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[デンチャレ]高校選抜は2年連続未勝利で最下位終戦…「努力は半端なかった」チェイス・アンリが“運命”の高校ラストマッチ

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フル出場したアンリだが、完敗に肩を落とす

[3.13 デンチャレ7・8位決定戦 日本高校選抜0-3プレーオフ選抜]

 日本高校選抜はプレーオフ選抜との7・8位決定戦に0-3で敗れ、最下位で大会を終えた。昨年度から大学生の全国大会に参戦している高校選抜だが、2年連続の未勝利終戦。今季の高校選抜を率いた仲村浩二監督(尚志高)は「全く出来なかった印象はないけど、決めるときに決めるパワーや、フィジカル的なところで違いがあるんだと体感させてもらいました」と完敗を認めた。

 超高校級DFが高校での公式戦の最後を仲村監督が率いる選抜チームで終えられたのは運命だったのかもしれない。高校3年間、DFチェイス・アンリを指導した仲村監督も「たまたま高校選抜を率いることになって、アンリがいた。アンリと出会えて良かったなと思いますし、運命的なものを感じます」と3年間を感慨深げに振り返った。

 今の評価は「半端ない」努力で得られたものだという。仲村監督によると、入学時は「こんな選手になるとは全く思っていなかった。サッカーのサの字も出来ないような子だった」。転機は高校1年生の2月に鹿児島県で開催されたJENESYS2019 青少年サッカー交流大会を戦うU-17日本代表メンバーに選ばれたこと。帯同した当初は練習から何も出来なかったことで「早く帰りたい」と嘆いていたというが、U-19東ティモール代表との決勝で豪快ヘッドを決めたことでトップレベルを自覚するようになった。

 そしてその4か月後には飛び級でU-20日本代表候補に招集。そこからは目線が世界へと向くようになったという。「世界を目指すんだと決めてからの努力が素晴らしかった。僕が今まで見てきた選手とは、覚悟を決めてからの努力は半端なかったなと思います」。近年でもFW染野唯月(鹿島)ら有力選手をプロの舞台に送り出してきた名将の目にも、アンリの成長は特別と映ったようだ。

 アンリ自身も「尚志のおかげ。自分もびっくりするくらい伸びた」と感謝を語る。すべての面で大きく成長することができたと感じるからだ。

 サッカーを始めた当初はFW。ただドリブルが下手で、味方にすぐにパスを出した方が楽だと考えてDFに転向した。ただ「逃げる」という選択肢しか持たなかった当時の自分に嫌気が刺していた。12歳までアメリカで、中学時代を神奈川県で過ごしたアンリだが、いち早い「自立」を求めて高校では親元を離れることを決意。その成果は性格の変化にも表れ、“下手くそだから逃げる”ではなく、下手くそだから努力する”という向上心の塊へと変えた。

 今大会でも大学生を相手に力の差を感じることが出来た様子。ただこれも更なる高みを目指す肥やしにしていく。「強度も高いしプレスも早い。これでもプロになれない人もいるのかと思って凄いと思った。プロはもっと凄いだろうし、自分は海外で活躍することを目標にしているので、もっとやらないといけない」。仲村監督は「まだ道半ば」と愛弟子へエールを送ったが、アンリが現状に満足することはないだろう。「これからも代表活動はあるし、まだ努力しないといけない」。高校生の肩書が外れるこれからが本当の勝負だ。
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