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中古車販売員と二足の草鞋、元JリーガーFW林容平の一撃でJFL浦安が横浜FMへの挑戦権獲得

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決勝点を喜ぶFW林容平

[5.21 天皇杯1回戦 ブリオベッカ浦安3-2筑波大 ゼットエー]

 試合を決めたのはベテランの一撃だった。2度のリードを追いつかれる筑波大の粘りに遭ったブリオベッカ浦安だが、後半34分、DF藤森隆汰のパスからエリア内に入ったFW村越健太の左クロスにFW林容平が体ごと飛び込む。GKやDFと交錯する形となったが、気持ちで押し込んで勝ち越し点を決めた。

 4月2日のJFL第4節のHonda FC戦で負傷していた林は、この試合が7週間ぶりとなる復帰戦になっていた。「FWなので、とにかくゴール前で足を止めないことを意識していた。だからギリギリ相手より早く触れた。僕は他人より凄いゴールは決められないので、一番自分らしいゴールだったかなと思います」。一回り近く年齢の離れた選手たちを相手に、勝負強さを見せつけた。

 林は中央大を卒業後、FC東京に入団。その後、岡山や大分、秋田でプレーするなど、9年間、Jリーガーとしてのキャリアを過ごしたあと、21年より当時関東社会人リーグ1部の浦安に籍を移した。入団当初は環境の適応に苦しみ、さらに第五中足骨を骨折するなど苦しい時間を過ごすことも多かったというが、今年でもう3年目。「もう環境には慣れた」と充実の日々を送っているようだ。

 そして今春からは神奈川県横浜市を中心に中古車買取・販売事業を展開する株式会社横浜ユーポスで、会社員としてのキャリアもスタートさせた。「新しいことにチャレンジしたいなと思っていたところで社長を紹介して頂いて。普段は店舗スタッフとして、車の販売、買い取りをしています。何かあったら連絡してください」。営業マンとしての姿も板についている。

 奇しくも、6月7日の2回戦の横浜F・マリノス戦が行われるニッパツ三ツ沢球技場は勤務する店舗の近くだという。「僕はJ1でやっていたと言っても、J1では1点も取っていない。いつもあの辺は行っているところなので、点も取れて、車も売れたらいいなと思います」。二足の草鞋を履く元Jリーガーが、J1王者を相手に今の力すべてをぶつける。

(取材・文 児玉幸洋)
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