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選手権は出場停止の準々決勝で敗退。桐光学園MF山市秀翔は恩師とともに戦う高校選抜で「恩返ししたい」

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MF山市秀翔(桐光学園高、左)は日本高校選抜を声とプレーで引っ張る

 日本高校選抜で「恩返し」することを誓った。MF山市秀翔(3年=TOKYU sports system Reyes FC YOKOHAMA出身)は20年、21年にU-17日本代表候補に選出されているボランチ。桐光学園高(神奈川)3年時は名門校のキャプテンも務めた注目MFだ。

 今冬の選手権では特長である球際の強さや切り替えの速さ、運動量、セカンドボールの回収を全力で発揮。「ここまで選手と一緒に戦い、熱くなれる人はいない」という鈴木勝大監督就任後、初となる選手権準々決勝へ駒を進めた。

 だが、チームは山市を累積警告で欠いた準々決勝・高川学園高(山口)戦でチャンスを活かせず、0-1で敗戦。9年ぶりの準決勝進出と国立競技場で戦う夢には届かなかった。山市は「本当にスタンドで応援していた高川戦に関しては、悔しくて、国立を懸けた大事な一戦で自分が出れないんだというもどかしさであったり、自分に対する悔しさがあって……」と振り返る。

 山市は「悔いがないと言ったら嘘になるんですけれども」と前置きした上で、全力で勝利を目指し、奮闘したチームメートたちに感謝。「自分が犯したことなので、仲間に対して言うならば自分を責めないで欲しい。みんな思い切り戦ってくれた。チームのために戦ってくれた選手がいたからこそ、ベスト8という形で終われたと思う」。そして、前を向いて、あの試合があったから、と言える大学生活を早稲田大で送ることを誓った。

「出れないことをマイナス要素に捉えずに、次、自分がプロになって活躍した時に高校サッカーを振り返った時にあの経験があったから、自分はこうしてプロ生活を送れているんだな、と言えるような大学生活にしていきたいと思っています」。

 その山市は日本高校選抜に選出。選考合宿では初日のウォーミングアップで突如大声で掛け声を上げ、やや硬かったチームの雰囲気を一変させた。「自分の長所は何だと考えた時に、自分は盛り上げたりとか、ハードワークするところだと思うので、遠慮していたら意味がないなということで、初日の一発目から声を出させてもらいました」と微笑。山市はピッチでも非常にエネルギッシュな動きを見せてチームを引っ張り、選考を突破した。

 今回、桐光学園の鈴木監督がコーチングスタッフとして日本高校選抜に帯同。山市は再び恩師とともに戦う機会を得た。「勝さん(鈴木監督)に国立という形で恩返ししたかったんですけれども、叶わなかったので、今度は高校選抜のコーチということで身近でありますけれども、プレーで高校選抜の人たちを引っ張って行ったり、勝さんに恩返ししたいと思います」と誓う。

 日本高校選抜は3月にデンソーカップチャレンジサッカーなどに出場。今月12日には「NEXT GENERATION MATCH」で川崎フロンターレU-18と対戦する。山市は「フロンターレはJユースの中でも上手さのあるチームですけれども、高体連らしい粘り強い守備だったり、カウンターやセットプレーで違いを見せつけて、自分達は日本高校選抜という看板を背負っているので、代表としての責任と自覚を持って一戦一戦勝っていきたいなと思っています」。桐光学園で続けてきたアクションを起こす姿勢を進路の早稲田大、そして日本高校選抜でも発揮する意気込み。恩師の前で結果を残して、“高校サッカーを卒業する”。

(取材協力=スフィーダ、『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 吉田太郎)●【特設】高校選手権2021
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