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“格上相手”は慣れたもの…? ブラジル戦へ燃える久保建英「マジョルカのような戦いはしたくない」

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日本代表MF久保建英(マジョルカ)

 日本代表MF久保建英(マジョルカ)が4日、報道陣のオンライン取材に応じ、6日のキリンチャレンジカップ・ブラジル戦(国立)に向けて意気込みを語った。ブラジルは2日に韓国代表と対戦し、FWネイマール(パリSG)の2ゴールなどにより5-1で圧勝。試合映像を見たという久保は「世界ランク1位のチームが調子いいとこうなんだなという印象」と、その強さをまずは受け止めていた。

 日本代表にとって、過去2分10敗と圧倒的劣勢を強いられてきたブラジル戦。国立競技場には満員の観客が訪れるとみられ、ドイツやスペインと同組のカタールW杯を見据えたテストマッチという意味でも、森保ジャパン発足後最大級のビッグマッチとなる。また久保にとってはA代表での生き残りをかけた貴重な機会。2日のパラグアイ戦では「焦りとかが出て本来のいいプレーが出せなかった」ため、名誉挽回が求められる。

 普段はラ・リーガでプレーする久保にとって、日本代表としてのブラジル戦は“対ビッグクラブ”のような心境だという。「たとえばリーガだったらレアル・マドリー、バルセロナと対戦する他のチームの気持ちに近いと思う。毎回楽しみにしている相手との対戦なので。彼ら(ブラジル代表の選手)は僕たちみたいなチームが楽しみに気合を入れてくるのが日常なので慣れているだろうけど、僕たちからしたら初めて」。そう例示した久保は「僕にとっても格上のチームと代表で試合をするのは初めて。ワクワクしている」と目を輝かせた。

 これまでなかなか世界トップレベルの相手とマッチメークできなかった日本代表からすると、このブラジル戦は強豪相手の戦い方を模索できる大きなチャンス。そのなかで久保は今季、残留争いを繰り広げたマジョルカでプレーしており、“格上”への挑み方には一日の長があるように思われる。しかし、そのことを久保に問うと、次のような答えが返ってきた。

「マジョルカでやっていることが活かされるというと、それはネガティブじゃないけど格上想定になってしまう。日本代表の今の立ち位置を知れるいい機会だとは思うけど、僕からしたらあまり日本代表はマジョルカのような戦いはしたくない」。そう本音をのぞかせた上で「どうなるかは試合が始まってからしか分からない。相手が格上なのは事実なので、そういったものを頭に入れて戦うのはいいのかなと思う」と述べるにとどまった。

 長いシーズンを戦う中でなんとか勝ち点1をもぎ取りたい中小クラブとのリーグ戦と、強豪居並ぶカタールW杯に向けて立ち位置を知るべき日本代表の親善試合。そこには大きな違いがある。だからこそ、久保はマジョルカのような戦いぶりをブラジル戦で見せていくことについて否定的な見解を示した。

「あくまでもマジョルカでは、チームの質、チームのレベルというところで、相手がたとえばレアル・マドリー、バルセロナだったら事実として差がある。真正面から張り合って勝てないから、そうした戦術で勝負しているというのがクラブ活動。代表もそういった部分で勝てないと思わているからこそ、そういう意見が記者から飛んでくるんだと思う。それは選手としても受け止めないといけないけど、キリンチャレンジカップは1試合ですし、そんな重く受け止めることをせず、勝つかもしれないので。そこは始まらないとわからないし、もともと世界を見据えてとやっているわけで、戦い方を決めるのは僕ではなく監督だけど、僕の勝手な予想だけどいつもどおり行くんじゃないかと思う」。

 そうした中、ブラジル戦で問われるのは久保がどのようなパフォーマンスを発揮できるかだ。2日のパラグアイ戦は後半26分から右ウイングでピッチに立ったが、なかなか持ち味を見せられず。他の選手が次々とアピールに成功した中で難しい一戦となった。久保自身も「代表に帰ってきて一旦フラットな状態からの1試合目で、立ち位置が嫌でも見えてきたので焦りが生まれた」と反省点を真摯に見つめつつ、「今度はイチから割り切ってやれる。もう焦りとかはない」と冷静に消化しようとしていた。

 そしてブラジル戦では「僕はビッグゲームで自分の出来に満足ができなかったことがあまりない」と自信を見せる。今季でいえば負傷からの復帰直後に決勝ゴールを決めた昨年12月4日A・マドリー戦や、切れ味鋭いドリブル突破で相手にイエローカードを連発させた3月14日のR・マドリー戦が象徴的。そのほかにもチームが一方的に劣勢を強いられる中、孤軍奮闘の印象を見せた試合もいくつかあった。

「格上の相手に『ああ僕、消えていたなあ』とか『僕、負けていたなあ』と思ったことがプロになってからはあまりない。そういった意味で僕はやれると思うので、あとはどういった形か。チームがうまくいっていて出番がないかもしれないし、チームがうまくいっていなくて残り15分くらいで出されることもあるし、いろんな可能性を考えながら感覚だけは研ぎ澄ませておきたい」

 そうしたビッグマッチへの強さの理由を「相手が強ければ強いほど燃える。負けている試合のほうがいいパフォーマンスが出せる。マジョルカでは負けてしまうことが多くてそういう環境になりがちだけど、FC東京でも負けている時の方がいいパフォーマンスを出せていた。相手が強くて、チームメートが劣勢のほうがいいパフォーマンスが出せる」と自ら分析した久保。劣勢が想定されるブラジル戦、生き残りをかけた21歳は間違いなく燃えている。

(取材・文 竹内達也)
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