beacon

[MOM3942]前橋育英FW小池直矢(3年)_悔しさと葛藤、そして努力…欲していた1点でチーム救う

このエントリーをはてなブックマークに追加

後半16分、前橋育英高FW小池直矢が決勝点を喜ぶ。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.24 インターハイ1回戦 前橋育英高 1-0 長崎総合科学大附高 鳴門大塚]

 U-17代表の注目アタッカーが待望のゴールを決めた。0-0の後半16分、前橋育英高は左中間から左SB山内恭輔(3年)が縦に仕掛けてクロス。これをFW小池直矢(3年=ウイングスSC)が頭でゴール右隅に流し込んだ。

 小池は「得点といったところがプレミアリーグから最近課題であって、ゴール前の入り方を意識していて、マイナスのスペースが空いてそこに良いボールが来たので合わせるだけでした。(クロスの際に)みんなグッと入り込むんでマイナスのところが空くと意識していたので、(そこへ)入るだけでした」と説明する。ゴール前に人が密集する中、冷静にマイナスのポジションへ。そして、コースへ正確なヘディングシュートを打ち込んだ。

 プレミアリーグでは開幕からの3試合で5ゴールと量産。サイドでのプレーを得意とする小池だが、前線起用に見事応えて見せた。だが、プレミアリーグのDFは簡単に得点させてくれない。その後の7試合で得点ゼロ。山田耕介監督も「プレミアの試合を見ていると、ちょっと落ちているなと。シュートするような場面もないし、そういう場所にもいないし」という状況に陥っていた。

 小池は「プレッシャーもあったんですけれども、悔しさが一番で……。FWで、一番前をやっているのに、何で自分は獲れないんだという悔しさが一番でした」。だが、トレーニングでクロスからのシュート練習のメニューが増える中、一本一本にこだわってシュート。DF間を抜けて行くドリブルに加え、ヘッドも武器とする9番はその成果を難しい初戦で表現した。

 ゴールから遠ざかっていた期間は、シュート数が少なかったと自己分析。大会前の練習試合でもシュートを打つことを意識したという。そして、この日は長崎総合科学大附高の鋭いプレッシャーを剥がしてドリブルし、シュートへ持ち込むなど積極性も光るゲームだった。

 待望の1点を挙げた小池は、「初戦というのは去年のインハイも、選手権も、自分は初戦で出させて頂いていて、こういうゲームになるんだろうなと分かっていたので、ここで自分が獲らないと、という思いで。ハーフタイムに『ここで決めてもう一個上の段階に行こう』とチームで話が出ていたし、決めれて良かった」と微笑んだ。

 山田監督も評価した1点。ヒーローは、目標の全国制覇へ向けてゴールを重ねていく考えだ。「(去年は) 先輩に頼りっきりな選手だった。プレミアで獲れるようになってきて、また獲れなくなってきていたので何が悪いんだというところで葛藤しながらきょう点が獲れたので、流れというか、掴んでいきたい。得点王にこだわりながらも、1試合1点は絶対に獲るということを考えています」。2回戦で対戦予定だった磐田東高の出場辞退によって次は3回戦。積極性と一本へのこだわりの両方を持って臨み、再びゴールを決める。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

TOP