアとファーポスト付近にそれぞれ3人ずつを配置した新作の“セットプレー”。ファーの担当だった西澤は本来、ニア方向へ走ってスペースを突く役割だったというが、相手の状況を見て、自分で判断してファーに残った。そして、桐光学園高DFのクリアが読み通りにファーへ。コントロールした背番号14は、「最後流し込むだけでした。決めたら嬉しいしか頭になくて、嬉しい気持ちでいっぱいでした」という一撃で均衡を崩した。

 指揮官が「一言でいうと、“持っているやつ”ですね」と評する西澤は、テクニカルで緩急自在のドリブルが武器のアタッカーだ。当時2年生だった20年度の選手権予選決勝で後半アディショナルタイムに決勝ゴール。新チーム発足後の21年3月の中国高校新人大会は左サイドで先発し、準々決勝での先制点やドリブル、パス交換でのチャンスメークなどで優勝に貢献している。
 
 だが、その後は結果を残し続けることができずに控え。「この3年間、プレー面が本当に何も成長していないと言われていた。自分を良いイメージすることができなかった」と振り返る。

 だが、「日々のトレーニングから一生懸命やってきたと思っている」と語る西澤は日常から精力的に声を出してチームを盛り上げるなど、姿勢を変えずに取り組んできた。そして今大会、勝負どころで起用され、チームを救う2試合連続決勝ゴール。江本監督からも「よりゴールへ貪欲になってきたというところの部分が変わってきたところかなと思っています。一振りという部分では信頼しています」と評価される存在になっている。

 次は青森山田高との準決勝。過去山口県勢は3度準決勝へ進出しているが、関西開催だった1949年度の山口東高(現山口高)は1-4、いずれも国立競技場で開催された05年度の多々良学園高(現高川学園高)は0-1、07年度の高川学園も0-1で敗れている。準決勝は未勝利で、国立に限れば無得点。だが、西澤は、「国立で誰も奪ったことがない得点を奪えたらいい。高川としても勝利を掴んでいけたら良い」。チーム、山口県勢の歴史を変える勝利とゴールを“持っているやつ”がもたらす。

(取材・文 吉田太郎)

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