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J1勢連破!福岡が15年ぶり8強進出!!

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[11.17 天皇杯4回戦 大宮 2-2(PK3-4)福岡 NACK]

 アビスパ福岡がJ1勢連破! 第90回天皇杯は17日、4回戦8試合が各地で行われ、埼玉県さいたま市のNACK5スタジアム大宮ではJ2の福岡がJ1の大宮アルディージャに挑戦。2-2でPK戦へもつれ込んだ試合は4-3で福岡が制し、J2勢唯一の8強入りを果たした。福岡の準々決勝進出は前身の福岡ブルックス時代の95年以来15年ぶり。アビスパ福岡となってからは初となる。福岡は12月25日の準々決勝でFC東京と対戦する。

 2-2で突入したPK戦。福岡のGK六反勇治がいきなり先攻・大宮MF橋本早十の左足シュートを左へ跳んでストップ。福岡は2人目のFW大久保哲哉のシュートが大宮GK江角浩司に止められたものの、六反は相手の4人目・FW石原直樹のシュートを身体で止めて見せる。そして3-3から5人目、MF阿部嵩の緩やかなシュートがゴール右へ決まると福岡の選手たちはPAへ駆け寄り、勝利を喜びあった。

 3回戦でJ1上位のサンフレッチェ広島をPK戦の末に下し“ジャイアントキリング”を果たしている福岡。次のターゲットは大宮だった。ただともにJ1昇格争い、J1残留争いの真っ只中。先発は福岡のFW永里源気を除くと両チームの計21人が直近のリーグ戦メンバーから代わっていた。ともに4-4-2システムの一戦。迎え撃つ大宮のGKは江角で4バックは右から杉山新、福田俊介、安英学、宮崎泰右。中盤は橋本と木原正和のダブルボランチで右が渡部大輔、左が内田智也。2トップは市川雅彦と藤田祥史が先発し、一方の福岡はGKが六反で4バックは右から平石健太、柳楽智和、山口和樹、李鍾民 。中盤は阿部と宮路洋輔をセンターに右が鈴木惇で左が孫正倫。2トップは永里と高橋泰がコンビを組んだ。

 序盤試合を支配していたのは大宮。プレッシャーの緩い中盤で自由にパスを受けていた木原と橋本が自在にボールを動かし、CBとSBとのギャップを狙って走りこむサイドアタッカーへ橋本が次々とスルーパスを通していた。相手に一本のシュートも打たせないまま攻め続けた大宮が流れのよさそのままに先制点を挙げる。

 18分、中盤右サイドでボールを持った橋本が、鋭いドリブルで前進すると中央へパス。市川がスルーするとペナルティーアークでボールを受けた藤田がコントロールされた左足シュートをゴール左隅へねじ込み、先制した。

 だがその直後、失点で前への勢いを強めた福岡はあっという間に追いつく。中央での仕掛けからこぼれ球を拾った高橋がクロス。ファーサイドからフリーで走りこんだ数人のうちのひとり、孫がダイレクトでゴールへと押し込み、公式戦初ゴールとなる同点弾を決めた。

 この後はともにミスを多発。攻撃にスピードもなく、なかなか決定機をつくることができない。それでもJ1勢撃破へ意欲を見せる福岡が拮抗した試合にわずかな差を付け出す。前半終盤には永里が好トラップからPAへ侵入。そして後半9分、左サイドでDFをかわしてPAへ入り込んだ李鍾民が、大宮DFに背後から倒されPKを獲得した。

 ただスコアに差をつけることはできなかった。キャプテンマークを巻く鈴木の左足シュートを大宮GK江角が右手ワンハンドでセーブ。クロスバーを弾いたボールは大きく跳ね返った。守護神のビッグセーブに救われた大宮はこの後、左サイドからチャンスをつくる。17分には内田がGKと1対1となり、21分には初先発の高校生SB宮崎が相手のプレッシャーを受け流して左サイドをえぐり、クロス。だが飛び込んだ藤田のヘディングシュートはゴール右へと外れてしまう。
 それでも後半27分、大宮は右サイドでパスを受けた杉山がGKの頭上を射抜く左足コントロールショット。クロスバーを叩いたボールはそのままゴールラインを越えて貴重な勝ち越しゴールとなった。

 スコアが動くと同時に動きのなかった両チームベンチも活性化した。福岡は直後から大久保、岡本英也とFWを連続投入。大宮もMF青木拓矢を投入して中盤の守りを固めたが福岡は39分、交代出場の岡本の左クロスを中央でフリーとなった高橋が頭でゴール左隅へ押し込み、再び同点に追いついた。

 大宮は40分に個人技の高いMF金久保順をピッチへ送り出して勝ち越しを狙うが、逆に右サイドから飛び出す福岡の永里にゴールへ迫られるなどピンチを招いてしまう。決着をつけられないまま突入した延長戦。11分にDF丹羽大輝をCBに投入した福岡に対して大宮は“切り札”石原がピッチへ送り出された。これで攻撃が加速した大宮は延長後半3分に石原、7分には市川、そして8分にも藤田と決定的なシュートを連発。だが決勝点を奪うことができないままPK戦へ持ち込まれ敗戦、雨中のホームNACK5スタジアム大宮で、大宮は大会から姿を消した。

(取材・文 吉田太郎)
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