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米子北は中国新人が新チーム初の対外試合。“四原則”徹底し、力強さ発揮した準決勝を3-0勝利

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前半6分、米子北高FW小橋川海斗(8番)が先制ゴール

[3.13 中国高校新人大会準決勝 就実高 0-3 米子北高]

 第14回中国高校新人大会は13日午後、準決勝を行い、米子北高(鳥取)が3-0で就実高(岡山)に快勝。米子北は14日の決勝で高川学園高(山口)と戦う。

 昨夏のインターハイで12年ぶりの決勝進出、準優勝した米子北だが、選手権は悔しい初戦敗退。コロナ禍で新チームは対外試合を実施することができず、今回の中国新人大会が新チームにとって初めての対外試合となっている。

 U-17日本高校選抜MF福田秀人(2年)を除く先発10人が入れ替わる中、練習も満足に行うことができず、難しいスタート。それでも、中村真吾監督は「(中国大会が)やれて良かったですよ。こいつらは試合に飢えていましたから」と待望の対外試合に感謝する。

 準決勝はこの日2試合目。連戦も初めての選手たちにとっては簡単なゲームではなかったが、「(学校で待っている)残りの子たちは1試合もできていない。試合できることに感謝して、キツイとか身体が動かないとか言っている場合じゃないと」(中村監督)。背中でチームを牽引する新主将の左SB野田徹生(2年)や福田をはじめ、気持ちを奮い立たせた選手たちが前半に就実を飲み込んだ。

 米子北は、キックオフ直後から間髪入れずに相手の背後を狙い続け、ゴール前に割って入ろうとする。前半6分にはFW小橋川海斗(2年)が右中間からのFKを右足の弾丸ショットで叩き込んで先制。その後も179cmのFW森田尚人(1年)と小橋川の2トップへのロングボールやロングスローを回収する形で連続攻撃を繰り出した。

 米子北と同じくプリンスリーグ中国を戦う就実は押し込まれる時間帯が続いたが、DFリーダーとして期待される180cmCB峰沢悠月(1年)や右SB春名倖生主将(2年)が中心となってその攻撃を凌ぐ。そして、回数こそ少なかったものの、FW草野大吾(2年)やMF山内裕大(2年)、MF平野翔生(2年)らが1タッチパスを織り交ぜて反撃。前向きの選手を活用する形でサイド攻撃に持ち込んでいた。

 だが、米子北は主導権を離さない。CKからCB青戸幸輝(2年)がヘディングシュートを放つなど相手にプレッシャーを掛け続けると22分、MF音田英琉(2年)が右サイド後方から対角のFK。これをMF仲田堅信(1年)が頭でPA方向へ繋ぐ。最後は抜け出した小橋川が強引に左足を振り抜き、2点目を決めた。さらに30分には、相手のクリアを頭で繋いでPAへ。最後は森田の右足ハーフボレーがGK頭上を破り、3-0とした。

 就実は、後半開始からともに主力のFW横田憲史郎(2年)とMF赤熊大和(2年)を同時投入。彼らがボールを落ち着かせたことによって、前半よりも押し返す時間を増やした。そして、突破口の山内が左サイドから果敢に仕掛ける。

 後半は米子北と良く渡り合っていた。だが、須田二三明監督は「予測の速さとか動き出しの速さがやっぱり相手の方が一枚上です。システムや仕組みではなく、シンプルな差。単純に個のレベルアップをもうちょっとやっていかないと、この差は埋まらないと思います」と指摘し、全国トップクラスを体感した選手たちの今後の取り組みに期待した。

 米子北が選手権出場組の10番MF中井唯斗(2年)や182cmFW山田楓元(2年)を投入し、後半もゴール前まで押し寄せて来る中、就実はGK細川隼之介(2年)らが集中した守備。相手の勢いに負けずに後半は無失点で乗り切る。だが、0-3で敗戦。試合終了直後から選手同士で改善するために意見を出し合っていた。
 
 勝った米子北は、全国舞台で活躍した先輩たちと比較される中での一年。野田は、「去年の3年生たちは僕たちよりも技術や能力が高かったので、その部分で劣っていて、その差を埋めるというのはなかなか時間がかかること。自分たちは、やっぱり北高の原則であるアプローチ、球際、攻守の切り替え、運動量のところで補って、自分たちの良さを出していきたいと思っています」。この準決勝はまだ試合することのできない仲間たちの分も責任感を持って戦い、檄を受けていた前線の選手の奮闘もあって快勝。1年前に先輩たちが敗れた中国新人準決勝を突破した。

 野田は「今年の目標は選手権優勝に向けてやっていきたいので、これからどんどん積み上げて行って、去年の先輩はインターハイで準優勝しているので、負けないようにやって行きたい」。まずは選手権で3位に入った高川学園との決勝に集中。中村監督が「チャレンジャーとして頑張ります」と語ったように、挑戦者として臨み、“四原則”を徹底して強敵を上回る。

(取材・文 吉田太郎)

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