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[J-VILLAGE CUP U18]川崎U-18戦で4発!U-17高校選抜FW小林俊英が示した意地と成長の跡

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U-17日本高校選抜FW小林俊瑛(大津高)は4得点の大爆発

[3.18 J-VILLAGE CUP U18 U-17日本高校選抜 5-2 川崎U-18 Jヴィレッジ]

 これまでの鬱憤を晴らすかのように、U-17日本高校選抜のエースストライカーが大爆発を見せた。第4回 J-VILLAGE CUP U18の初日、U-17日本高校選抜は川崎フロンターレU-18(神奈川)と激突すると、191cmのFW小林俊瑛(大津高)が1人で4ゴールを叩き出した。

 この試合、小林はチームのオープニングゴールを叩き出すと、その後、川崎U-18のFW岡崎寅太郎のゴールで追いつかれるも、MF真田蓮司(東山高)が勝ち越し点を奪う。

 勢い付くチームにおいて、彼はチームの3点目を圧巻のシュートで叩き出す。左サイドでMF名願斗哉(履正社高)の折り返しに対し、小林は一度ニアに行くと見せかけて相手が食いついた瞬間に進路を変えてファーサイドのスペースに飛び込むと、頭ひとつ抜け出した形で強烈なヘッドを突き刺した。オフの動き、タイミングの合わせ方、そしてジャンプとヘッドの質、そこから描かれた美しい弾道。どれも完璧だった。

 後半になってもその勢いは衰えない。CKのこぼれをMF徳永涼(前橋育英高)が拾い、上げたクロスの混戦からハットトリックとなるゴールを決めると、MF田原瑠衣(大津高)の折り返しを小林が中央でドンピシャヘッドで合わせた。川崎U-18のDF元木湊大に2失点目を許したが、それを圧倒的に凌駕する5ゴールを挙げ、5-2と乱打戦を制した。

「これまでプロのスカウトに見ていただけるチャンスがあったのにゴールという結果を出せなかった。本当にそれが悔しくて、今回は絶対に点を取るという気持ちできました」。この4ゴールは小林の意地だった。今冬の選手権で準優勝に輝いたが、青森山田高との決勝ではノーゴール。2月27日から3月2日にかけてU-19日本代表候補に抜擢されるも、桐蔭横浜大とU-20関東大学選抜との2試合でもノーゴールに終わった。

 どうしてもゴールが欲しかった。ゴールに飢えに飢えた状態で今大会に臨んでいた。見事にその思いを初戦で爆発させた。示したのは結果だけではない。プレー内容もこれまでの2つの合宿で得た学びを見事に成長の糧に繋げていた。

「大学生は体の当て方がうまいので、先に当てたり、タイミングのずらし方もそうですし、ボールがない時の動きで何ができるか、何で優位に立てるかが重要なことを学びました。やはりFWは動き出しの質が重要。ボールをもらった時に体で当たり負けをしたり、ボールがない時の動きは重要だと痛感しました」

 この試合、彼はフィジカル操作が抜群だった。最終ラインや中盤でボールが動いている時、彼は常に相手DFラインを視野に入れて、背後のスペースや逆に相手の前のスペースに入ってボールを引き出す動きを見せる。

 そして、寄せてきたDFに対して先に体を当ててボールを受けるスペースを作ったり、背中で背負ってロックをすることで1.5列目以降の飛び出すスペースを作り出すなど、前線で起点を作り出した。意地だけではなく、こうした意識が4ゴールに繋がった必然の結果でもあった。

「目標は高卒プロ。ここで結果を示せば自分の将来は開けるし、ここで成長をすれば、大津にも還元できる。そこは表現していきたいです」。大型ストライカーが示す成長の軌跡。歩みを止めない彼の本領はここから発揮される。

(取材・文 安藤隆人)

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