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青森山田を2-0撃破!昨年同様サニックス杯で勢いつける広島ユースがプレミア王者対決制す

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プレミアWEST王者・サンフレッチェ広島ユースがプレミアEASTとインハイ、選手権優勝の青森山田高に勝利

[3.17 サニックス杯予選リーグ 青森山田高 0-2 広島ユース グローバルアリーナ]

 サニックス杯ユースサッカー大会2022が17日、福岡県宗像市のグローバルアリーナで開幕。予選リーグ第1節と第2節を無観客で行った。昨年度、インターハイと選手権、プレミアEASTの3冠を達成した青森山田高(青森)とプレミアWEST王者・サンフレッチェ広島ユース(広島)との一戦は、FW笠木優寿(2年)とMF滝口晴斗(2年)のゴールで広島ユースが2-0で勝利した。

 昨年度の大会でも青森山田と良い試合をしながら、PK戦で敗戦。プレミアリーグの東西王者として、昨年12月に再戦した際に引き分けに終わった影響もあるだろう。最後まで声を出し、身体を張る姿からはフェスティバルの一戦とは思えないほど広島ユースの選手たちは熱を帯びていた。その熱力は高田哲也監督が、「青森山田とか大津と対戦すると放っておいてもアドレナリンが出ている。見ていて楽しかったよ。何かのトーナメントか!って思うぐらいテンションが高かった」と口にするほどだった。

 今年の広島ユースは、高い位置から積極的にボールを奪いに行くトップチームに倣ったスタイルを志向するが、4-1で勝利した第1試合の大津戦から3時間後のゲームで疲労もあったため、立ち上がりは「エンジンが暖まらなかった」(高田監督)。ボールを奪ったら素早く前方へ展開し、MF奈良岡健心(2年)と川原良介(1年)の両翼からチャンスを伺った青森山田に攻め込まれる場面もあったが、主将のDF畑野遼太(2年)と185cmのDF渡邉雄大(2年)のCBコンビが冷静に対処。自陣でボールを奪った滝口から、FW中川育(2年)へと繋いだボールから、笠木がゴールに迫った前半12分の場面のように、奪ってから素早い攻撃で見せ場を作った。

「去年のチームと比べると、やれることが少ない。その中で、部活も1か月止まっていたから、全く個の強化が出来ていないし、鍛錬も出来ていない」(黒田剛監督)という青森山田を前半から圧倒した広島ユースに歓喜の瞬間が生まれたのは、後半1分。前線でボールを受けた笠木が力強いドリブルでゴール前まで持ち込み、放ったシュートがゴールネットを揺らした。13分には自陣右でボールを持った滝口が内側へと切り込みながら、相手エリアへと侵入。笠木とのワンツーを挟んで、青森山田のゴール前に迫ると、思い切りよく放ったシュートが2点目となった。

 以降は後がなくなり、前から奪いに来た青森山田のプレスを上手くかわして、自陣から繋ぐ場面が増えた。15分には青森山田にロングボールを拾われ、サイドの奈良岡にクロスを入れられたが、懸命に戻ったDFがブロック。青森山田が得意とするセットプレーを受ける場面もあったが、最後も声を出すことで気を引き締めた。

「ロングスローとCKは昨年12月から学習している」と高田監督が話す通り、昨年の経験も活かして、逃げ切りに成功した。昨年度の広島ユースは、サニックスカップでの優勝がチームの勢いとなり、プレミアリーグWEST優勝に繋がった。「去年、サニックスで勢いをつけて、俺ら行けるぞとなった。今年もあやかりたい」。高田監督の言葉通り、狙うは昨年の再現だ。

 一方の青森山田にとっては課題が散見するゲームとなったが、第1節の名古屋U-18戦を含め、プレミア勢と厳しい経験を出来たのは、これからチーム作りをしていく上で大きな価値を持つ。黒田監督はこう話す。「この強度とスピードとテクニカルな中で何が出来るかとなれば、やらせて貰えない事も含めて、いっぱい勉強しなければいけない。下手に誤魔化して終わってしまうとリーグが始まってから痛い目にあう。今は色んな事を抽出して、駄目なことは駄目ときちんと捉えることが大切だった。2試合連続80分ゲームという辛さを経験したのは、絶対に後々活きてくる。だから、妥協しないでやるのが大事」。毎年、春の訪れを告げるサニックスカップでの激戦は、両チームにとって大きな財産になるだろう。

(取材・文 森田将義)

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