beacon

プレミア勢の意地、三菱養和SCユースが3年ぶりにF東京U-18撃破!東京都クラブユース(U-17)選手権

このエントリーをはてなブックマークに追加

[2.5 東京都クラブユース(U-17)選手権 F東京U-18 1-2三菱養和SCユース 武蔵野苑多目的G]

 平成23年度第13回東京都クラブユースサッカー(U-17)選手権大会の上位リーグ(2A)で高円宮杯プレミアリーグイーストの三菱養和SCユースと今年はプリンスリーグ関東1部に参戦するFC東京U-18が激突。MF清水貴明とFW中崎海渡(ともに2年)のゴールによって2-1で勝った三菱養和SCユースが3連勝とグループ首位を決め、東京Vユースと戦う決勝へ進出した。

 昨年のプレミアリーグイースト最終節で首位・東京Vユースを1-0で下し、最下位から逆転での全国リーグ残留を決めた三菱養和SCユースと、2位の札幌U-18に1-2で敗れて8位から降格圏の9位へと滑り落ちたF東京U-18。「因縁の対決」とも言える一戦へ向けて三菱養和の生方修司監督は「エフトウ(F東京)が死ぬ気で来る事は分かっていた。(今年は三菱養和が上位リーグを戦うが)実力は自分たちの方が下だよ、と。ただ絶対に負けるなと言っていたし、選手たちを調子には乗せないけれど、プライドを持って戦わせた」と振り返っていたが、序盤に相手を上回っていたのはその三菱養和の方だった。

 この日の三菱養和は、前日までジェフユナイテッド千葉に練習参加していたGK永井堅梧(2年)が欠場。また守備の核のひとりとして期待されるDF山内裕太(2年)が肩の負傷から、昨年のプレミアリーグイースト序盤戦で得点ランキング首位を走ったFW木村陸人(1年)も腰痛からそれぞれ復帰を目指している最中だったため出場しなかった。主力候補たちを欠く中での戦いではあったものの、ピッチで見せたパフォーマンスは上々。前線からの厳しいプレスによって高い位置でボールを奪うと、10番MF清水とFW油井翔吾(2年)、左MF秋本和希(1年)といった技巧派たちがキープ力の高さで攻撃の起点となるなど、テンポ良くボールを動かして相手ゴールへと迫っていく。

 油井は「昨年は(攻撃面の)戦術練習をあまりやっていなかったけれど、今年は年明けからポゼッションをやってきた。サポートが早くなったと思う。きょうも『ビビッてやって負けるくらいなら自分達のサッカーをやろう』と言っていた」。自分たちらしく、真っ向からつないで攻める三菱養和に対して、F東京は自陣でファウルを犯してセットプレーを献上。これが三菱養和にリードをもたらした。前半12分、左中間でFKを得た三菱養和は清水が右足を一閃。ニアサイドを狙ったボールはDFに当たってコースが変わり、GKの逆をついてそのままゴールへと吸い込まれた。さらに三菱養和は25分、右サイド後方でFKを獲得すると、清水のキックのこぼれ球を右中間で拾ったCB横山修一(1年)がGKを引き付けてから中央へループパス。これを後方から走り込んだ中崎が頭で押し込んで2-0とした。

 昨年からレギュラーを務めるMF福森健太(2年)を負傷で、またMF二瓶翼(2年)を修学旅行のために欠くF東京は序盤で痛い2失点。ただ、左MF川上翔平(1年)をボランチへ移してU-17W杯日本代表MF野澤英之(2年)とコンビを組ませると、川上の正確なサイドチェンジによって攻撃の幅が広がり、今年から取り組んでいるポゼッションサッカーの質が向上。青木啓輔(1年)、吉田一彦(2年)の両SBが再三アタッキングゾーンへと顔を出し、また縦パスから一気にPAへボールを送る速さも加えて三菱養和を押し返した。

 後半から右MFに岩田拓也(2年)を投入したF東京の攻撃はさらに加速。だが9分に左クロスのこぼれ球から岩田が放った決定的な一撃は三菱養和の横山がゴールライン上でスーパークリアされ、10分にCB柳澤優芽(1年)が放った右足シュートはGK野津幹陽(1年)の好セーブによって阻まれてしまう。さらに15分に縦パスで抜け出した岩田の右足シュートもゴールマウスを直撃。一方、必死に相手の攻撃を跳ね返す三菱養和は横山と飯泉涼矢(1年)の両CBが空中戦の強さ、正確なカバーリングなど好守を連発する。後半は相手の波状攻撃を凌ぐ時間が続いたが、中央は崩れず、また攻撃面でも一度ボールが収まれば、正確につないでからのカウンターや清水のミドルシュートでチャンスをつくっていた。

 三菱養和は後半34分に川上の右FKから柳澤に追撃ゴールを決められたものの、鋭い飛び出しが印象的だったGK野津が残り10分間でビッグセーブを連発。後半43分には岩田にゴール至近距離から決定的なヘディングシュートを浴びたが、野津がこれをはじき出し、45分にも勇気ある飛び出しでゴールを死守するなどリードを守りぬいた。清水は「もっとやられるかと思っていた。でも全然ビビらなかったし、最後球際もいけた。普段なら最後踏ん張りきれずに取られていたと思う。でもみんな気持ちが入っていたし、上手く走りきれたと思う」。

 “街クラブ”の三菱養和がF東京に勝利したのはMF加藤大(現愛媛)らを擁した09年の同大会以来3年ぶり。指揮官が「これまでは(良い面でも)アクの強い選手が多かったけれど、今年はスゴクサッカーに対してマジメな世代」と評するチームは、まだ新人戦ではあるものの、“格上”のJクラブ勢撃破という大きな結果を残した。チームは勝ちきった試合を今後に繋げること。そして09年、10年に高円宮杯全日本ユース選手権で4強入りして「三菱養和」の名を全国にアピールしたチームに少しでも近づき、そして上回る。

[写真]前半23分、三菱養和SCユースFW中崎が決勝点となるヘディングシュートを決める 
(取材・文 吉田太郎)

TOP