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1年前は瀬戸内のCチーム。恩師の「本気の」檄や先輩からの学びで「変わった」FW澤田佳憲がU-17日本高校選抜に

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瀬戸内高FW澤田佳憲はU-17日本高校選抜に選出された。(写真協力=高校サッカー年鑑)

 14日、今月17日から20日まで合宿を行うU-17日本高校選抜メンバーが発表された。FWのポジションは、選手権準優勝校・大津高(熊本)FW小林俊瑛(2年)とインターハイ準優勝の米子北高(鳥取)FW福田秀人(2年)、そして瀬戸内高(広島)のFW澤田佳憲(2年=兵庫FC出身)が選出されている。

 澤田は選考合宿でアピールしてのメンバー入りだ。第100回選手権は無得点で初戦敗退。選考合宿メンバーに入った時点で、「正直選ばれると思っていなかったので。全国大会でも結果を残せなかったし、けど選ばれた時は正直めっちゃ嬉しかったです」と喜んでいた。

 チームメートで主軸MFの江川楓(2年)が、昨秋のU-17日本高校選抜の活動に参加。「楓とは違う世界かなと思っていたんですけれども、やっと同じ場所に立てれたので、そこが一番嬉しかったです」。江川も選考合宿に参加。だが、怪我もあって試合には出場できず、今回は選外となった。仲間の分もU-17日本高校選抜での活躍を目指す。

 選考合宿では、東京国際大との練習試合で相手DFラインの背後を突き、チーム唯一のゴール。U-18日本高校選抜候補との練習試合第2戦でも決勝点をアシストした。「武器はポジショニングのところで、ライン間でボールを受けるや、逆に落ちて食いつかせて裏とか、そういう駆け引きのところが武器です」という強みを活かしてチャンスメーク。昨年の年明け頃は瀬戸内のCチームにいたFWが、U-17日本高校選抜入りを果たした。

「この1年は瀬戸内高校でCチームまで落とされて、怒られて、自分で正直腐っていた時もあったんですけれども、コーチ(前迫明コーチ=現広島桜が丘高、渡辺亮真コーチ)が僕のために一生懸命怒ってくれて、それで気持ちを切り替えてここまでこれたので、凄く良い1年でした」。自分のために本気で怒ってくれた人たちがいたから、変わることができた。

 先輩の存在も大きかった。澤田が最も影響を受けた選手は、先輩FW風呂迫恵人(3年)だという。風呂迫は瀬戸内の3トップの中心選手で、インターハイでゴールも決めているCF。「身近にいて、いつもよく風呂君のプレーを見て、聞いて、学んでいました」。その風呂迫は選手権予選前に膝の負傷で長期離脱。澤田は風呂迫の9番を受け継いで選手権予選に臨んだ。

 そして、「3年生の代わりに出ているという責任もあるので、結果で示したい」の思いをぶつけ、決勝で先制点。ピッチに立てない先輩の分も身体を張り、学んだことを活かしてゴールと全国大会出場に結びつけた。

 全国大会は初戦で尚志高(福島)にPK戦で敗戦。対戦したU-22日本代表CBチェイス・アンリ(3年)については、「これまで経験したことのないレベルの身体能力だったり、手足の長さを生かしたボールハントだったり、半端なかったです」と振り返る。

 それでも、「ライン間でボールを受けることだったり、ポジショニングで相手を惑わす動きだったり、そういうポジショニングのところや収められることができたので良かったです」。自分の武器が“怪物”CB相手でも通用したと実感。その自信も持ってU-17日本高校選抜の活動に臨む。FWカリム・ベンゼマのように自分でも勝負できて、味方も使える幅広いストライカーになること、今年の「中国地方でナンバー1のFWになること」が目標。支えてくれた恩師や先輩、仲間の存在もあってCチームから這い上がってきたFWが、U-17日本高校選抜の才能たちと切磋琢磨し、目指す姿により近づく。

(取材協力=スフィーダ、『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 吉田太郎)
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