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目指すのはルベン・ディアスのようなCB。帝京長岡DF笠井冠晟は地元・長岡の地に新たな歴史をもたらす

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帝京長岡高を支えるディフェンスの中心、DF笠井冠晟

 1年生だった一昨年度は、準々決勝に準決勝と大事な舞台でスタメンに指名されたものの、満を持して挑んだ昨年度は2試合ともに途中からの出場。最後はPK戦での敗退を目の前で味わった。最高学年になった今年こそは、必ず納得のいく結果を選手権で引き寄せてみせる。

「もっと身体を大きくしたいですし、ヘディングは全部勝つぐらいの気持ちで、対人をもっと強化していきたいですし、試合ももっと声を出さないといけないですし、自分がやらないとダメなので、もっと引っ張っていきたいなと。今年は高校最後の1年なので、選手権でベスト4を超えて、日本一になれるように頑張りたいと思います」。

 最終ラインにそびえ立つ“越後の壁”。帝京長岡高(新潟)のディフェンス陣を束ねるセンターバック、DF笠井冠晟(2年=ReiZ長岡FC出身)は再び頂点を目指すための戦いに身を投じていく。

「ゴールを守るというところで、1試合目に結構やられたので、2試合目は絶対守ってやろうという感じでした」(笠井)。TOKINOSUMIKA CHALLENGEの2日目。U-16日本代表と対峙し、3-6と大量失点を喫した第1試合を経て、意気込む第2試合で激突するのは三冠王者の青森山田高(青森)。相手にとって不足はない。

 だが、前半だけで2ゴールを奪われると、後半に入って1点を返したものの、最後は追加点を許して1-3で敗戦。「後ろから見ていて、全員がボールを止めてから考えていたりしていたので、もっとワンタッチをうまく入れたらいいのかなと思いました。守備面では縦を切って、横にサポートしたり、縦スライドや横スライドを早くできれば、もっとしっかりブロックは作れるかなと感じています」。まだ始動したばかりの時期とはいえ、多くの課題を得る90分間になった。

 特にこの日は昨年からディフェンスリーダーを任されていたDF桑原航太(2年)が欠場していたため、笠井も背負う責任をいつも以上に感じていたようだ。「ディフェンスで2年生は自分1人だったので、もっと引っ張っていくというところを意識して、チームを鼓舞していければ良かったですし、もっと身体を張ってチームを勢いづけたり、ゴールを守るところにこだわっていきたいなと思います」。

 センターバック。サイドバック。それにボランチ。守備的なポジションであれば、どこでも水準以上でこなせる器用さも持ち合わせているが、本人は以前から主戦場にしてきた定位置がしっくり来るようだ。

「やっぱり一番はセンターバックですかね。サイドバックやボランチもやったんですけど、小学生の頃からセンターバックをやってきたので、そこがいいかなと感じています。ただ、ボランチは全体を広く見ないといけないですし、そこはセンターバックにも生きていますし、サイドバックをやったことで攻撃参加も増えたかなと思います」。様々な経験を結集させ、確かな自身の糧に繋げてきた。

 憧れの選手は、ポルトガル代表のディフェンダーだ。「ルベン・ディアスは守備もできて、ビルドアップも上手いし、点も獲れますし、アレはヤバいです(笑)。マンチェスター・シティのプレミアの試合は結構見ています。その中でもヘディングでも競り勝っていて、対人も強いですし、ゴール前で身体を張るというところでも、ルベン・ディアスに憧れています」。目指すのは、何でもできるセンターバック。世界屈指の守備者を参考に、日々の練習を積み上げる。

 帝京長岡にとって悲願とも言うべき、プレミアリーグ昇格ももちろん視野に捉えている。昨年末のプレーオフでは、3-1でリードしているハーフタイムに笠井は交代を命じられ、チームの大逆転負けをベンチで見つめることしかできなかった。「もう1回あそこに行って、借りを返したいと思います。そのためにも、プリンスでは負けないことと無失点にこだわりたいです」。

 高校選手権での日本一に、プレミアリーグへの昇格。新たな歴史の扉は、自分たちがこじ開ける。高いポテンシャルを備えた笠井は、その栄冠を地元・長岡の地へともたらすため、とにかく目の前のボールを懸命に追いかける。

(取材・文 土屋雅史)

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