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初招集・復帰組が過半数の14人、ザック「チャンスがあるというメッセージ」

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 日本代表はあらゆる選手に門戸を開いている。アルベルト・ザッケローニ監督のメッセージは明快だった。国内組25人で編成されたアイスランド戦(24日、長居)の日本代表メンバー。そのうち6選手がA代表初選出で、2人がザックジャパン初招集。それ以外でも6人が久々の代表復帰を果たしており、昨年11月のタジキスタン戦、北朝鮮戦でも招集されていたのは25人中、半数以下の11人しかいない(メンバー一覧はコチラ)。

「今回の合宿には3つの目的がある。一つはアイスランド戦をこなすことでウズベキスタン戦に向けて試合勘を戻すこと。2つ目は初招集の選手を手元で見てみたいということ。そしてもう一つが、若い選手に対して将来的にチャンスがあるというメッセージを伝えること」

 J2の京都から初選出された18歳のFW久保裕也(京都)はもちろん、高卒ルーキーながら昨季終盤に鹿島でレギュラーとして活躍した19歳のMF柴崎岳(鹿島)もA代表初選出を果たした。MF磯村亮太(名古屋)はプロ3年目の昨季、リーグ戦初先発を果たした昨年6月18日の大宮戦から3試合連続ゴール。3月に21歳になる磯村を含め、上記3人はU-23日本代表に招集されてもいい世代で、飛び級での抜擢だ。

 これまで年代別代表でも招集歴のないFW金園英学(磐田)もA代表初招集となった。関西大から昨季、磐田に入団。ルーキーイヤーで12ゴールを量産し、94年の城彰二(当時・市原)、09年の渡邉千真(当時・横浜FM)に次ぐ史上3人目の新人2ケタ得点を記録した。

 昨季、34試合25失点でJ1最少失点を誇った仙台のゴールマウスを守ったGK林卓人(仙台)もA代表初選出。04年のアテネ五輪最終予選では全6試合に出場するなど年代別代表では常連だったが、五輪本大会ではオーバーエイジ枠でGK曽ヶ端準がメンバー入りしたこともあり、予備登録メンバーにとどまった苦い経験もある。

 オシム元監督時代の07年5月に日本代表候補合宿に参加したことのあるDF近藤直也も、候補ではない「日本代表」は初招集。昨季、J1昇格初年度で初優勝を成し遂げた柏の最終ラインを支えたCBで、その身体能力は折り紙付きだ。

 各選手のキャリアはさまざまだが、共通するのは昨季のJリーグで確かな活躍を見せたということ。今回招集した選手だけでなく、Jリーグに所属するすべての選手に対し、年齢や実績に関係なく、Jリーグで良いパフォーマンスを見せさえすれば、常にA代表に呼ばれる可能性があることを“形”にして実証した格好だ。

「今回のように海外組がいない状況では、国内組の若い選手を見るには絶好のチャンスだと思って、こういった招集になった」。アイスランド戦で初招集組にどこまで出場のチャンスがあるかは分からない。29日のW杯アジア3次予選・ウズベキスタン戦(豊田ス)では、海外組も含めた代表メンバーがあらためて発表される。

 それでも指揮官は「海外組は48時間前、24時間前にしか日本に戻ってこれない。フィジカルの面で不安もある」と指摘。「今回のメンバーで、いいフィジカルコンディションを見せてくれた選手にはチャンスになる。アイスランド戦で長くプレーする選手も出てくると思うが、彼らがウズベキスタン戦でもプレーするだろう」。アイスランド戦のパフォーマンス次第では一気に代表定着のチャンスがあるのも確かだ。20日から始まる大阪合宿は、常連組を含めた“サバイバルキャンプ”となる。

(取材・文 西山紘平)

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