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身近になった世界へ。飯塚初の代表候補、2年生左SB藤井葉大は成長・活躍続けてU-17W杯目指す

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飯塚高の大器、U-16日本代表候補左SB藤井葉大

[6.5 インターハイ福岡県予選決勝 九州国際大付高 1-1(PK12-11)飯塚高 小郡市陸上競技場]

 インターハイでブレイクしていた可能性のあった大型左SBは、県大会決勝で涙を呑んだ。福岡の新興勢力、飯塚高のDF藤井葉大(2年=セイザンFC U-15出身)はU-16日本代表候補の大器。180cm、72kgのサイズと強烈な左足を持つ藤井は、福岡県予選決勝でも印象的な動きを見せていた。

 前半9分に左中間から弾丸ライナーの左足ミドル。本人は「前半、自分が放ったミドルシュートが入っていればと思いましたけれども、そこは悔やんでも仕方ないのでチームに貢献できるように頑張りました」。枠に飛ばすこと、決めることができずに悔しがっていたが、得意の「左」で会場をどよめかせた。

 その後も積極的な攻撃参加。14分、29分にも藤井の左足からシュートシーンが生まれた。プレースキッカーも担当する藤井は1つ、2つのアシストを記録してもおかしくないような精度のキックを披露。だが、後半は相手の徹底したロングボール攻撃に押し下げられ、決定的な仕事をすることができなかった。

 結果はPK戦での敗退。インターハイに出場して活躍し、U-17ワールドカップのアジア予選、そして本大会出場を思い描いていた藤井にとっては悔しすぎる敗戦となった。「絶対に今年2連覇、全国出て、まずは第一に仲間の思いを背負うことで、第二に自分のこれからのキャリアのために行きたかったので……仕方ないですね」。切り替えて長くなった夏に自分を磨き上げる考えだ。

 本来は右利きで小学5年生から意識的に左足でボールを蹴り込んできた結果、左足の方が武器になったという「努力の左利き」。中学時代はボランチ、高校進学後はFWを務めていたが、新チームで「楽しいですね。(中辻監督ら飯塚のスタッフに)感謝ですね」という左SBへコンバートされて今年3月に飯塚初となる年代別日本代表候補入りを果たした。

 初のU-16日本代表候補合宿では、U-16日本代表の森山佳郎監督も評価する動き。本人は「攻撃参加や守備の粘り強さ」に手応えを感じ、合宿後は課題を集中的に強化してきた。「本当に細かいタッチや足下の技術のところ。代表合宿が終わった後はそこに集中して止めて・蹴るとか意識してやってきたので」進化。その成果を大舞台で発揮したかったが、切り替えて、チャンスを掴むためのトレーニング、試合での活躍を重ねる。

 今年10月には、AFC U17アジアカップバーレーン2023予選が開催される。今、藤井にとって世界は「遠い存在でもあり、身近な存在」だ。「この夏、インターハイに出れない分、練習する時間はたくさんある。体力、技術……自分に足りないものを全て付けて代表に呼ばれたい」と意気込む大器が、この日の敗戦の悔しさも糧に成長を遂げて、代表、そして選手権で大活躍する。

(取材・文 吉田太郎)
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