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9人で勝利の清水・村松「人が足りないとも思わなかった」

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[4.28 J1第8節 F東京0-1清水 味スタ]

 いつの間につくったのだろうか。試合終了後、アウェー清水エスパルスサポーターが陣取るゴール裏には「9人なのに勝っちったw」という横断幕が躍った。後半11分にFWジミー・フランサ、さらに同28分にもMFアレックスが退場した清水は、本来の前からプレスをかける戦い方ではなく、後方にブロックをつくる戦い方を強いられた。それでも、一人ひとりがしっかりと役割をこなし、同32分にはカウンターからFW高木俊幸が決勝点を挙げる。このゴールを守り切り、過去10戦で4分け6敗と苦手にしていたF東京戦で、08年10月4日以来となる勝利をつかんだ。

 中盤の底に入り、ピンチの芽を摘んだMF村松大輔は、戦い方の変更を迫られたことを認めている。「数的不利になったので、人に付いても仕方がなかった。相手に食いつかずに、スペースを埋めることをみんなで意識していた。CBが粘ってくれていたので、それが大きかった」と、相手のクロスを跳ね返し、シュートにも体を張ったDF岩下敬輔とDFカルフィン・ヨン・ア・ピンを称賛した。

 どんな状況に陥っても、縦パスを入れて攻めてくるF東京に、攻撃のリズムをつくらせなかったと胸を張る。「相手がクサビに入れてくるパスには、しっかりプレスができていた。人数が減ってもできていたから、人が足りないとも思わなかった」と語る。ボールが入ったときも、CBが抑えて岩下が挟み込むことができていた。「周囲が動いてくれていたので、自分は中央に専念しようと思っていた」と振り返った。

 チームに感謝をするのはGK林彰洋だ。「一人少なくなってからも、高原(直泰)さんをはじめ、前線の選手が時間をつくってくれました。それもあって、相手は前掛かりになり切れなかったと思います」と攻撃陣に感謝し、守備陣についても「人が減ってもコンパクトにして入れれば守れると思っていた。チームがしっかりと体を張ってくれたから自分のところではほとんど仕事がありませんでした。代表合宿で一緒だったゴン(権田修一)ちゃんの方が、僕よりも良いプレーをしてアピールできたかもしれませんが、僕はチームが勝ったので嬉しいです」と話した。

 3連勝後、前節のG大阪戦は1-3と落としていたが、連敗を喫しなかった。「監督が『連敗するとズルズル行くかもしれないぞ』と言っていたので、勝てて良かった」と村松は安堵の表情を浮かべる。しかし、次節の鹿島戦は退場したアレックス、フランサが出場停止になるが、林は「選手層も厚いので対応できるでしょう」と自信を見せる。途中出場の選手が結果を残し、本来のスタイルと異なる戦い方でもしっかり勝利をつかんだ直後だけに、その言葉には説得力があった。

(取材・文 河合拓)

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